(問29)

 連結親法人P社(3月決算)が、X1年12月3日にS社(9月決算)の発行済株式の全てを取得したため、S社はP社の連結グループに加入することとなりました。
 S社は、これによって生ずる加入した日の前日の属するみなし事業年度について、みなし事業年度の特例を適用して単体申告を行うこととし、その適用を受けるための一定の書類をその提出期限内に納税地の所轄税務署長に提出しました。
 しかし、X1年12月25日にP社がS社の株式を連結グループ外の第三者へ売却したことから、S社はP社の連結グループから離脱することとなりました。
 この場合、S社はどのような申告を行うこととなりますか。

【回答】

 S社は、×1年10月1日から×2年9月30日までの期間の事業年度において、みなし事業年度が生じないことから、その事業年度について単体申告を行うこととなります。

【解説】

 連結子法人となる法人が、連結親法人事業年度の中途において連結親法人との間にその連結親法人による完全支配関係(連結除外法人及び外国法人が介在しない一定の関係に限ります。以下同じです。)を有することとなった場合において、その完全支配関係を有することとなった日(以下「加入日」といいます。)からその加入日の前日の属する月次決算期間(会計期間をその開始の日以後1月ごとに区分した各期間をいいます。以下同じです。)の末日まで継続してその連結子法人となる法人とその連結親法人との間にその連結親法人による完全支配関係があるときには、みなし事業年度の特例に関する一定の書類をその提出期限内に納税地の所轄税務署長に提出することで、みなし事業年度の特例を適用することができます(法142)。
 この場合、その加入日の前日の属する事業年度開始の日からその前日の属する月次決算期間の末日までの期間及びその末日の翌日からその翌日の属する連結親法人事業年度終了の日までの期間について、みなし事業年度が生ずることとなります(法142一イ)。
 また、連結子法人となる法人が連結親法人事業年度の中途において連結親法人との間にその連結親法人による完全支配関係を有することとなった場合において、その加入日からその加入日の前日の属する月次決算期間の末日までの間にその連結親法人による完全支配関係を有しないこととなったときは、みなし事業年度の特例に関する一定の書類をその提出期限内に納税地の所轄税務署長に提出することで、みなし事業年度の特例により、みなし事業年度自体が生じないこととなります(法142二)。
 本件では、S社はP社により×1年12月3日に発行済株式の全てを取得されたため、同日においてP社による完全支配関係を有することとなりましたが、×1年12月25日にP社がS社の株式を売却したことにより、その有することとなった日(×1年12月3日)からその有することとなった日の前日の属する月次決算期間の末日(×1年12月31日)までの間(×1年12月25日)にP社による完全支配関係を有しないこととなり、S社はみなし事業年度の特例に関する一定の書類をその提出期限内に提出していることから、みなし事業年度が生じませんので、×1年10月1日から×2年9月30日までの期間の事業年度について、単体申告を行うこととなります。

解読図

(参考)

連結子法人となる法人の加入日からその加入日の前日の属する月次決算期間の末日まで連結親法人による完全支配関係が継続している場合のみなし事業年度の特例については、次のQ&Aを参照してください。

  1. 問28 月次決算期間の中途で連結納税に加入する連結子法人となる法人のみなし事業年度の特例