(問20)

通算法人における災害等による確定申告書の提出期限の延長制度の概要を教えてください。

【回答】

通算法人に対して、災害等による確定申告書の提出期限の延長の規定が適用された場合には、他の通算法人についてもその申告書の提出期限が延長されたものとみなされます。

【解説】

  1. (1) 国税通則法第11条の規定による確定申告書の提出期限の延長がある場合
      国税庁長官等は、災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるときは、その理由のやんだ日から2月以内に限り、その期限を延長することができることとされています(通法11)。
      この規定により通算法人の確定申告書の提出期限が延長された場合(注1)には、他の通算法人についても全て、以下の規定により指定された期日まで、確定申告書(その延長された申告書に係る事業年度終了の日に終了する当該他の通算法人の事業年度に係るものに限ります。)の提出期限が延長されたものとみなされます(法75の3、令150の32)(注2)。
    • イ 地域指定(通令31
       国税庁長官は、都道府県の全部又は一部にわたり災害その他やむを得ない理由により、国税通則法第11条に規定する期限までに同条に規定する行為をすることができないと認める場合には、地域及び期日を指定してその期限を延長することとされています。
    • ロ 対象者指定(通令32
       国税庁長官は、災害その他やむを得ない理由により、国税通則法第11条に規定する期限までに同条に規定する行為をすべき者(上記イの規定の適用がある者を除きます。)であって、その期限までにその行為のうち特定の税目に係る国税に関する法律又は情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律第6条第1項の規定により電子情報処理組織を使用して行う申告その他の特定の税目に係る特定の行為をすることができないと認める者(以下「対象者」といいます。)が多数に上ると認める場合には、対象者の範囲及び期日を指定してその期限を延長することとされています。
    • ハ 個別指定(通令33
       国税庁長官等は、災害その他やむを得ない理由により、国税通則法第11条に規定する期限までに同条に規定する行為をすることができないと認める場合には、上記イ及びロの規定の適用がある場合を除き、その行為をすべき者の申請により、期日を指定してその期限を延長することとされています。
    • (注1) 通算承認を受ける前に上記の地域等の指定がされていた場合で、その通算承認の効力が生ずる日以後に終了する事業年度の確定申告書の提出期限が延長されるときも含まれます。

      (注2) その指定された期日が当該他の通算法人の確定申告書の提出期限前の日である場合には、適用されません。
       したがって、各通算法人がその期限として指定された期日のうち、最も遅い日まで延長されることになります。

  2. (2) 国税通則法第11条の規定による確定申告書の提出期限の延長の適用がない場合(上記(1)以外の場合)
     上記(1)の確定申告書の提出期限の延長の適用がない場合であっても、災害その他やむを得ない理由により、その通算法人若しくは他の通算法人の決算が確定しないため、又は通算法人に適用される規定による所得の金額若しくは欠損金額及び法人税の額の計算を了することができないために確定申告書を提出期限までに提出することができないと認められる場合には、納税地の所轄税務署長は、通算親法人の申請に基づき、期日を指定してその提出期限を延長することができることとされています(法7518一)。
     この提出期限の延長の規定を適用するためには、通算親法人がその適用を受けようとする事業年度終了の日の翌日から45日以内に、その申請書を通算親法人の納税地の所轄税務署長に提出し、その延長の規定の適用を受ける必要があります(法752458)。
     通算親法人に対して提出期限が延長された場合には、他の通算法人の全てにつき提出期限の延長がされたものとみなされます(法758二)。
     なお、通算子法人は、この規定を適用するための申請書を提出することができません(法758三)。

(参考)
 確定申告書の提出期限については、次のQ&Aを参照してください。

  1. 問19 確定申告書の提出期限