【新設】(経過的取扱い(5)…適格合併等により引継ぎを受けた準備金の均分取崩し等の適用時期)

 この法令解釈通達の55−7の2(55の3−1、56−5、57−7、57の8−7、61の2−4において準用する場合を含む。)の取扱いは、合併法人等が平成13年4月1日以後に行われる適格合併等により引継ぎを受けた準備金の金額について適用する。

【解説】

  1. (1) 平成13年度改正前においても、法人が合併により消滅した場合は、合併法人に対して海外投資等損失準備金等の引継ぎが認められていた。それが、平成13年度の税制改正により組織再編成に係る税制が整備されたことに伴い、適格合併等により合併法人等に当該準備金に係る資産等を移転した場合には、その資産等に係る海外投資等損失準備金等の引継ぎが認められ、合併法人等がその適格合併等の日において有する海外投資等損失準備金等の金額とみなすこととなった(措法5510等)。
  2. (2) ところで、合併法人が被合併法人から合併により引き継いだこれら準備金勘定の金額は、その積立後の一定期間内で所定の額を取り崩す必要が生じるが、合併法人と被合併法人の事業年度が異なる場合には、その積立事業年度がいつになるかによって、取崩しの始期や取崩額に影響が生ずることになる。
     従前は、合併法人側にとっての計算の簡便性の観点から、被合併法人の積立事業年度終了の日を含む合併法人の事業年度において積み立てたものとみなして、据置期間を経過した準備金に当たるかどうかの判定を行ってきたところである(旧措通56−5など)。
     今般、合併に限らず、広く分割、現物出資又は事後設立を含めた組織再編税制として整備され、被合併法人等から合併法人等へ適格組織再編成により資産等の移転があった場合には、その資産等の課税関係に係る計算の継続性が明確になった。また、これに伴い、措置法通達55−7の2に定めるように、合併法人等がその引継ぎを受けた準備金勘定の金額を、その適格合併等に係る被合併法人等が当該準備金の積立てをした事業年度と当該合併法人等の事業年度とは区分して、かつ、当該被合併法人等が積立てをした事業年度において当該合併法人等が自ら積立てをしたものとみなして取り扱うこととされた。
     この改正に伴い、本経過的取扱いが設けられ、改正後の取扱いは、平成13年4月1日以後に行われる適格合併等により引継ぎを受けた準備金の金額について適用することとしたものである。なお、同日前に行われた合併により引継ぎを受けた準備金の金額については、従前の取扱いによることとなる。
     なお、対象となる準備金と取崩しの概要は次のとおりである。
    対象準備金 据置期間経過後の取崩事業年度 取崩月数
    海外投資等損失準備金
    (措法55)
    積立事業年度後の5年経過後事業年度から 60月間
    自由貿易地域投資損失準備金 (措法55の3) 積立事業年度後の5年経過後事業年度から 84月間
    特定都市鉄道整備準備金
    (措法56)
    積立事業年度後の特定日を含む事業年度の翌事業年度から 120月間
    プログラム準備金
    (措法57)
    積立事業年度後の4年経過後事業年度から 48月間
    特別修繕準備金
    (措法57の8)
    積立事業年度後の特定日を含む事業年度後の2年経過後事業年度から 60月間
    農用地利用集積準備金
    (措法61の2)
    積立事業年度後の5年経過後事業年度 全額
  3. (3) 例示(据置期間(2年)経過後の均分取崩し)
    • イ 通常の場合

      通常の場合の図

    • ロ 合併があった場合
       【改正前】

      合併があった場合【改正前】の図

      (注) 平成14年3月31日を含む事業年度(平成14年12期)に積み立てたものとみなす。

      【改正後】

      合併があった場合【改正後】の図

      (注) 平成14年3月31日に積み立てたものとみなす。
       また、平成16年12期の計算式の分子の期間は、平成16年12期の月数となる。

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