(問35)

 連結納税の開始又は加入に当たっては、連結子法人となる法人の有する一定の資産については、時価評価することとされていますが、時価評価の対象となる資産(時価評価資産)とはどのようなものをいうのですか。

【回答】

 時価評価資産とは、固定資産、棚卸資産たる土地(土地の上に存する権利を含みます。)、有価証券、金銭債権及び繰延資産をいいます。
 ただし、その資産の時価と帳簿価額との差額が連結子法人となる法人の資本金等の額の2分の1に相当する金額又は1,000万円のいずれか少ない金額に満たないものなど、一定の資産が除かれます(注)。

【解説】

 時価評価資産とは、固定資産、棚卸資産たる土地(土地の上に存する権利を含みます。)、有価証券、金銭債権及び繰延資産をいいますが、次の資産を除くこととされています(法61の111、令122の121)。

  1. 1 連結子法人となる法人(以下「子法人」といいます。)が連結親法人となる法人(以下「親法人」といいます。)による完全支配関係を有することとなった日以後最初に開始する連結親法人事業年度開始の日の5年前の日以後に終了する各事業年度又は各連結事業年度において、国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入(法42)などの規定の適用を受けた減価償却資産(適格合併などにより移転を受けた同様の規定の適用を受けた減価償却資産を含みます。)
  2. 2 売買目的有価証券(法61の31一)及び償還有価証券(令119の14)
  3. 3 その資産の時価と帳簿価額との差額(一定の調整を要する場合があります。)が、子法人の資本金等の額の2分の1に相当する金額又は1,000万円のいずれか少ない金額に満たないもの
  4. 4 子法人との間に完全支配関係がある内国法人(清算中のもの、合併による解散以外の解散が見込まれるもの、又はその内国法人との間に完全支配関係がある他の内国法人との間で適格合併を行うことが見込まれるものに限ります。)の株式又は出資で、その時価がその帳簿価額に満たないもの
  5. 5 最初連結親法人事業年度(親法人が連結納税の承認を受けて最初の連結事業年度としようとする期間をいいます。以下同じです。)開始の日に子法人が自己を被合併法人とする合併(その親法人及び他の子法人のいずれにも該当しない法人を合併法人とするものに限ります。)により合併法人に移転する資産及びその合併によりその親法人又はその子法人にその発行済株式又は出資を直接又は間接に保有されている他の子法人(以下「孫会社等」といいます。)がその親会社との間に完全支配関係(連結除外法人及び外国法人が介在しない一定の関係に限ります。以下同じです。)を有しなくなる場合の孫会社等の保有する資産
  6. 6 最初連結親法人事業年度の開始の日に子法人が自己を合併法人とする合併によりその親法人との間に完全支配関係を有しなくなる場合のその子法人の保有する資産及びその合併により孫会社等がその親会社との間に完全支配関係を有しなくなる場合の孫会社等の保有する資産
  7. 7 子法人が、親法人との間に完全支配関係を有することとなった日(法人税法第14条第2項(同項第1号に係る部分に限ります。)の規定の適用を受ける場合には、同項に規定する加入日の前日の属する同号に規定する月次決算期間の末日の翌日)以後2月以内に、その子法人の株式が連結グループ外の法人に譲渡されたことなど一定の事由によりその完全支配関係を有しなくなる場合のその子法人(その親法人を合併法人とする合併によりその完全支配関係を有しなくなるものなど一定のものを除きます。)の保有する資産

(注) 平成29年度の税制改正において、時価評価資産の範囲に関する見直しがされていますので、留意してください。

(参考)

子法人が、親法人との間に完全支配関係を有することとなった日以後2月以内に、一定の事由によりその完全支配関係を有しなくなる場合の取扱いについては、次のQ&Aを参照してください。

  1. 問36 連結加入直後に離脱した場合の時価評価