第3章 申請手続等
(経過措置の適用)
6−5 法第6条第2項及び第5項第3号((電磁的記録による保存等の承認の申請等))に規定する申請書の提出期限等に係るe−文書整備法附則第3条((電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律の一部改正に伴う経過措置))の規定は、この規定がないこととした場合の申請書の提出期限が平成18年3月31日以前に到来するものについて適用があることに留意する。
【解説】
e−文書整備法附則第3条では、法第6条第2項の申請書の提出期限、同項ただし書の新設法人の保存に代える日及び第5項第3号の新設法人のみなし承認の日について、この法律の施行日(平成17年4月1日)から1年を経過する日までの間は「当該国税関係書類の保存に代える日の3月前の日」を「当該国税関係書類の保存に代える日の5月前の日」、「設立の日から同日以後6月を経過する日」を「設立の日から同日以後8月を経過する日」及び「提出の日から3月を経過する日」を「提出の日から5月を経過する日」とする経過措置が講じられている。これらは、この経過措置がないこととした場合の申請書の提出期限(当該国税関係書類の保存に代える日の3月前の日)が平成18年3月31日以前に到来するものについて適用があることを明らかにしたものである。
申請書の提出期限等について具体例を挙げると次のとおりである。
(経過措置の適用例)
電磁的記録の保存に代える日 | 3月前の日 | 申請書の提出期限 | 経過措置適用 |
---|---|---|---|
平成18年7月1日 | 平成18年3月31日 | 平成18年1月31日 | あり |
平成18年7月2日 | 平成18年4月1日 | 平成18年4月3日 (平成18年4月1日は土曜日である) |
なし |
平成18年8月2日 | 平成18年5月1日 | 平成18年5月1日 | なし |
(新設法人の経過措置の適用例)
設立の日 | 設立の日から下記に掲げる日までに保存に代える場合 | 申請書提出日 (仮置き) |
申請期限 (設立の日以後3月を経過する日) |
みなし承認日 | 経過措置適用 |
---|---|---|---|---|---|
平成17年12月28日 (注) |
平成18年8月27日 (設立の日以後8月を経過する日) |
平成18年2月15日 | 平成18年3月27日 | 平成18年7月15日 (申請書提出の日から5月を経過する日) |
あり |
平成18年1月4日 (注) |
平成18年2月3日 (設立の日以後6月を経過する日) |
平成18年2月15日 | 平成18年4月3日 | 平成18年5月15日 (申請書提出の日から3月を経過する日) |
なし |
平成18年2月1日 | 平成18年7月31日 (設立の日以後6月を経過する日) |
平成18年4月15日 | 平成18年5月1日 (平成18年4月30日は日曜日である) |
平成18年7月15日 (申請書提出の日から3月を経過する日) |
なし |
(注 ) 法律上は、設立年月日が平成18年1月1日(申請期限 平成18年3月31日)であれば経過措置の適用があり、平成18年1月2日(申請期限 平成18年4月1日)であれば経過措置の適用はないのであるが、法務局の稼働日以外の日に営利法人の設立はあり得ないことから、平成17年12月28日と平成18年1月4日を例に挙げた。
(システム変更を行った場合の取扱い)
7−4 保存義務者がシステムを変更した場合には、変更前のシステムにより作成された国税関係帳簿書類に係る電磁的記録(電子計算機出力マイクロフィルムにより保存している場合における規則第4条第1項第5号((電磁的記録の並行保存等))の規定により保存すべき電磁的記録を含む。以下7−4において「変更前のシステムに係る電磁的記録」という。)については、原則としてシステム変更後においても、規則第3条((国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存等))又は第4条((国税関係帳簿書類の電子計算機出力マイクロフィルムによる保存等))に規定する要件に従って保存等をしなければならないことに留意する。
この場合において、当該要件に従って変更前のシステムに係る電磁的記録の保存等をすることが困難であると認められる事情がある場合で、変更前のシステムに係る電磁的記録の保存等をすべき期間分(規則第4条第1項第5号に規定する電子計算機出力マイクロフィルムの保存に並行して電磁的記録の保存を行っている期間分を含む。)の電磁的記録(法第4条第1項又は第2項((国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存等))の承認を受けた国税関係帳簿書類に係る電磁的記録に限る。)を書面に出力し、保存等をしているときには、これを認める。
また、法第4条第3項の承認を受けた電磁的記録については、変更前のシステムに係る電磁的記録の保存をすべき期間分の電磁的記録の基となった書類を保存しているときは、これを認める。
(注) 後段の取扱いによって法第7条第2項((変更の届出書の提出))に規定する届出書を提出する場合には、当該届出書に次に掲げる事項を記載するものとする。
(1) システム変更の内容
(2) 当該要件に従って変更前のシステムに係る電磁的記録の保存等をすることが困難な事情
(3) 書面により保存等をすることとなる国税関係帳簿書類の種類及び保存期間
【解説】
電磁的記録による保存等を行っている者が、承認を受けている国税関係帳簿の作成に使用するシステムを代えたり、一部システムの修正をし、その後も引き続き電磁的記録により保存等を行う場合には、変更前のシステムに係る電磁的記録(以下「旧システムデータ」という。)を新システムで対応可能となるよう措置する(システム開発やデータ変換等を行う)など、新システムにおいても引き続き要件を充足しておく必要がある(旧システムデータを出力等できるよう変更前のシステム(見読機能・検索機能部分及び法第4条第3項の承認を受けた国税関係書類に係る電磁的記録を出力等するシステムにあっては、訂正削除履歴の確保機能その他の機能を含む。)を並存することも当然認められる。)ので、この旨を明らかにしたものである。
なお、法第4条第1項又は第2項のシステムの場合は、会計システムそのものであることが多いと考えられることから、上記のような措置を講じて旧システムのデータ保存等をすることが困難なケースも生じ得ると考えられるが、そのようなケースにおいては、原則的には、いったん電磁的記録による保存等の取りやめの届出書を提出し、既に保存等をしている旧システムデータ(法第4条第3項の承認を受けたものを除く。)を書面に出力するとともに、改めて新システムによる電磁的記録(以下「新システムデータ」という。)による保存等の承認申請(再申請)を行う必要がある。
しかしながら、取りやめの届出書を提出した日以後1年以内の再申請については、その事実のみをもって却下の対象となってしまう(法第6条第3項第1号)ことから、結局、そのようなシステム変更(旧システムデータにつき要件に従った保存等をすることができないようなシステム変更)を行わざるを得なかった保存義務者は、旧システムデータ(法第4条第3項の承認を受けたものを除く。)を書面に出力して保存しなければならないことに加えて、新システムデータについても、たとえ要件に従った保存等が可能であるとしても、新システムへの移行後1〜2年間は電磁的記録による保存等を行い得ないこととなるが、特に、この場合の新システムデータに係る取扱いは、この法律の趣旨に照らして酷に過ぎるのではないかとする考え方がある。
そこで、変更前のシステムに係る電磁的記録の保存等をすることが困難であると認められる事情があり、かつ、システム変更に伴って提出する法第7条第2項の変更届出書に、その困難な事情等を記載している場合には、旧システムデータ(法第4条第1項又は第2項の承認を受けた国税関係帳簿書類に係る電磁的記録に限るものとし、電磁的記録により保存等すべき期間に係るものに限る。)を書面に出力し保存等をすることを認め、新システムデータをそのまま電磁的記録により保存等をすることができることとしたものである。
また、法第4条第3項の承認を受けた国税関係書類に係る電磁的記録に関しては、保存されている電磁的記録の基となった書類を保存することになるのであるが、当該書類を破棄している場合には、当該電磁的記録に代わる書類はもはや存在しないことから、後段の取扱いはないことに留意する。
(スキャナ保存における承認の取消事由)
8−1 法第4条第3項((国税関係書類の電磁的記録による保存))の承認を受けた国税関係書類に係る電磁的記録の保存をする場合において、当該承認を受けた国税関係書類について、一部でも電磁的記録の保存が行われていないとき又は財務省令で定める要件に従っていないときは、たとえ当該電磁的記録の基となった書類を保存しているとしても、法第8条第1項第1号又は第2号((電磁的記録による保存等の承認の取消し))に該当することとなることに留意する。
なお、法第4条第3項の承認を受けている場合における法第8条第1項第1号の適用に当たっては、保存義務者が選択した入力期限後(入力期限がない場合には入力の後)において、電磁的記録の保存がない場合に適用されることに留意する。
【解説】
法第4条第3項では「電磁的記録の保存をもって当該承認を受けた国税関係書類の保存に代えることができる。」と規定していることから、承認を受けた国税関係書類の一部を電磁的記録で保存することによって国税関係書類の保存に代え、一部は電磁的記録にしないで紙の書類のままで保存することが可能ではないかとの誤解が生じかねないことから、承認を受けた国税関係書類についてはすべて要件に従って電磁的記録による保存をしなければ、法第8条第1項第1号又は第2号に該当する旨を、念のため明らかにしたものである。
なお、法第4条第3項の承認を受ける場合についても、同条第1項及び第2項と同様に事業所ごと等でも承認を受けることが可能となっている。
また、法第4条第3項の承認を受けた国税関係書類の場合、規則第3条第5項第1号((入力方法))又は同条第6項((適時入力))のとおり、国税関係書類の作成又は受領後に電磁的記録が保存されることとなるので、保存前の期間については電磁的記録の保存がない状態が生じるため、法第8条第1項第1号に該当するのではないかと考えられなくもない。
しかしながら、法第8条第1項第1号に規定する「保存がないこと」とは、保存すべき電磁的記録の保存がないことであるから、規則第3条第5項第1号イ又はロにより一定期間内に入力する場合は入力までの期間又は同条第6項により適時に入力する場合はその入力するまでの期間は、保存すべき電磁的記録がないので、法第8条第1項第1号には該当しない旨を併せて明らかにした。