A社は、同社の使用人又は役員(以下「使用人等」といいます。)が同社の指定した近隣の飲食店(以下「指定飲食店」といいます。)を昼食で利用した場合に、使用人等が指定飲食店に支払った食事代の50%相当額を負担金(以下「本件食事代負担金」といいます。)として支給する制度(以下「本件制度」といいます)を設けています。
なお、使用人等は、指定飲食店において食事の提供を受けた後、食事代を支払い、指定飲食店から領収証(以下「本件領収証」といいます。)を受領しており、本件領収証には利用日、食事の内容及びその金額が表示されています。
〔本件制度の概要〕
(1) 使用人等は、本件領収証をA社に提出する。
(2) A社は、本件領収証に記載された利用日がその使用人等の出勤日であること、食事の内容を確認する。
(3) A社は、本件領収証に記載された食事代の50%相当額を個人別に集計し、月末で締めて翌月5日に、本件食事代負担金を使用人等の預金口座に振り込む。
(4) 本件食事代負担金は、月額3,500円(税抜)を上限とする。
この場合、使用人等が受ける本件食事代負担金に係る経済的利益はないものとして取り扱って差し支えありませんか。
使用人等が受ける本件食事代負担金は、その使用人等に対する給与所得の収入金額となり、その経済的利益をないものとして取り扱うことはできません。
(理由)
使用者が役員又は使用人に対し食事を支給する場合に、その役員又は使用人から実際に徴収している対価の額がその食事の価額の50%相当額以上であり、かつ、使用者の負担額が月額3,500円を超えないときには、その役員又は使用人が食事の支給により受ける経済的利益はないものとして取り扱っています(所得税基本通達36−38の2)。
例えば、使用者と飲食店との間の契約により使用人等の食事代を使用者が飲食店に支払う場合は、この「使用者が役員又は使用人に対し食事を支給する場合」に該当するものとして取り扱って差し支えありませんが、使用人等が飲食店に食事代を支払い、使用者が現金で食事代を補助する場合には、食事という現物ではなく金銭を支給するものであることから、この「使用者が役員又は使用人に対し食事を支給する場合」に該当せず、昭和59年7月26日直法6−5、直所3−8「深夜勤務に伴う夜食の現物支給に代えて支給する金銭に対する所得税の取扱いについて」に該当するときを除き、補助をする全額が給与として課税されることとなります。
照会の本件制度では、本件食事代負担金を使用人等の預金口座に振り込むこととされており、A社が使用人等に支給するのは食事ではなく金銭であるため、所得税基本通達36−38の2の適用はありません。
所得税基本通達36−38の2、昭和59年7月26日直法6−5、直所3−8「深夜勤務に伴う夜食の現物支給に代えて支給する金銭に対する所得税の取扱いについて」
注記
令和6年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。