【新設】(適格合併等により引継ぎを受けた海外投資等損失準備金の均分取崩し)

55−7の2 合併法人等(合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被事後設立法人をいう。以下同じ。)が措置法第55条第10項、第13項、第17項又は第21項の規定により海外投資等損失準備金の引継ぎを受けた場合において、当該合併法人等の適格合併等(適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格事後設立をいう。以下同じ。)の日を含む事業年度以後の各事業年度における当該海外投資等損失準備金に係る同条第3項の規定の適用については、当該適格合併等に係る被合併法人等(被合併法人、分割法人、現物出資法人又は事後設立法人をいう。以下同じ。)が当該海外投資等損失準備金の積立てをした事業年度と当該合併法人等の事業年度とは区分して、かつ、当該被合併法人等が積立てをした事業年度において当該合併法人等が自ら積立てをしたものとみなして取り扱うものとする。

【解説】

(1) 従来、法人が合併により消滅した場合は、合併法人に対して海外投資等損失準備金の引継ぎが認められていた。しかし、平成13年度の税制改正後は組織再編成に係る税制が整備されたことに伴い、適格合併等により合併法人等に特定法人の株式等又は資源特定債権を移転した場合、その海外投資等損失準備金の引継ぎが認められ、合併法人等がその適格合併等の日において有する海外投資等損失準備金の金額とみなすこととなった(措法5510131721)。

(2) ところで、前事業年度から繰り越された海外投資等損失準備金の金額のうちその積立てをした事業年度終了の日の翌日から5年を経過したもの(据置期間経過準備金額)については、5年間の均分取崩し(措法553)を行うこととなるが、合併法人等が適格合併等により被合併法人等から引継ぎを受けた海外投資等損失準備金勘定の金額についても、この「前事業年度から繰り越された海外投資等損失準備金の金額」に含まれるものとされている(措法52の312162024)。
 この場合、適格合併等により引継ぎを受けた海外投資等損失準備金の金額に係る措置法第55条第3項の規定の適用については、その均分益金算入額の計算の基礎となる「積立てをした事業年度の所得の金額の計算上……損金の額に算入された……金額」は、その引継ぎを受けた海外投資等損失準備金の金額なのか、被合併法人等における「積立てをした事業年度の所得の金額の計算上……損金の額に算入された……金額」を合併法人等が積み立てたものとするのか疑問が生ずるところであるが、損金算入額を均分益金算入して調整することの仕組みからすれば、当初の損金算入額を計算の基礎とすべきものである。
 また、均分取崩しの始期を特定する上で、いつの時点から起算して5年を経過したものを判定するかの問題も生ずるところである。この点、従前は、特定都市鉄道整備準備金等の取扱いにおいて、被合併法人の積立事業年度終了の日を含む合併法人の事業年度において積み立てたものとみなして取り扱ってきたが(旧措通56−5など)、当該海外投資等損失準備金にあってはこのような取扱いは定めていなかった。
  今般、適格組織再編成により資産又は負債の移転があった場合には、その資産又は負債の課税関係に係る計算の継続性が明確になった。
 そこで、本通達において、引継ぎを受けた海外投資等損失準備金の金額についての措置法第55条第3項の規定の適用については、合併法人等がその引継ぎを受けた海外投資等損失準備金勘定の金額を、その適格合併等に係る被合併法人等が当該海外投資等損失準備金の積立てをした事業年度と当該合併法人等の事業年度とは区分して、かつ、当該被合併法人等が積立てをした事業年度において当該合併法人等が自ら積立てをしたものとみなして取り扱うことを明らかにしている。

イ 通常の場合

通常の場合の図

ロ 据置期間経過前に合併があった場合

据置期間経過前に合併があった場合の図
(注) 19/12期の計算式の分子の期間は、19/12期の月数となる。

ハ 据置期間経過後に合併があった場合

据置期間経過後に合併があった場合の図

(注) 19/12期の計算式の分子の期間は、合併後の期間となる。

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