(問9)

 株式移転によりX2年4月1日に設立されたP社(3月決算)は、X2年4月1日からX3年3月31日までの期間を最初の連結事業年度とするいわゆる設立事業年度等の承認申請特例の適用を受けるため、X2年4月20日に連結納税の承認の申請書を提出しました。
 その後、連結納税の承認を受ける前のX2年5月1日に、P社は、P社との間に完全支配関係を有していたS社(9月決算)の発行済株式の全てを連結グループ外の第三者に譲渡することとなりました。
 この場合、S社は、どのような申告を行うこととなりますか。

【回答】

 S社は、1X1年10月1日からX2年3月31日までの期間、2X2年4月1日からX3年3月31日までの期間及び3X3年4月1日からX3年9月30日までの期間のみなし事業年度について、単体申告を行うこととなります。

【解説】

 連結親法人となる法人が設立事業年度等の承認申請特例(法4の36)の適用を受けるため、連結納税の承認の申請書を提出した場合、その連結親法人となる法人との間に完全支配関係がある連結子法人となる法人には、設立事業年度等の承認申請特例(法4の36)の適用を受けて連結納税を開始しようとする事業年度(以下「連結申請特例年度」といいます。)開始の日の前日の属する事業年度開始の日からその前日までの期間、その連結申請特例年度開始の日からその終了の日までの期間及びその終了の日の翌日からその翌日の属する事業年度終了の日までの期間(連結納税の承認を受けた場合には、その期間を除きます。)のみなし事業年度が生ずることとなります(法141五)。
 本件では、P社がX2年4月1日からX3年3月31日までの期間を連結申請特例年度とする連結納税の承認の申請書を提出していることから、S社には、連結申請特例年度開始の日の前日の属する事業年度開始の日(X1年10月1日)からその前日(X2年3月31日)までの期間(次の図における1の期間)、その連結申請特例年度開始の日(X2年4月1日)からその終了の日(X3年3月31日)までの期間(次の図における2の期間)及びその終了の日の翌日(X3年4月1日)からその翌日の属する事業年度終了の日(X3年9月30日)までの期間(次の図における3の期間)のみなし事業年度が生ずることとなりますが、S社は連結納税の承認を受ける前のX2年5月1日にP社との間に完全支配関係を有しなくなったことから、これらの各期間(次の図における12及び3の各期間)について単体申告を行うこととなります。
 なお、P社とS社は、X2年5月1日以後遅滞なく、「連結完全支配関係等を有しなくなった旨を記載した書類」をそれぞれの納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません(令14の92二)。

解読図

(参考)

設立事業年度等の承認申請特例による連結納税の承認の申請書の提出期限については、次のQ&Aを参照してください。

  1. 問8 連結納税の承認の申請書等の提出