【制度の概要】

  この制度は、青色申告書を提出する法人が、平成18年4月1日から平成20年3月31日までの間に情報基盤強化設備等の取得又は製作をして、事業の用に供した場合には、その基準取得価額(取得価額の70%相当額をいう。以下同じ。)の50%の特別償却と基準取得価額の10%の税額控除(その適用を受けようとする事業年度の法人税額の20%を限度とし、税額控除限度超過額については1年間の繰越しが認められる。)との選択適用を行うことができるというものである。
 また、資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人については、リース契約期間が4年以上で、かつ、法定耐用年数を超えないものであること等一定の要件を満たすリース資産については、リース費用の総額の42%相当額について10%の税額控除を行うことができるというものである。

1  適用対象法人

 本制度の適用対象法人は、青色申告書を提出する法人で、業種の限定等は特にない(措法42の11丸1丸3)。
 ただし、本制度のうちリース税額控除は、青色申告書を提出する法人のうち、資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人等については適用がない(措法42の11丸3、措令27の11丸4、措規20の5の2丸2)。

2  適用対象資産

(1) 本制度のうち、特別償却又は法人税額の特別控除の適用対象資産とされる情報基盤強化設備等とは、その製作の後事業の用に供されたことのない次に掲げる情報基盤強化設備等で、法人の資本金の額又は出資金の額等の区分に応じ、それぞれ次に掲げる取得価額基準を満たすものをいう(措法42の11丸1、措令27の11丸1、措規20の5の2丸1)。

イ 情報基盤強化設備等
丸1 基本システム
1 サーバー用のOS(オペレーティングシステム)のうちISO/IEC 15408認証されたもの
2 サーバー用の電子計算機(1のサーバー用のOSが書き込まれたものに限り、これと同時に設置する附属機器の補助記憶装置又は電源装置を含む。)
丸2 データベース管理ソフトウエア(ISO/IEC 15408認証されたもの)又はこのデータベース管理ソフトウエアとそのデータベースを構成する情報を加工する機能を有するアプリケーションソフトウエア
丸3 ファイアーウォールソフトウエア(インターネットに対応するもの)又はファイアーウォール装置(インターネットに対応するもの)のうち、ISO/IEC 15408認証されたもの
ロ 取得価額基準
区分 取得価額基準
a 資本金の額又は出資金の額が10億円超の法人 1億円以上
b 資本金の額又は出資金の額が1 億円超〜10億円以下の法人 3千万円以上
c 上記a及びb以外の法人 3百万円以上

(2) また、リース税額控除の適用対象資産は(1)と同様であるが、リース費用の総額の合計額が420万円以上のものに限られている(措法42の11丸3、措令27の11丸6)。

【新設】 (事業年度の中途において資本金等の増加があった場合の適用)

42の11−1 法人が事業年度の指定期間(措置法第42条の11第1項に規定する指定期間をいう。以下同じ。)内の中途において資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人(以下「資本金等1億円以下法人」という。)に該当しないこととなった場合においても、その資本金等1億円以下法人に該当していた指定期間内に取得若しくは製作(以下「取得等」という。)又は賃借をして事業の用に供していた情報基盤強化設備等の取得価額の合計額又はリース費用の総額の合計額が措置法令第27条の11第1項又は第6項に規定する300万円以上又は420万円以上であるときの当該情報基盤強化設備等(賃借に係る情報基盤強化設備等については、事業の用に供した日を含む事業年度終了の日まで引き続き当該事業の用に供しているものに限る。)には、措置法第42条の11第1項から第3項までの規定の適用があることに留意する。
 法人が資本金の額又は出資金の額が10億円以下の法人に該当していた指定期間内に取得等をして事業の用に供していた情報基盤強化設備等の取得価額の合計額が3,000万円以上である場合の当該情報基盤強化設備等についても、同様とする。

(注) 法人が事業年度の指定期間内に取得等をして事業の用に供していた情報基盤強化設備等の取得価額の合計額が、1億円以上である場合の当該情報基盤強化設備等については、その情報基盤強化設備等のすべてが対象となる。


※下線部分が改正部分である。

【解説】

1  本制度の適用対象資産に該当するかどうかは、措置法令第27条の11第1項に掲げる法人(保険業法(平成7年法律第105号)に規定する相互会社及びこれに準ずるものとして財務省令で定めるものを除く。)の資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人(以下「資本金等1億円以下法人」という。)、10億円以下の法人(以下「資本金等10億円以下法人」という。)又は10億円超の法人であるかどうかにより異なることとなることから、仮に、法人が事業年度の中途において資本金等の増加があったこと等により資本金等1億円以下法人に該当しないこととなった場合に、どのように取り扱われるかが問題となる。
 この判定に当たっては、一つに、例えば事業年度終了の日といった一時点を捉えて資本金等1億円以下法人であるかどうかを決めるという手法もあり得るが、その場合、設備投資減税が設備の取得に着目した特例措置であるにもかかわらず、その取得の時点に連動しないという問題が生じるほか、例えば資本金5億円の法人がその事業年度に取得した設備の取得価額の合計額が1,000万円であり、取得価額基準の3,000万円に満たない場合に、事業年度終了の日に1億円に減資して本制度の適用を受けることが可能になるなどの弊害が生じ得る。
 そこで、これまでの設備投資に係る中小企業者等の要件判定と同様に、法人が事業年度の中途において資本金等の増加を行ったことなどにより資本金等1億円以下法人に該当しないこととなった場合においても、その該当しないこととなった日前に取得等又は賃借をして事業の用に供したものについては、資本金等1億円以下法人が取得等又は賃借をしたものとして本制度の適用を認めることを本通達の前段において明らかにしている。具体的には、資本金等1億円以下法人に該当していた間に300万円以上の情報基盤強化設備等の取得等をしていれば、本制度の適用がある。

2  また、例えば、資本金等1億円以下法人に該当していた間に180万円の情報基盤強化設備等の取得等をして、その後事業年度の中途において、資本金等10億円以下法人となり、増資後に2,900万円の情報基盤強化設備等の取得等をした場合には、資本金等1億円以下法人であった間に取得等をした情報基盤強化設備等の取得価額は180万円であり、取得価額基準の300万円に満たないため、本制度の適用が受けられないのではないかという疑問がある。
 そこで、本通達の後段において、資本金等10億円以下法人に該当していた間に取得等をした情報基盤強化設備等は180万円+2,900万円=3,080万円であり、取得価額基準の3,000万円以上であることから、資本金等1億円以下法人であった間に取得等をした情報基盤強化設備等についても本制度の適用があることを明らかにしている。

3  なお、本通達の注書において、事業年度の指定期間内に取得等をして事業の用に供していた情報基盤強化設備等の取得価額の合計額が1億円以上であれば、法人の資本金の額又は出資金の額にかかわらずそのすべてに本制度の適用があることを明らかにしている。

4  また、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の15《情報基盤強化設備等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除》についても、同様の通達(連措通68の15−1)を新たに定めている。

【新設】 (ソフトウエアの改良費用)

42の11−2 法人が、その有するソフトウエアにつき新たな機能の追加、機能の向上等に該当するプログラムの修正、改良等のための費用を支出した場合において、その付加された機能等の内容からみて、実質的に新たなソフトウエアを取得したことと同様の状況にあるものと認められ、かつ、国際標準化機構及び国際電気標準会議の規格15408に基づき評価及び認証されたときは、当該費用の額をソフトウエアの取得価額として措置法第42条の11第1項又は第2項の規定の適用があるものとする。


※下線部分が改正部分である。

【解説】

1  本制度においては、情報基盤強化設備等について、その製作の後事業の用に供されたことのないものを取得又は製作(以下「取得等」という。)して事業の用に供した場合に特別償却等の対象とすることとされている。

2  通常、法人が既存の情報基盤強化設備等について同種の上位機種等への切換えをする場合において、電子計算機等のハードウエアであれば同種の上位機種への物理的な買換えを行うところ、ソフトウエアについては既存のプログラムに改良等を加えるバージョンアップという手段により同種の上位製品に切り換えることが多い。このように行われるバージョンアップの中には、例えば、セキュリティパッチを適用するものなどのように既存の機能を強化・拡充する程度のバージョンアップもあれば、既存の機能の強化・拡充にとどまらず、それ自体機能的独立性が高い新機能を既存のものに追加するなど、実質的に新たにソフトウエアを購入したことと同視し得るバージョンアップもある。

3  ところで、法人が、その有するソフトウエアにつきプログラムの修正等を行った場合において、その修正等が、新たな機能の追加、機能の向上等に該当するときはその修正等に要した費用は資本的支出に該当し(法基通7−8−6の2)、法人税法上は量的支出ではなく質的支出があったものとして既存のソフトウエアの取得価額に加算することとされている。
 このようなソフトウエアのバージョンアップ費用については、そのバージョンアップ等により実質的に新製品を購入したことと同様の状況にあるときであっても、法人税法上、資本的支出として既存のソフトウエアの取得価額に加算するものであることから、新たなソフトウエアの取得等には該当せず、本制度の適用対象にはならないのではないかとの疑問が生じる。

4  この点、有形減価償却資産である建物等の場合には、増築、拡張、延長などのように既存の資産に物理的に付加される部分に係る量的支出については資本的支出ではなく新たな資産の取得そのものとして取り扱われるところ(法基通7−8−1(注))、無形減価償却資産であるソフトウエアの場合にも、実質的に新たな資産の取得と同視し得るバージョンアップ等については、それが既存のプログラムの改良等に係る支出であっても、新たな資産の取得として取り扱う余地がある。
 さらに、本制度は、情報化・国際化が進展する中で、不正アクセスやシステム障害を防止するとともに、情報の共有・一元化を一層進めることによって生産性を向上させるため、国際標準に基づいて高い安全性が確認されたOS(オペレーティングシステム)やデータベース管理ソフトウエアを中核とする新しい情報システムへの投資を促進することをその趣旨としており、また、ソフトウエアについては新規製品に切り換える場合に既存の製品のバージョンアップという手段をとることが一般的であるという状況を踏まえると、資本的支出に該当するソフトウエアのバージョンアップ等の費用であっても、実質的に新たなソフトウエアを取得したものと同視し得るものについては、本制度の適用の場面においては、新たなソフトウエアの取得等として取り扱うことが相当である。
 そこで、本通達において、資本的支出に該当するソフトウエアのバージョンアップ等の費用であっても、その付加された機能等の内容からみて、実質的に新たなソフトウエアを取得したことと同様の状況にあるものと認められ、かつ、国際標準化機構及び国際電気標準会議の規格15408(いわゆる「ISO/IEC15408」をいう。)に基づき評価及び認証されたものであれば、本制度の適用対象となることを明らかにしている。

5  なお、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の15《情報基盤強化設備等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除》についても、同様の通達(連措通68の15−2)を新たに定めている。

【新設】 (附属機器等の同時設置の意義)

42の11−3 措置法規則第20条の5の2第1項各号において本体と同時に設置することを条件として情報基盤強化設備等に該当する旨の定めのある附属の機器等には、一の計画に基づき本体を設置してから相当期間内に設置するこれらの附属の機器等が含まれるものとする。


※下線部分が改正部分である。

【解説】

1  本制度の対象となる情報基盤強化設備等については、措置法規則第20条の5の2第1項において具体的にその範囲が定められているが、同項においては、本体の指定に併せて、当該本体と同時に設置することを条件として本制度の対象となる附属機器等が定められている。
 この場合の「本体と同時に設置する」ということの意義については、必ずしも具体的に規定されていないが、例えば、本体の発注と同時にその附属機器等を発注したが、それぞれのメーカーが異なるため、本体の設置と附属機器等の設置とが事業年度を異にして行われることは十分あり得るので、たまたま事業年度を異にしたという理由のみで、その附属機器等の設置が本体の設置と同時でないとして本制度の適用を否定するようなことは必ずしも合理的ではない。
 そこで、本通達においては、一の計画に基づき、本体を設置してから相当期間内に設置する附属機器等については、同時設置の要件に該当することを明らかにしているのである。
 ところで、これら附属機器等の設置が本体の設置とーの計画に基づくものであるかどうか及びその設置に要する期間が相当期間内であるかどうかは、それぞれの個別的な事情に応じて具体的に判断することになるが、少なくともここでいう相当期間内であるかどうかは、本体と附属機器等との設置計画が有機的に結び付いていることを前提として、その設置のために要する期間として通常妥当な期間であるかどうかを参酌した上で判断することになろう。

2  なお、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の15《情報基盤強化設備等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除》についても、同様の通達(連措通68の15−3)を新たに定めている。

【新設】 (貸付けの用に供したものに該当しない資産の貸与)

42の11−4 措置法第42条の11第1項に規定する法人が、その取得等又は賃借をした情報基盤強化設備等を自己の下請業者に貸与した場合において、当該情報基盤強化設備等が専ら当該法人のためにする製品の加工等の用に供されるものであるときは、当該情報基盤強化設備等は当該法人の営む事業の用に供したものとして取り扱う。

(注) 物品賃貸業を営む法人は、貸付けの用に供した情報基盤強化設備等につき措置法第42条の11第1項から第3項までの規定の適用を受けることができないことに留意する。


※下線部分が改正部分である。

【解説】

1  法人が取得又は製作若しくは賃借した情報基盤強化設備等を自ら営む事業の用に供することなく、貸付けの用に供した場合には、本制度の適用はないものとされている(措法42の11丸1丸3)。
 しかし、一口に貸付けの用といっても、その貸付けをするに至った事情や貸付けの態様にはさまざまなものがあり、これを一律に本制度の適用対象外とすることについては、やや問題があろう。特に、自己自身による操業能力の低い法人が、専属の下請業者等に対して、その製品の下請加工をさせるために貸与する機械装置などについては、その実態は、当該法人が自ら事業の用に供しているものと見る余地があろう。
 そこで、本通達において、形式的には設備の貸付けであっても、実態的に自ら事業の用に供したものと同視し得る場合、すなわち自己の下請業者に貸与した場合で、その設備が専らその貸付けをしている法人のためにする製品の加工等の用に供されるものであるときは、その設備はその法人の自ら営む事業の用に供したものとして取り扱い、本制度の適用を認めることを明らかにしている。

2  なお、「物品賃貸業」を営む法人、すなわち、リース業者については、自己の事務用等に使用する資産は適用対象となるが、他にリースする資産については、「貸付けの用」に供した資産であるから本制度の適用はない。本通達の注書はこのことを念のため明らかにしている。

3  なお、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の15《情報基盤強化設備等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除》についても、同様の通達(連措通68の15−4)を新たに定めている。

【新設】 (圧縮記帳をした情報基盤強化設備等の取得価額)

42の11−5 情報基盤強化設備等の取得価額の合計額が措置法令第27条の11第1項に規定する1億円、3,000万円又は300万円であるかどうかを判定する場合において、その情報基盤強化設備等が法第42条から第49条までの規定による圧縮記帳の適用を受けたものであるときは、その圧縮記帳後の金額に基づいてその判定を行うものとする。


※下線部分が改正部分である。

【解説】

1  本制度の適用対象資産である情報基盤強化設備等は、法人の規模に応じて、その取得価額の合計額が300万円以上、3,000万円以上又は1億円以上のものとされているが(措令27の11丸1)、この制度と法人税法上の圧縮記帳とは重複適用が可能であることから、法人税法上の圧縮記帳の適用を受けた情報基盤強化設備等について本制度の適用を受けようとする場合には、その取得価額の合計額が上記の一定の金額以上であるかどうかを圧縮記帳前又は圧縮記帳後のいずれの金額によって判定するのかが問題となる。この点、法人税法上の圧縮記帳の適用を受けた減価償却資産については、圧縮記帳後の金額を取得価額とするものとされており(法令54丸3)、本制度の適用に当たっても、租税特別措置法施行令第27条の11第1項の規定振りからみて同様に取り扱うべきものと解される。

2  そこで、本通達において、情報基盤強化設備等の取得価額の合計額が上記の一定の金額以上であるかどうかを判定する場合に、その設備が法人税法上の圧縮記帳の適用を受けたものであるときは、その圧縮記帳後の金額に基づいてその判定を行うことを明らかにしている。この場合、特別償却額又は法人税額の特別控除額の計算も、圧縮記帳後の金額に基づいて行うこととなる。

3  ところで、本制度と租税特別措置法上の圧縮記帳とは重複適用ができないこととされていることから(措法65の7丸7など)、措置法上の圧縮記帳を受けた情報基盤強化設備等については、このような問題は生じない。

4  なお、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の15《情報基盤強化設備等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除》についても、同様の通達(連措通68の15−5)を新たに定めている。

【新設】 (情報基盤強化設備等の対価につき値引きがあった場合の税額控除限度額の計算)

42の11−6 法人が措置法第42条の11第1項(同法第68条の15第1項を含む。)に規定する情報基盤強化設備等を事業の用に供した日を含む事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度。以下42の11−6において「供用年度」という。)後の事業年度において当該情報基盤強化設備等の対価の額につき値引きがあった場合には、供用年度にさかのぼって当該値引きのあった情報基盤強化設備等に係る措置法第42条の11第2項(同法第68条の15第2項を含む。)に規定する税額控除限度額の修正を行うものとする。


※下線部分が改正部分である。

【解説】

1  法人が情報基盤強化設備等の取得又は製作をして、これにつき本制度による法人税額の特別控除の適用を受けた場合において、その後の事業年度にその資産の価額につき値引きがあったようなときは、既往にさかのぼって法人税額の特別控除額の修正を行うべきことを、本通達は明らかにしている。
 この取扱いの趣旨は、税額控除限度額の算定が情報基盤強化設備等の取得価額を基礎としていることを奇貨として行われる不正取引(通謀による価額の水増し)を排除することにある。

2  なお、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の15《情報基盤強化設備等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除》についても、同様の通達(連措通68の15−6)を新たに定めている。

【新設】 (物品賃貸業の意義)

42の11−7 措置法第42条の11第3項に規定する物品賃貸業とは、不特定又は多数の者に対し相当の対価を得て継続的に物品の賃貸を行う事業をいう。

(注) 同項に規定する物品賃貸業は、法人又は個人が主たる事業としてその事業を営んでいるかどうかを問わないことに留意する。


※下線部分が改正部分である。

【解説】

1  本制度におけるリース税額控除は、物品賃貸業を営む者から情報基盤強化設備等の賃借をした場合に適用があることになっているが(措法42の113)、ここにいう「物品賃貸業」の範囲については、法令の文言からみて、その行っている物品賃貸が「業」といえる程度のものでなければならないことを予定しているものと解される。
 そこで、本通達において、この場合の「物品賃貸業」とは、不特定又は多数の者に対し相当の対価を得て継続的に物品の賃貸を行う事業がこれに該当することを明らかにしている。したがって、例えば、製造業を営む親会社がその子会社その他の取引関係者を対象として物品賃貸を行っているような場合であっても、その貸付先が相当数にのぼり、相当の対価を得て継続的に賃貸をしているようなときは、その親会社の賃貸は物品賃貸業になり得るが、たまたまある特定の子会社に対してだけ賃貸を行ったとしても、一般的には物品賃貸業には当たらない、ということになる。
 また、本通達の注書において、この場合の物品賃貸業は、法人又は個人が主たる事業としてその事業を営んでいるかどうかは問わないことを留意的に明らかにしている。

2  なお、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の15《情報基盤強化設備等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除》についても、同様の通達(連措通68の15−7)を新たに定めている。

【新設】 (特殊の減価償却資産の耐用年数)

42の11−8 リース契約(措置法令第27条の11第5項第1号に規定するリース契約をいう。以下42の11−10までにおいて同じ。)に係る情報基盤強化設備等が、耐用年数省令別表第五から別表第八までに掲げる減価償却資産のいずれかに該当するもの又は令第57条の規定による耐用年数の短縮の承認を受けたものである場合には、これらの別表に掲げる耐用年数又はその承認に係る年数を基礎として当該情報基盤強化設備等のリース契約が同号の要件に該当するかどうかを判定することに留意する。


※下線部分が改正部分である。

【解説】

1  本制度におけるリース税額控除は、情報基盤強化設備等のリース契約において定められたリース契約期間が4年以上で、かつ、そのリース契約期間がその情報基盤強化設備等の耐用年数を超えない場合に適用があるものとされているが、この場合の耐用年数とは、法人税法の規定に基づいて定められている耐用年数、すなわち法定耐用年数をいうものとされている(措令27の11丸5一)。
 ここにいう法定耐用年数とは、具体的には減価償却資産の耐用年数等に関する省令(以下「耐用年数省令」という。)別表第一から別表第八までに定められている耐用年数をいうものとされているが、このうち耐用年数省令別表第五から別表第八までに定められている耐用年数は、汚水処理用減価償却資産や、ばい煙処理用減価償却資産といった特殊な資産についての特例的な耐用年数であることから、これらの別表に掲げられた特例的な耐用年数もここにいう法定耐用年数に該当するものとして取り扱われるのかどうか、また、耐用年数の短縮を受けた場合の耐用年数はどのように取り扱われるのかが問題となる。
 これについては、耐用年数省令別表第五から別表第八までに掲げられている耐用年数は特例的なものであるとはいえ、法定耐用年数であることには変わりはなく、また、耐用年数の短縮の承認に係る年数は法定耐用年数とみなすこととされていることから(法令57)、いずれもこの制度を適用する場合の法定耐用年数として取り扱うこととなる。
 そこで、本通達において、リース契約に係る情報基盤強化設備等につき本制度の適用の有無を判定する場合において、その情報基盤強化設備等が耐用年数省令別表第五から別表第八までに掲げる減価償却資産のいずれかに該当するものであるとき又は耐用年数の短縮の承認を受けたものであるときは、これらの別表に掲げる耐用年数又はその承認に係る耐用年数を基礎として、リース契約期間がその情報基盤強化設備等の耐用年数を超えないものかどうかの判定をすることを明らかにしている。

2  なお、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の15《情報基盤強化設備等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除》についても、同様の通達(連措通68の15−8)を新たに定めている。

【新設】 (リース費用の均等支払の判定)

42の11−9 情報基盤強化設備等に係るリース契約の締結に当たってその契約の履行を担保するための保証金等を支払うこととされている場合において、その金額がリース契約の締結に当たって通常授受される程度のものであるときは、当該保証金等がリース契約期間終了直前の一定期間のリース料等に充当することとされているときであっても、当該リース契約が措置法令第27条の11第5項第3号の要件に該当するかどうかは、その保証金等の支払がないものとして判定したところによることができるものとする。


※下線部分が改正部分である。

【解説】

1  情報基盤強化設備等に係るリース税額控除は、情報基盤強化設備等のリース契約においてリース費用の総額がリース契約期間内に均等額により定期的に支払われることとされていることが適用要件の一つとなっている(措令27の11丸5三)。
 ところで、リース業界においては、リース契約の締結に当たってその契約の履行を担保するために、ユーザーから2〜3月分程度に相当する金額の保証金を徴し、これをリース期間終了直前の2〜3月分のリース料に充当することが少なくないようである。しかしながら、仮にこのような保証金が徴されているとしても、それはリース契約期間の終了直前に至るまではあくまでも保証金としての性格を失うものではなく、また、このような慣行が一般的であるとすれば、その支払があったことをもってリース料の均等支払の要件を欠くとすることは本制度の趣旨に沿わないと考えられる。
 そこで、本通達においては、このような保証金等の授受をすることとされている場合であっても、その金額がリース契約の締結に当たって通常授受される程度のものであるときは、その保証金等の支払がないものとして、リース料が均等かつ定期的に支払われることになっているかどうかの判定をして差し支えないことを明らかにしている。
 なお、本通達にいう保証金等の金額が「通常授受される程度のもの」とは、業界の一般的な慣行として授受されている程度のものということであり、通常はリース料のおおむね2〜3月分程度のものということになる。

2  なお、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の15《情報基盤強化設備等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除》についても、同様の通達(連措通68の15−9)を新たに定めている。

【新設】 (リース費用に含まれない費用)

42の11−10 措置法令第27条の11第6項に規定する「政令で定める費用の総額」には、当該情報基盤強化設備等に係るリース契約に基づく賃借料とは別に支払う当該情報基盤強化設備等の引取運賃等は含まれないことに留意する。

(注) ソフトウエアの費用は、措置法規則第20条の5の2第1項各号に掲げるソフトウエアに係るものに限られることに留意する。


※下線部分が改正部分である。

【解説】

1  本制度による情報基盤強化設備等に係るリース税額控除の税額控除限度額は、基準リース料の額(リース費用の総額の42%相当額)に10%を乗じた金額とされており、この場合のリース費用の総額とは情報基盤強化設備等のリース契約期間内において支払われるべき費用の額から情報基盤強化設備等の賃借に係る費用に該当しない費用の額を控除した残額をいうものとされている(措令27の11丸6)。
 ところで、情報基盤強化設備等に係るリース費用とは、基本的には当該情報基盤強化設備等の貸借そのものに係る費用をいうものとされており、これ以外の費用は含まれないこととされている。
 そこで、本通達において、情報基盤強化設備等に係るリース税額控除の控除限度額の計算の基礎となるリース費用には、例えば、その賃借をした租税特別措置法施行規則第20条の5の2第1項各号に掲げている情報基盤強化設備等に係るリース契約に基づく賃借料とは別に支払う当該情報基盤強化設備等の引取運賃等は含まれないことを明らかにしている。

2  なお、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の15《情報基盤強化設備等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除》についても、同様の通達(連措通68の15−10)を新たに定めている。

【新設】 (中小企業者等が賃借をした特定機械等のリース税額控除等の取扱いの準用)

42の11−11 42の6−15及び42の6−16の取扱いは、措置法第42条の11第3項の規定の適用について準用する。


※下線部分が改正部分である。

【解説】

1 分社型分割等により移転した情報基盤強化設備等のリース税額控除

 情報基盤強化設備等を賃借した場合のリース税額控除は、その情報基盤強化設備等を賃借して事業の用に供し、その事業の用に供した日を含む事業年度終了の日まで引き続き当該事業の用に供している場合に限り適用がある(措法42の11丸3)。
 ところで、法人が組織再編成(合併、分割、現物出資又は事後設立をいう。以下同じ。)により情報基盤強化設備等を移転した場合、「事業の用に供した日を含む事業年度終了の日まで引き続き当該事業の用に供している」という適用要件との関係においてリース税額控除の適用があるかどうかが問題となる。
 この点について、法人が合併又は分割型分割を行った場合、被合併法人又は分割法人において事業年度開始の日から合併の日の前日又は分割の日の前日までの期間がみなし事業年度とされている。
 したがって、法人が合併又は分割型分割により情報基盤強化設備等を移転した場合には、事業年度終了の日まで引き続き事業の用に供したことになり、その結果、当該みなし事業年度においてリース税額控除の適用があることになる。
 一方、法人が分社型分割、現物出資又は事後設立(以下「分社型分割等」という。)を行った場合には、みなし事業年度の規定がない。したがって、法人が事業の用に供した日を含む事業年度において分社型分割等により情報基盤強化設備等を移転した場合には、当該事業年度終了の日まで引き続き事業の用に供していないことになるので、その分社型分割等が適格分社型分割等(適格分社型分割、適格現物出資又は適格事後設立をいう。)であっても、リース税額控除の適用はないことになる。
 本通達においては、措置法通達42の6−15(分社型分割等により移転した特定機械等のリース税額控除)の取扱いを準用して、このことを明らかにしている。

2  合併法人等における取戻し課税の不適用

 情報基盤強化設備等を賃借した場合のリース税額控除の適用を受けた法人が、当該適用を受けた事業年度後の各事業年度において、リース期間内に情報基盤強化設備等を事業の用に供しなくなった場合には、次の事実が生じたことにより事業の用に供さなくなったときを除き、リース税額控除の取戻し課税を行うこととされている(措法42の11丸6、措令27の11丸8)。

イ 当該法人について解散(合併による解散を除く。)又は事業の全部の譲渡(合併(適格合併を除く。)、分割(適格分割を除く。)、適格現物出資又は適格事後設立による移転を含む。ホにおいて同じ。)があったこと。

ロ 当該法人について会社更生法の規定による更生手続開始の決定又は民事再生法の規定による再生手続開始の決定があったこと。

ハ 当該情報基盤強化設備等が災害により滅失し、又は著しく損傷したこと。

ニ 適格合併又は適格分割により合併法人又は分割承継法人に当該情報基盤強化設備等を移転したこと。

ホ 当該法人の事業の重要部分の相当期間の休止又は譲渡があったことその他ロ又はハに準ずる特別の事実

 そこで、被合併法人等(被合併法人、分割法人、現物出資法人又は事後設立法人をいう。)がリース資産を組織再編成により移転した場合において、上記イからホまでに掲げる事実に該当したことにより取戻し課税の適用を受けなかったときは、移転を受けた合併法人等(合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被事後設立法人をいう。以下同じ。)がリース税額控除の適用を受けていない場合でも、当該情報基盤強化設備等を事業の用に供しなくなったときに取戻し課税が適用されるのではないかという疑問が生じる。
 この点については、リース税額控除額の取戻し課税は、リース税額控除の適用を受けた法人が、当該適用を受けた事業年度後の各事業年度において情報基盤強化設備等を事業の用に供しなくなった場合に行うこととされていることから、組織再編成により移転を受けた合併法人等が事業供用を廃止しても、リース税額控除の適用を受けていない合併法人等においては法令上、取戻し課税の適用はないと考えるべきである。
 本通達においては、措置法通達42の6−16(合併法人等における取戻し課税の不適用)の取扱いを準用して、このことを明らかにしている。

3  なお、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の15《情報基盤強化設備等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除》についても、同様の通達(連措通68の15−11)を新たに定めている。

【新設】 (税額控除の適用を受けた法人の意義)

42の11−12 措置法第42条の11第6項に規定する「第3項の規定(……)の適用を受けた法人」には、当該事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度)においては同条第3項の規定(同法第68条の15第3項の規定を含む。)による税額控除を実施していないが、当該税額控除に関する明細書においてリース税額控除限度額の計算を行い、その金額を繰越税額控除限度超過額として記載している法人が含まれることに留意する。


※下線部分が改正部分である。

【解説】

1  本制度による情報基盤強化設備等に係るリース税額控除の適用を受けた法人が、その後において当該情報基盤強化設備等を事業の用に供さなくなった場合には、原則として、事業の用に供さなくなった事業年度において過年度に控除した税額を納付することとされている(措法42の11丸6)。
 この場合のリース税額控除の適用を受けた法人には、その事業年度において実際に税額控除を実施した法人だけでなく、繰越税額控除限度超過額があるものとして申告をしている場合のその法人も含まれることになる。したがって、情報基盤強化設備等を事業の用に供した事業年度において税額控除を実施せず、繰越税額控除限度超過額があるものとして申告し、その後の事業年度において繰越税額控除限度超過額に相当する金額につき税額控除の適用を受けた法人についても、供用年度に税額控除の適用を受けた法人として、控除税額の取戻しが行われることになる。本通達は、このことを留意的に明らかにしたものである。

2  なお、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の15《情報基盤強化設備等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除》についても、同様の通達(連措通68の15−12)を新たに定めている。

【新設】 (申告に係るその控除を受けるべき金額)

42の11−13 措置法第42条の11第9項及び第10項に規定する「当該申告に係るその控除を受けるべき金額」の意義については、42の4(3)−4の取扱いを準用する。


※下線部分が改正部分である。

【解説】

1  法人税における各種の税額控除制度においては、その控除を受けるべき金額について、本制度の特別税額控除制度のように「当該申告に係るその控除を受けるべき金額に限る」と規定しているものと、所得税額控除制度のように「当該金額として記載された金額を限度とする」と規定しているものとがある。
 後者のような規定の場合には、法人が確定申告書等に記載した金額が絶対的な控除等の限度額とされることから、更正等に際してその記載された金額を超えて控除がされることはない。
 これに対して、前者のような規定の場合には、確定申告書等に記載された金額が絶対的な控除の限度額とされるのではなく、当該確定申告書等に記載された事項を基礎として計算する場合の正当額が控除の限度額とされる。
 したがって、その正当額が控除を受ける金額として記載された金額を超える場合には、その超える部分の金額については、更正等に際して控除等を受けることができるのである。
 本通達においては、措置法通達42の4(3)−4(申告に係るその控除を受けるべき金額)の取扱いを準用して、このことを明らかにしている。
 なお、所得金額等の更正の結果、控除等を受けるべき金額が増加したとしても、それは確定申告書等に記載された事項を基礎に計算して増加するものではないから、その増加した部分の金額について控除を受けることはできないことに留意する必要がある。

2  なお、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の15《情報基盤強化設備等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除》についても、同様の通達(連措通68の15−14)を新たに定めている。

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