【新設】(適格合併等により引継ぎを受けた特別償却準備金の均分取崩し)

52の3−3 合併法人等(合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被事後設立法人をいう。以下同じ。)が措置法第52条の3第15項、第17項、第20項又は第23項の規定により特別償却準備金の引継ぎを受けた場合において、当該合併法人等の適格合併等(適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格事後設立をいう。以下同じ。)の日を含む事業年度以後の各事業年度における当該特別償却準備金に係る同条第5項の規定の適用については、当該適格合併等に係る被合併法人等(被合併法人、分割法人、現物出資法人又は事後設立法人をいう。以下同じ。)が当該特別償却準備金の積立てをした事業年度と当該合併法人等の事業年度とは区分して、かつ、当該被合併法人等が積立てをした事業年度において当該合併法人等が自ら積立てをしたものとみなして取り扱うものとする。

【解説】

(1) 準備金方式による特別償却制度は、法人が、特別償却を行うことに代えて、特別償却限度額(割増償却限度額を含む。)以下の金額を「特別償却準備金」として、損金経理又は利益処分等により積み立てたときは、その積立額の損金算入を認めるというものである(措法52の3)。  
 従来、この特別償却準備金は事業年度単位でまとめて積み立て、その積立てをした事業年度別に区分し、それぞれその積立てをした事業年度の翌事業年度から7年間にわたって均分に取り崩して益金の額に算入することとされていた(旧措法52の34)。しかし、平成13年度の税制改正により組織再編成に係る税制が整備されたことに伴い、特別償却準備金の積立てが各特別償却対象資産別に行う方式に改められ、その取崩しについては、7年間の均分取崩し(特別償却対象資産の耐用年数が10年未満である場合には、5年とその耐用年数とのいずれか短い年数での均分取崩し。以下同じ。)を原則とし、その特別償却対象資産を有しないこととなった等の場合には、その特別償却対象資産に係る特別償却準備金の残額を取り崩すこととされた(措法52の356)。
 また、従来、法人が合併により消滅した場合に限り、合併法人に対する特別償却準備金の引継ぎが認められていたものが、適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格事後設立(以下「適格合併等」という。)により合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被事後設立法人(以下「合併法人等」という。)に特別償却対象資産を移転した場合には、その 特別償却準備金の引継ぎが認められ、合併法人等がその適格合併等の日において有する特別償却準備金の金額とみなすこととなった(措法52の315172023)。また、合併法人等は、適格合併等の日を含む事業年度以後の各事業年度において所定の金額を取り崩して益金の額に算入することとされた。

(2) ところで、前事業年度から繰り越された特別償却準備金の金額は、7年間の均分取崩し(措法52の35)を行うこととなるが、合併法人等が適格合併等により被合併法人、分割法人、現物出資法人又は事後設立法人(以下「被合併法人等」という。)から引継ぎを受けた特別償却準備金勘定の金額についても、この「前事業年度から繰り越された特別償却準備金の金額」に含まれるものとされている(措法52の316192225)。
 この場合、適格合併等により引継ぎを受けた特別償却準備金の金額に係る措置法第52条の3第5項の規定の適用については、その均分益金算入額の計算の基礎となる「積立てをした事業年度の所得の金額の計算上……損金の額に算入された金額」は、その引継ぎを受けた特別償却準備金の金額なのか、被合併法人等における「積立てをした事業年度の所得の金額の計算上……損金の額に算入された金額」を合併法人等が積み立てたものとするのか疑問が生ずるところであるが、この点、損金算入額を均分益金算入して調整することの仕組みからすれば、当初の損金算入額を計算の基礎とすべきである。
 また、均分取崩しの始期を特定する上で、従前は、特定都市鉄道整備準備金等の取扱いにおいて、被合併法人の積立事業年度終了の日を含む合併法人の事業年度において積み立てたものとみなして取り扱ってきたが(旧措通56−5など)、当該特別償却準備金にあってはこのような取扱いは定めていなかった。
 今般、適格組織再編成により資産又は負債の移転があった場合には、その資産又は負債の課税関係に係る計算の継続性が明確になった。
 そこで、本通達において、引継ぎを受けた特別償却準備金の金額に係る措置法第52条の3第5項の規定の適用については、合併法人等がその引継ぎを受けた特別償却準備金勘定の金額を、その適格合併等に係る被合併法人等が当該特別償却準備金の積立てをした事業年度と当該合併法人等の事業年度とは区分して、かつ、当該被合併法人等が積立てをした事業年度において当該合併法人等が自ら積立てをしたものとみなして取り扱うことを明らかにしている。

イ 通常の場合

通常の場合の図

ロ 合併があった場合

合併があった場合の図
(注) 15/12期の計算式の分子の期間は、合併後の期間となる。

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