【照会要旨】

 内国法人の役員A(日本の居住者)は、子供の居住の用に供するため、ハワイにおいて住宅(コンドミニアム)を取得するに当たり、その取得資金を米国のB銀行のハワイ支店から30年年賦で借り入れました。
 これにより、役員Aは、B銀行のハワイ支店に対して30年間毎年元利金の支払をすることとなりますが、この場合の利子については所得税の源泉徴収が必要でしょうか。

【回答要旨】

 所得税の源泉徴収は必要ありません。

 居住者に対する貸付金で、その者の行う業務に係るもの以外のものは、所得税法第161条第1項第2号《国内源泉所得》の国内にある資産の運用又は保有により生ずる所得となり(所得税法施行令第280条第1項第2号)、所得税の源泉徴収の対象とされていません(所得税法第212条第1項)。
 照会の利子は、日本の居住者である役員Aが生活用不動産(子供の居住用コンドミニアム)を取得するための借入金の利子であるため、業務に係るもの以外のものに該当し、所得税の源泉徴収は必要ありません。

(注1) 日本の居住者が非居住者等に対して支払う利子は、日米租税条約上も国内源泉所得とされますが、同条約に基づき原則免税とされています(日米租税条約第11条第1項、第3項)。
 ただし租税条約に関する届出を行うことが必要となります。

※ 租税条約の規定に基づき源泉徴収税額の免除を受けるための手続

(注2) 「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約を改正する議定書」(以下「改正議定書」といいます。)が令和元年8月30日に発効し、日米租税条約第11条が改正されました。改正後の規定は、令和元年11月1日から適用が開始されています(改正議定書第4条、第15条)。

【関係法令通達】

 所得税法第161条第1項第2号、第212条第1項、所得税法施行令第280条第1項第2号、日米租税条約第11条、改正議定書(令和元年8月30日発効)第4条、第15条

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。