問6

当社(9月決算法人、小売業)は、インボイス制度導入後である令和12年9月1日に免税事業者から国内にある商品(家具)20個を仕入れ、その対価として220万円(11万円×20個)を支払いました。当社は税抜経理方式で経理しており、本件取引について支払対価の額の110分の10相当額を仮払消費税等の額として経理し、決算時に雑損失として計上しました。また、この商品のうち10個は期末時点で在庫として残っています。この場合の課税仕入れに係る法人税の取扱いはどうなりますか。

〔仕入時〕
(借方)仕入2,000,000円(貸方)現金2,200,000円
仮払消費税等200,000円
〔決算時〕
(借方)商品1,000,000円(貸方)仕入1,000,000円
雑損失200,000円仮払消費税等200,000円

【回答】

以下のような申告調整を行います。

・別表四 所得の金額の計算に関する明細書

区分 総額 処分
留保 社外流出
加算 雑損失の過大計上 100,000円 100,000円  

・別表五(一) 利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書 

T 利益積立金額の計算に関する明細書
区分 期首現在
利益積立金額
当期の増減 差引翌期首現在
利益積立金額
商品     100,000円 100,000円

【解説】

インボイス制度導入後(令和11年10月1日以降)は、税務上は適格請求書発行事業者以外の者(消費者、免税事業者又は登録を受けていない課税事業者)からの課税仕入れについて仮払消費税等の額はないこととなるため、仮に法人の会計において仮払消費税等の額として経理した金額がある場合には、その金額を取引の対価の額に算入して法人税の所得金額の計算を行うことになります(新経理通達14の2)。
 本事例においては、法人の会計上、20万円を仮払消費税等の額として商品の取得価額と区分して経理していますが、税務上は仮払消費税等の額はないことになりますので、この20万円は商品の取得価額に算入することになります。
 ところで、本事例においては、商品の取得(仕入)時に仮払消費税等の額として経理した金額を、決算時に雑損失として計上しています。この雑損失の額は、本来は商品の取得価額に算入すべきものですが、期中に販売した商品に係る部分の金額は売上原価として当該事業年度の損金の額に算入されますので、期末に在庫として残った商品に係る部分の金額を当該事業年度の所得金額に加算することになります。