特定事業用資産相続人等が有する特定受贈同族会社株式等(以下「分割等対象株式等」という。)の発行法人であるα株式会社は、平成18年5月31日に法人の分割を行い、β株式会社を新設することになった。これに伴い、α株式会社の株主である税務一郎(特定事業用資産相続人等)は、同社よりβ株式会社の株式の交付を受けた。

 なお、当該法人の分割は措置法令第40条の2の2第11項第4号に掲げる法人の分割に該当する。

1. 贈与時のα株式会社の状況等

(1) 分割等対象株式等であるα株式会社の1株当たりの贈与時の価額 100,000円

(2) 分割前に税務一郎が有していたα株式会社に係る特定受贈同族会社株式等の株数 300株

(3) 特定贈与者 税務太郎

(4) 贈与年月日 平成16年3月31日

2. 分割後のα株式会社の状況

(1) 分割後におけるα株式会社の資本金等の額 50,000,000円

(2) 分割後におけるα株式会社の発行済株式の総数(同社が有する自己株式の数を除く。) 1,000株

(3) 分割後における税務一郎が有するα株式会社に係る特定受贈同族会社株式等の株数 300株

3. 分割後のβ株式会社の状況

(1) 分割後における措置法令第40条の2の2第11項に規定する対応株式(以下「対応株式」という。)の発行法人であるβ株式会社の資本金等の額 10,000,000円

(2) 分割後におけるβ株式会社の発行済株式の総数(同社が有する自己株式の数を除く。) 3,000株

(3) 分割後における税務一郎が有する上記1の(2)の株数に対応するβ株式会社の株数 900株

≪設例1≫に係る記載例

特定(受贈)同族会社株式等について会社分割等があった場合の特例の対象となる価額等の計算明細の記載例

特定同属会社株式等又は特定受贈同属会社株式等である選択特定事業用資産についての課税価格の計算明細の記載例

(注) α株式会社の株式300株、β株式会社の株式900株について特例の適用を受けたものとして記載している。

相続時精算課税適用財産の明細書相続時精算課税分の贈与税額控除額の計算書の記載例

(記載上の留意事項)

【第11・11の2表の付表3の2】

  1.  4欄又は8欄の資本金等の額は、法人税法第2条第16号((定義))に規定する資本金等の額を記載する。
  2.  5欄又は9欄の発行済株式の総数には、分割等対象株式等又は対応株式に係る法人が有する自己株式の数は含まれない(措置通69の5−12(注)1)。
  3.  7欄又は11欄の金額に小数点第3位未満の端数がある場合には、その端数を切り捨てても差し支えない(措置通69の5−12(注)1)。
  4.  17欄又は18欄の価額に1円未満の端数がある場合には、課税上弊害がない限り、その端数金額を切り捨てても差し支えない(措置通69の5−12(注)2)。

(注) 端数金額を切り捨てた結果、分割前のα株式会社の株式の総額(3欄)が分割後のα株式会社の株式総額(17欄×6欄)とβ株式会社の株式総額(18欄×10欄)の合計額を下回り差額が生じる(当該差額を以下「端数金額に係る差額」という。)ことになるが、当該端数金額に係る差額は、相続税の課税価格に算入する必要がないのであるから留意する。

【算式】

30,000,000円(3欄)−〔(83,333円×300株)+(5,555円×900株)〕= 600円
端数金額に係る差額

【第11・11の2表の付表3】

  1.  「2 特定受贈同族会社株式等である選択特定事業用資産の明細」欄には、特例の適用を受ける特定受贈同族会社株式等及び当該特定受贈同族会社株式等に係る対応株式について記載する。
  2.  1欄の金額は、「第11・11の2表の付表3の2」の17欄又は18欄の金額を記載する。

【第11の2表】

  1.  「2 相続時精算課税適用財産(1の4)の明細」の2欄及び3の「種類」欄から「数量」欄の各欄は、贈与税の申告書第2表に基づき記載する。
  2.  3の「価額」欄は、「第11・11の2表の付表3」の「2 特定受贈同族会社株式等である選択特定事業用資産の明細」の7欄に記載された特例の適用を受ける特定受贈同族会社株式等及び当該特定受贈同族会社株式等に係る対応株式の価額の合計額を記載する。
     また、同欄の金額が「第11・11の2表の付表3」により算出されていることを明らかにするため、適宜の箇所にその旨を表示する。