【新設】(適格合併等があった場合における圧縮記帳等の計算)

64(3)−18 適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格事後設立(以下「適格合併等」という。)により代替資産の移転、特別勘定の引継ぎ等があった場合には、64(3)−3、64(3)−6、64(3)−8、64(3)−9の2、64(3)−10、64(3)−11、64(3)−15及び64(3)−16による圧縮記帳等の計算については、次によるものとする。

(1) 64(3)−3及び64(3)−6は、当該適格合併等に係る被合併法人等(被合併法人、分割法人、現物出資法人又は事後設立法人をいう。以下同じ。)と合併法人等(合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被事後設立法人をいう。)とは同一の法人であるものとして適用する。

(2) 64(3)−8、64(3)−9の2、64(3)−10、64(3)−11、64(3)−15及び64(3)−16は、当該適格合併等に係る被合併法人等がこれらの取扱いによっている場合には、当該適格合併等に係る合併法人等においては引き続きこれらの取扱いによる。

【解説】

(1) 平成13年度税制改正により整備された企業組織再編税制では、適格合併等により移転した資産等については、その譲渡損益の計上を繰り延べて従前の課税関係を継続させる、という基本的な考え方が採られている。また、この基本的な考え方に基づき、収用等の圧縮記帳制度においても、適格合併等があった場合の特別勘定の引継ぎ等の規定が設けられている。

(2) ところで、収用等があった場合の圧縮記帳等の計算については、既にこの租税特別措置法関係通達においていくつかの取扱いを定めている。
 例えば、64(3)−8《取壊し等が遅れる場合の圧縮記帳の計算の調整》では、収用等をされた資産の取壊し等が翌事業年度以後に行われる場合には、収用等があった事業年度では取壊し費用等を適正に見積もった上で圧縮記帳や5,000万円損金算入の計算を行い、その後実際に取壊し費用等が確定した事業年度において確定額と見積額の精算調整を行う旨を定めている。
 この場合、この取扱いに従って取壊し費用等を見積もって圧縮記帳をした代替資産が適格合併等により合併法人等に移転したときは、合併法人等が、その後取壊し費用等が確定した事業年度で確定額と見積額の精算調整を行うのか、といった疑問が生じ得る。
 この点、適格合併等があった場合には従前の課税関係を継続するという考え方からすれば、被合併法人等における圧縮記帳等の計算は、合併法人等でも継続して行うことが適当である。
 そこで、本通達においては、適格合併等により代替資産の移転、特別勘定の引継ぎ等があった場合には、既に定められている圧縮記帳等の計算に関する取扱いは、合併法人等においては引き続きこれらの取扱いによるか、あるいは被合併法人等と合併法人等とは同一の法人であるものとみなして適用し、取扱いの継続性を図ることとしている。

(3) なお、適格合併等により代替資産の移転があった場合の64(3)−6については、本通達の(1)により、被合併法人等と合併法人等とは同一の法人であるものとして適用することとしている。
 そして、この同一の法人であるものとして64(3)−6を適用する場合には、適格合併等により代替資産となるべき資産と収用予定資産とのいずれもが被合併法人等から合併法人等に移転され、合併法人等において収用譲渡が行われることが必要である。
 すなわち、64(3)−6は「………収用等をされることが明らかであるため、当該法人が当該事業認定又は買取り等の申出等があった日以後にその代替資産となるべき資産をあらかじめ取得した場合において、………」と定められていることから、少なくともその代替資産となるべき資産の取得時に、当該法人の保有する資産の収用譲渡の行われることが明らかであることが前提とされている。
 したがって、例えば、合併法人等が適格合併等の前から保有する資産について収用譲渡があった場合に、たまたまその適格合併等により移転を受けた資産があったとしても、その移転資産を代替資産とすることはできないことになる。
 つまり、代替資産となるべき資産と収用予定資産とのいずれか一方のみ適格合併等により合併法人等に移転される場合には、64(3)−6の適用はないことに留意する必要がある。

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