(問24)

 P社(3月決算)は、X2年4月1日からX3年3月31日までの期間から連結納税の承認を受けるため、その期間の開始の日の3月前の日までに連結納税の承認申請書を提出しました。この承認申請書に記載した連結子法人となる法人の中には、P社と決算期が異なる法人S社(9月決算)があります。
 この場合、S社は(1)いつから連結納税の適用を受けることとなりますか。また、(2)これに伴いどのような申告などを行うこととなりますか。
 なお、最初の連結事業年度としようとする期間の開始の日(X2年4月1日)の前日までに、連結納税の承認申請に係る処分はありませんでした。

【回答】

  1. (1) S社は、X2年4月1日以後の期間について、連結納税の適用を受けることとなります。
  2. (2) S社は、その事業年度開始の日(X1年10月1日)から最初連結親法人事業年度開始の日の前日(X2年3月31日)までの期間について単体申告を行うこととなります。また、その連結親法人事業年度開始の日(X2年4月1日)からその終了の日(X3年3月31日)までの期間については、P社がS社の個別益金額又は個別損金額などを含めて連結申告を行うこととなり、S社は個別帰属額等を記載した書類などをS社の本店又は主たる事務所の所在地の所轄税務署長に提出することとなります。

【解説】

  1. (1) 連結納税の承認申請について、連結親法人となる法人に対して連結納税の承認の処分があった場合には、連結子法人となる法人の全てにつき、その承認があったものとみなされます(法4の33)。
     また、連結の承認申請書を提出した場合(設立事業年度等の承認申請特例(法4の36)の適用を受けて提出した場合を除きます。)において、最初の連結事業年度としようとする期間の開始の日の前日までに連結納税の承認又は却下の処分がなかったときには、連結親法人となる法人及び連結子法人となる法人の全てにつき、その開始の日においてその承認があったものとみなされます(法4の34)。
     これらの場合において、連結納税の承認は、連結親法人となる法人及び連結子法人となる法人の全てにつき、最初の連結事業年度としようとする期間の開始の日以後の期間について、その効力を生ずることとされています(法4の35)。
     本件では、X2年4月1日の前日までに、連結納税の承認又は却下の処分がなかったことから、P社及びS社を含む連結子法人となる法人の全てにつき、X2年4月1日においてその承認があったものとみなされ、X2年4月1日以後の期間について、その効力を生ずることとなるため、S社は、X2年4月1日以後の期間について、連結納税の適用を受けることとなります。
  2. (2) 連結子法人となる法人の事業年度の中途において最初連結親法人事業年度が開始した場合(設立事業年度等の承認申請特例(法4の36)の適用を受けて連結納税の承認申請書を提出する場合を除きます。)には、その事業年度開始の日からその最初連結親法人事業年度開始の日の前日までの期間のみなし事業年度が生ずることとされています(法141三)。
     また、連結子法人の事業年度開始の日及び終了の日がそれぞれその開始の日の属する連結親法人事業年度開始の日及び終了の日でない場合(法人税法第14条第1項第5号から第7号に掲げる場合を除きます。)には、その連結親法人事業年度開始の日からその終了の日までの期間のみなし事業年度が生ずることとされています(法141四)。
     なお、連結子法人は、その連結事業年度に係る法人税法第81条の18第1項の規定により計算される法人税の負担額として帰せられる金額又は法人税の減少額として帰せられる金額など一定の事項(以下「個別帰属額等」といいます。)を記載した書類にその連結事業年度の貸借対照表、損益計算書などの書類を添付し、それをその連結子法人の本店又は主たる事務所の所在地の所轄税務署長に提出することとされています(法81の251)。
     本件では、S社は、その事業年度開始の日(X1年10月1日)からその最初連結親法人事業年度開始の日の前日(X2年3月31日)までの期間について単体申告を行うこととなります。
     また、その連結親法人事業年度開始の日(X2年4月1日)からその終了の日(X3年3月31日)までの期間については、P社がS社の個別益金額又は個別損金額などを含めて連結申告を行うこととなり、S社は個別帰属額等を記載した書類などをS社の本店又は主たる事務所の所在地の所轄税務署長に提出することとなります。

解読図

(参考)

連結法人税の個別帰属額の計算については、次のQ&Aを参照してください。

  1. 問62 連結法人税の個別帰属額の計算