【新設】(適格合併等により引継ぎを受けた特別勘定に係る圧縮記帳と5,000万円損金算入との適用関係)

65の2−3の2 措置法第64条の2第4項の規定に基づき引継ぎを受けた特別勘定を設けている合併法人等(同項に規定する合併法人等をいう。以下同じ。)が、当該特別勘定につき同条第7項又は第8項の規定により圧縮記帳を行う場合であっても、当該特別勘定の基礎となった収用換地等による譲渡は被合併法人等(被合併法人、分割法人、現物出資法人又は事後設立法人をいう。)が行ったものであることから、当該被合併法人等が行った当該譲渡と同一の年に属する期間中に合併法人等が自ら行った収用換地等による譲渡については措置法第65条の2第1項の規定による5,000万円損金算入の特例の適用を受けることができることに留意する。

【解説】

(1) 法人が収用換地等により資産の譲渡をした場合、圧縮記帳(措法64〜65)と5,000万円損金算入(措法65の2)とは、いずれか一方の特例を法人が選択適用できるが、その事業年度のうち同一の年に属する期間中の譲渡については、いずれか一方の特例のみを適用することとされている(措法65の21)。例えば、同一事業年度のうちの同一年に甲譲渡と乙譲渡があった場合、甲譲渡及び乙譲渡の両方について圧縮記帳を行う、あるいは両方について5,000万円損金算入を行うという選択はできる。しかし、甲譲渡は圧縮記帳、乙譲渡は5,000万円損金算入というような選択はできないこととされている。

(2) ところで、適格合併に係る被合併法人が、その有する資産について収用換地等による譲渡を行い、その収用補償金等をもって代替資産を取得する見込みであるときは、当該被合併法人は特別勘定を設定することができる(措法64の21)。また、その特別勘定は、適格合併により合併法人に引き継ぐものとされ(措法64の24一)、合併後において合併法人が代替資産を取得した場合には、当該合併法人は、その引き継いだ特別勘定を取り崩して益金の額に算入する(措法64の29)とともに、その取得した代替資産につき圧縮記帳をすることができることとされている(措法64の27)。
 このため、適格合併により被合併法人から特別勘定の引継ぎを受けた合併法人が、その特別勘定に基づき圧縮記帳を行った場合において、他に合併法人自身の収用換地等による譲渡があるときは、上述の圧縮記帳と5,000万円損金算入との特例選択の適用関係がどのようになるのかという疑問が生じる。
 この点、法令上は「当該法人が……………収用換地等により譲渡した資産のいずれについても第64条から前条まで(圧縮記帳)の規定の適用を受けないときは」と、同一法人が複数の譲渡を行った場合の規定振りとなっているが、適格合併の場合であっても、被合併法人と合併法人とは同一の法人とは言い難い。したがって、適格合併により特別勘定の引継ぎを受けて合併法人が圧縮記帳を行ったとしても、当該収用換地等による譲渡は被合併法人が行ったものであることから、合併法人が自ら行った収用換地等による譲渡については5,000万円損金算入の特例が選択できることになる。
 なお、以上のことは、分割法人、現物出資法人又は事後設立法人が行った収用換地等による譲渡に係る特別勘定について、適格分割、適格現物出資又は適格事後設立によりその 特別勘定の引継ぎを受けた場合も同様である。
 本通達では、このことを明らかにしている。

法人が収用換地等により資産の譲渡をした場合の事例の図
 上記事例の場合、同一年(14年)中に、被合併法人がA、合併法人がBとCの収用換地等による譲渡を行っているが、引継ぎを受けたAに係る特別勘定につき合併法人が圧縮記帳を行うときであっても、BとCについては、5,000万円損金算入を選択することができる。

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