(問38)

 連結親法人となるP社は、×1年4月1日から×2年3月31日までの事業年度を最初の連結事業年度とする連結納税の承認申請を行い、その承認を受けています。
 P社の連結グループの連結子法人となるS1社は、1,000万円以上の含み益のある土地を保有する時価評価を要する法人です。
 S1社は、×1年4月1日に、自己を被合併法人とし、時価評価を要しない連結子法人となるS2社を合併法人とする適格合併を行うことを予定していますが、最初の連結事業年度の直前の事業年度において、土地の時価評価を行うことになるのでしょうか。

【回答】

 S1社は、最初の連結事業年度の直前の事業年度において、土地の時価評価益の計上を行った上でS2社と適格合併を行うこととなります。

解読図

【解説】

 連結子法人となる法人のうち、連結親法人となる法人の最初の連結事業年度開始の時にその連結親法人となる法人との間に完全支配関係を有するものは、原則として、その最初の連結事業年度の直前の事業年度終了の時に有する時価評価資産について、時価評価損益を計上することとされています(法61の111)。
 本件においてS1社(被合併法人)は、連結親法人となるP社の最初の連結事業年度開始の時(×1年4月1日)にP社との間に完全支配関係を有することから、その最初の連結事業年度の直前の事業年度終了の時(×1年3月31日)に有する時価評価資産(土地)の評価損益をその直前の事業年度において計上し、その最初の連結事業年度開始の日(×1年4月1日)に適格合併によりS2社(合併法人)に時価評価後の帳簿価額でその時価評価資産(土地)を引き継ぐこととなります(法62の214、令122の124、123の313)。
 また、S1社は連結納税の承認の効力の発生日であるP社の最初の連結事業年度開始の日(×1年4月1日)に適格合併により解散することから、同日で連結納税の承認は取り消されたものとみなされます(法4の35、4の52四)。
 なお、連結親法人となる法人の最初の連結事業年度開始の日に連結子法人となる法人が連結グループ外の法人を合併法人とする合併により、合併法人に移転する資産は時価評価資産から除かれますが、本件は連結グループ内のS2社を合併法人とする合併であるため、時価評価資産から除かれません(令122の121六)。

(注) 平成29年度の税制改正において、時価評価資産の範囲に関する見直しがされていますので、留意してください。

(参考)

連結親法人となる法人の最初の連結事業年度開始の日に連結子法人となる法人が連結グループ外の法人を合併法人とする合併により、合併法人に移転する資産が時価評価資産から除かれることについては、次のQ&Aを参照してください。

  1. 問35 時価評価資産の範囲