【新設】(適格合併等があった場合の特別償却等の適用)

42の5〜48(共)−4 措置法第42条の5から第45条の3までの規定及び第47条から第48条までの規定並びにこれらの規定に係る措置法第52条の3第1項の規定は、減価償却資産を事業の用に供した場合に適用があるのであるから、適格合併等(適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格事後設立をいう。以下同じ。)による移転に係る減価償却資産についてこれらの規定の適用があるかどうかは、当該減価償却資産を事業の用に供した日の現況において、これらの規定に規定する適用要件(適用対象法人、適用期間、適用対象事業等に関する要件をいう。以下同じ。)を満たすかどうかにより判定することに留意する。

(注)

1 例えば、中小企業者等(措置法第42条の12第1項に規定する中小企業者等をいう。以下同じ。)に該当する被合併法人が減価償却資産を適格合併により中小企業者等に該当しない合併法人に移転する場合の同項の規定の適用については、次のようになる。

(1) 被合併法人が当該減価償却資産を事業の用に供した場合は、他の適用要件を満たせば、被合併法人において同項の規定の適用を受けることができる。

(2) 被合併法人が当該減価償却資産を事業の用に供しないで合併法人が事業の用に供した場合は、被合併法人又は合併法人のいずれの法人においても、同項の規定の適用を受けることができない。

2 合併法人等(合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被事後設立法人をいう。以下同じ。)が適格合併等により移転を受けた減価償却資産につき当該移転を受けた日を含む事業年度において合併等特別償却不足額(措置法第52条の2第5項に規定する合併等特別償却不足額をいう。)がある場合には、当該合併法人等については、同条第1項に規定する特別償却に関する規定に規定する適用要件を満たすかどうかにかかわらず、同条第4項の規定の適用を受けることができることに留意する。
 措置法第52条の3第3項に規定する合併等特別償却準備金積立不足額がある場合における合併法人等の同項の規定の適用についても同様とする。

【解説】

(1) 特別償却については、それぞれの特別償却制度ごとに適用対象資産、適用対象法人、適用期間、適用対象事業等に関する要件(以下「適用要件」という。)が規定されている。
 そこで、適格合併等により被合併法人等から合併法人等に移転した減価償却資産を対象として特別償却の適用を受けようとする場合は、特別償却の適用要件を満たすかどうかの判定をいつの時点で行うかという問題がある。
 この点、措置法に規定する初年度特別償却は、特別償却対象資産の取得等をして事業の用に供することに税制上のインセンティブを与える特別措置であることから、適格合併等により移転をした減価償却資産について特別償却(割増償却を除く。)の適用があるかどうかは、その減価償却資産を事業の用に供した日の現況において、特別償却の適用要件を満たすかどうかにより判定することになる。つまり、初年度特別償却は、減価償却資産を最初に事業の用に供した日において、その適用要件を満たすかどうかにより判定することになる。
 本通達の本文では、このことを明らかにしている。
 例えば、被合併法人は租税特別措置法第42条の12第1項に規定する中小企業者等(以下「中小企業者等」という。)に該当するが、合併法人は中小企業者等に該当しない場合の特別償却の適用関係は、次のような取扱いになることを本通達の(注)1において明らかにしている。

イ 被合併法人が特別償却対象資産を最後事業年度において事業の用に供した場合には、被合併法人は中小企業者等に該当することから、他の適用要件を満たせば、被合併法人において特別償却の適用がある。

ロ 被合併法人が特別償却対象資産を事業の用に供しないで合併法人が事業の用に供した場合には、被合併法人は事業の用に供していないことから特別償却の適用はない。一方、合併法人も中小企業者等に該当しないことから特別償却の適用はない。

(2) また、適格合併等により移転をした減価償却資産について、特別税額控除又は特別償却準備金の適用要件を満たすかどうかの判定を行う場合において、いつの時点で判定を行うかという点についても、上記(1)と同様、最初に事業の用に供した日の現況によりその適用要件を満たすかどうかにより判定することになる。

(3) 被合併法人等において特別償却の適用を受けた特別償却対象資産を合併法人等が適格合併等により移転を受け、かつ、当該特別償却対象資産について合併等特別償却不足額がある場合、合併法人等において当該特別償却の適用要件を満たさなければ、合併等特別償却不足額の特別償却ができないのではないかとの疑問がある。
 しかし、合併特別償却不足額については、合併法人等において適用要件を満たしているかどうかにかかわらず、適格合併等により合併法人等へ引き継ぐことが法令上認められている。つまり、合併法人等の当該移転を受けた日を含む事業年度において当該合併等特別償却不足額の特別償却が認められることになる(措法52の24)。
 このことは、特別償却準備金の積立不足額についても同様である。
 本通達の(注)2において、これらのことを明らかにしている。

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