【新設】 (飲食その他これに類する行為の範囲)

61の4(1)−15の2 措置法第61条の4第3項第2号に規定する「飲食その他これに類する行為」(以下「飲食等」という。)には、得意先、仕入先等社外の者に対する接待、供応の際の飲食の他、例えば、得意先、仕入先等の業務の遂行や行事の開催に際して、得意先、仕入先等の従業員等によって飲食されることが想定される弁当等の差し入れが含まれることに留意する。

(注) 例えば中元・歳暮の贈答のように、単なる飲食物の詰め合わせ等を贈答する行為は、飲食等には含まれない。ただし、本文の飲食等に付随して支出した費用については、当該飲食等に要する費用に含めて差し支えない。


※下線部分が改正部分である。

【解説】

1  法人の支出する交際費等の損金不算入制度について、平成18年度の税制改正により、交際費等の範囲から1人当たり5,000円以下の一定の飲食費が所定の書類の保存要件が付された上で除外されている。
 この場合の飲食費とは、租税特別措置法第61条の4第3項第2号に「飲食その他これに類する行為のために要する費用」と定義されており、その費用に該当するかどうかの前提として、具体的にいかなる行為が「飲食その他これに類する行為」に当たるのかという疑問がある。

2  通常、「飲食」というと、従業員等が得意先等に対する接待、供応の際に、自らも一緒に飲食する行為が考えられるが、ビジネスランチのような支出の費用性を1人当たり5,000円以下という金額により形式的に判定して少額飲食費を交際費等の範囲から除いた趣旨にかんがみれば、限定的な飲食行為だけに限る必要はなく、それ故に「飲食その他これに類する行為」と規定されたものと考えられる。
 したがって、通常、自己の従業員等が得意先等を接待して飲食するための「飲食代」以外にも、例えば、得意先等の業務の遂行や行事の開催に際して、弁当の差入れを行うための「弁当代」などが対象となると考えられる。本通達の本文において、このことを明らかにしている。

3  なお、この場合の差入れ等の対象となる飲食物は、得意先等において差入れ後相応の時間内に「飲食」されることが想定されるものを前提としている。すなわち、単なる飲食物の詰め合わせを贈答する行為は、いわゆる中元・歳暮としての贈答と変わらないことから、「飲食その他これに類する行為」には含まれないと考えられ、その贈答のために要する費用は、原則として、交際費等に該当することになる。

4  ただし、飲食物の提供、贈答等に当たって、相応の時間内に飲食されることが想定されるかどうかについては、現実的に明確性を伴わない場面も生ずる。例えば、飲食店等での飲食後、その飲食店等で提供されている飲食物の持ち帰りに要する「お土産代」をその飲食店等に支払う場合には、飲食に類する行為に該当するものとしたとしても、あながち不自然ではないと考えられる。
 そこで、本通達の注書において、飲食等に付随して支出した費用については、相応の時間内に飲食されることが想定されるか否かにかかわらず、当該飲食等に要する費用に含めて差し支えないことを明らかにしている。

5  ところで、飲食等のために要する費用としては、通常、飲食等という行為をするために必要である費用が考えられることから、例えば、飲食等のためにテーブルチャージ料やサービス料等として飲食店等に対して直接支払うものが対象となる。
 一方、得意先等との飲食等を行う飲食店等へ送迎するために送迎費を負担した場合は、本来、接待・供応に当たる飲食等を目的とした送迎という行為のために要する費用として支出したものであり、通常、飲食等のために飲食店等に対して直接支払うものでもないことから、その送迎費自体は交際費等に該当することになる。この場合、1人当たり5,000円以下の飲食費の額の算定に当たっても、飲食等のために要する費用に加算する必要はなく、飲食費の本体部分で判定することになる。

6  なお、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の66《交際費等の損金不算入》についても、同様の通達(連措通68の66(1)−18の2)を新たに定めている。

【改正】 (旅行等に招待し、併せて会議を行った場合の会議費用)

61の4(1)−16 製造業者又は卸売業者が特約店その他の販売業者を旅行、観劇等に招待し、併せて新製品の説明、販売技術の研究等の会議を開催した場合において、その会議が会議としての実体を備えていると認められるときは、会議に通常要すると認められる費用の金額は、交際費等の金額に含めないことに取り扱う。

(注) 旅行、観劇等の行事に際しての飲食等は、当該行事の実施を主たる目的とする一連の行為の一つであることから、当該行事と不可分かつ一体的なものとして取り扱うことに留意する。ただし、当該一連の行為とは別に単独で行われていると認められる場合及び本文の取扱いを受ける会議に係るものと認められる場合は、この限りでない。


※下線部分が改正部分である。

【解説】

1  本通達の本書は、旅行、観劇等に招待し、併せて会議を開催した場合において、その会議が会議としての実体を備えていると認められるときの会議費の取扱いを明らかにしている。

2  ところで、法人の支出する交際費等の損金不算入制度について、平成18年度の税制改正により、交際費等の範囲から1人当たり5,000円以下の一定の飲食費が所定の書類の保存要件が付された上で除外されているが、会議費と同様に、旅行、観劇等の行事に際しての飲食等がどのように取り扱われるのかという問題がある。

3  例えば、ゴルフ・観劇・旅行(国内・海外)等の催事に際しての飲食等については、通常、それらの催事を実施することを主たる目的とする一連の行為の一つとして実施されるものであり、飲食等は主たる目的である催事と不可分かつ一体的なものとして一連の行為に吸収される行為と考えられる。
 したがって、飲食等がそれら一連の行為とは別に単独で行われていると認められる場合(例えば、企画した旅行の行程のすべてが終了して解散した後に、一部の取引先の者を誘って飲食等を行った場合など)を除き、それら一連の行為のために要する費用の全額が、原則として、交際費等に該当するものとされる(すなわち、飲食費だけを取り出して、交際費等に該当しないとすることはできない。)。
 本通達の注書において、これらのことを明らかにしている。

4  他方、1次会と2次会など連続した飲食等の行為が行われた場合においても、それぞれの行為が単独で行われていると認められるとき(例えば、全く別の業態の飲食店等を利用しているときなど)には、それぞれの行為に係る飲食費ごとに1人当たり5,000円以下であるかどうかの判定を行って差し支えない。
 しかしながら、それら連続する飲食等が一体の行為であると認められるとき(例えば、実質的に同一の飲食店等で行われた飲食等であるにもかかわらず、その飲食等のために要する費用として支出する金額を分割して支払っていると認められるときや、異なるケータリングサービスを複数利用して同一の飲食等を行っているときなど)には、その行為の全体に係る飲食費を基礎として1人当たり5,000円以下であるかどうかの判定を行うことになる。

5  なお、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の66《交際費等の損金不算入》についても、同様の通達(連措通68の66(1)−19)を定めている。

【改正】 (交際費等の支出の方法)

61の4(1)−23 措置法第61条の4第3項に規定する法人の支出する交際費等は、当該法人が直接支出した交際費等であると間接支出した交際費等であるとを問わないから、次の点に留意する。
  1. (1) 2以上の法人が共同して接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為をして、その費用を分担した場合においても交際費等の支出があったものとする。
  2. (2) 同業者の団体等が接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為をしてその費用を法人が負担した場合においても、交際費等の支出があったものとする。
  3. (3) 法人が団体等に対する会費その他の経費を負担した場合においても、当該団体が専ら団体相互間の懇親のための会合を催す等のために組織されたと認められるものであるときは、その会費等の負担は交際費等の支出があったものとする。
(注) 措置法令第37条の5第1項に規定する「飲食その他これに類する行為のために要する費用として支出する金額」とは、その飲食等のために要する費用の総額をいう。したがって、措置法第61条の4第3項第2号の規定の適用に当たって、例えば、本文の(1)又は(2)の場合におけるこれらの法人の分担又は負担した金額については、その飲食等のために要する費用の総額を当該飲食等に参加した者の数で除して計算した金額が5,000円以下であるときに、同号の規定の適用があることに留意する。ただし、分担又は負担した法人側に当該費用の総額の通知がなく、かつ、当該飲食等に要する1人当たりの費用の金額がおおむね5,000円程度に止まると想定される場合には、当該分担又は負担した金額をもって判定して差し支えない。

※下線部分が改正部分である。

【解説】

1  本通達の本書は、法人の支出する交際費等については、その法人が直接支出した交際費等であると間接支出した交際費等であるとを問わないことや、共同開催等の場合の取扱いを明らかにしている。

2  交際費課税制度の対象となる交際費等の範囲から1人当たり5,000円以下の一定の飲食費が所定の書類の保存要件が付された上で除外されているが、この場合の1人当たりの飲食費の計算に当たっては、個々の得意先等が飲食店等においてそれぞれどの程度の飲食等を実際に行ったかどうかにかかわらず、飲食費の総額を単純に当該飲食等に参加した人数で除して計算した金額で判定することになる(すなわち、例えば、得意先A氏が6,000円・B氏が5,500円・C氏が5,000円の飲食等を行うとともに、自己の従業員3名がそれぞれ4,000円の飲食等を行い、総額28,500円を支出した場合においては、A氏の6,000円・B氏の5,500円に着目して、その2人分だけが5,000円以下の費用とならないと判定するのではなく、支出総額をベースに28,500円÷6人=4,750円で1人当たり5,000円以下の費用であることの判定を行う。)。
 また、交際費等の範囲から除かれる飲食費は、1人当たりの金額が5,000円以下の費用それ自体が対象となることから、1人当たりの金額が5,000円を超える費用については、その費用のうちその超える部分だけが交際費等に該当するものではなく、その費用のすべてが交際費等に該当することになる(すなわち、1人当たりの飲食費のうち5,000円相当額を控除するというような方式ではない。)。

3  ところで、本通達の(1)にあるような共同開催の分担金や(2)にあるような参加者側の負担金については、この1人当たり5,000円以下の飲食費であることの判定を飲食費の総額で行うのかどうかが問題となるところである。この点、交際費課税自体が一種の行為課税をその本質としており、その飲食等の行為自体がどの程度のものかを見定める必要があることから、飲食のために要する費用を誰がどの程度負担したかにかかわらず、その飲食費の総額を参加人数で除した金額をもって判定することになる。
 本通達の注書の前段において、このことが明らかにされている。

4  このように、1人当たり5,000円以下の飲食費であることの判定については、原則として、上記のとおりとなるのであるが、共同開催はともかくとしても、主催者側に招かれた参加者側にとって、あらかじめ5,000円以下の会費の提示しか受けていない場合があり、飲食費の判定に当たって、その参加に係るすべてについて、主催者側に飲食費の総額を照会しなければならないのかといった事務負担の問題も生ずるところである。
 そこで、本通達の注書の後段において、分担又は負担した法人側に当該費用の総額の通知がなく、かつ、当該飲食等に要する1人当たりの費用の金額がおおむね5,000円程度に止まると想定される場合には、当該分担又は負担した金額をもって判定して差し支えないことを明らかにしている。

5  なお、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の66《交際費等の損金不算入》についても、同様の通達(連措通68の66(1)−26)を定めている。

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