(問54)

連結親法人P社(3月決算)の連結子法人S2社は、×1年12月1日にP社の連結グループの連結子法人S1社を合併法人とする適格合併を行いましたが、S2社のその合併の日の前日の属する事業年度において欠損金額が生じました。この場合のS2社のその事業年度に生じた欠損金額及びこれまでの連結事業年度に生じた連結欠損金個別帰属額は、どのように取り扱うのでしょうか。

【回答】

S2社の×1年4月1日から×1年11月30日までの期間の事業年度に生じた欠損金額は、S1社の×1年4月1日から×2年3月31日までの期間の連結事業年度の連結所得の金額の計算において損金の額に算入され、また、S2社の×1年4月1日前9年(注)以内に開始した各連結事業年度に生じた連結欠損金個別帰属額は、S1社の連結欠損金個別帰属額に加算されます。

【解説】

連結子法人が連結事業年度の中途において合併により解散した場合には、その連結子法人はその合併の日において連結納税の承認が取り消されたものとみなされ(法4の52四)、その連結事業年度開始の日からその合併の日の前日までの期間がその連結子法人の事業年度とみなされるとともに(法141十)、その事業年度とみなされた期間は連結事業年度に含まれない事業年度となります(法15の21二)。したがって、その連結子法人は、その事業年度について連結法人として単体申告を行うこととなります。
 また、連結法人を合併法人とする合併でその連結法人との間に連結完全支配関係を有する他の連結法人を被合併法人とするものが行われた場合(その合併の日が連結親法人事業年度開始の日であるなど一定の場合を除きます。)で、その被合併法人である他の連結法人のその合併の日の前日の属する事業年度において欠損金額が生じたときは、その欠損金額に相当する金額は、その合併法人である連結法人のその合併の日の属する連結事業年度の連結所得の金額の計算において損金の額に算入されます(法81の94)。
 この場合に、その合併が連結子法人を被合併法人とする適格合併であるときは、その合併の日の属する連結親法人事業年度開始の日前9年(注)以内に開始した各連結事業年度において生じたその被合併法人である連結子法人の連結欠損金個別帰属額(その被合併法人である連結子法人のその合併の日の前日の属する事業年度において青色欠損金額とみなされたもののうち損金の額に算入された金額など一定の金額を除きます。)は、その合併法人である連結法人の連結欠損金個別帰属額に加算されることとなります(法81の95一、令155の212二)。
 本件では、P社の連結事業年度の中途(×1年12月1日)において行った合併に係る被合併法人であるS2社は、その連結事業年度開始の日(×1年4月1日)からその合併の日の前日(×1年11月30日)までの事業年度について連結法人として単体申告を行いますが、その事業年度に生じた欠損金額は、S1社のその連結事業年度の連結所得の金額の計算において損金の額に算入されることとなります。
 また、その合併は連結完全支配関係を有するS1社を合併法人とする適格合併であることから、その適格合併の日の属する連結事業年度開始の日(×1年4月1日)前9年(注)以内に開始した各連結事業年度において生じたS2社の連結欠損金個別帰属額は、合併法人であるS1社の連結欠損金個別帰属額に加算されることとなります。

解読図

(注) 平成30年4月1日以後に開始する連結事業年度において生ずる連結欠損金額については10年となります(平27年改正法附則301)。

(参考)

連結欠損金額の損金算入額の計算方法については、次のQ&Aを参照してください。

  1. 問53 連結欠損金額の損金算入額の計算方法