【新設】(移転資産等と密接な関連を有する繰延資産)

8−1−14 令第66条《移転資産等と密接な関連を有する繰延資産の範囲》に規定する「その他これらに類するもの」とは、例えば、次の繰延資産をいう。

(1) 適格分割、適格現物出資又は適格事後設立(以下 8−1−15までにおいて「適格分割等」という。)によりノーハウの設定契約が移転した場合における8ー1−6に定めるノーハウの頭金等

(2) スキー場においてリフト、ロープウエイ等の索道事業を営む法人が適格分割等により当該事業に係る資産等(法第32条第2項《適格分社型分割等により引き継ぐ繰延資産に係る期中損金経理額の損金算入》に規定する資産等をいう。8−1−15において同じ。)を移転した場合における8−1−9に定めるスキー場のゲレンデ整備費用

(3) 適格分割等により職業運動選手等との専属契約を移転した場合における8−1−12に定める契約金等

【解説】

(1) 法人が適格分割、適格現物出資又は適格事後設立(以下「適格分割等」という。)を行った場合には、次のイからハまでに掲げる繰延資産は、その分割等の直前の帳簿価額により分割承継法人、被現物出資法人又は被事後設立法人(以下「分割承継法人等」という。)に引き継ぐこととされている(法324)。
 なお、次のイ及びロに掲げるものは適格分割等に伴い強制的に引き継がれるが、ハに掲げるものは、これを引き継ぐ場合は引き継ぐ繰延資産の帳簿価額等を記載した書類を所轄税務署長に提出することとされていることから(法325)、実質的には法人の任意で引き継ぐことが認められる。

イ 当該適格分割等により分割承継法人等に移転する資産、負債又は契約(以下「資産等」という。)と密接な関連を有する繰延資産として政令に定めるもの

ロ 当該適格分割等(適格分割型分割を除く。)により分割承継法人等に移転する資産等と関連を有する繰延資産のうち法人税法第32条第2項の規定の適用を受けたもの(イに掲げるものを除く。)

ハ 当該適格分割等により分割承継法人等に移転する資産等と関連をする繰延資産(イ及びロに掲げるものを除く。)
また、上記イの「政令に定めるもの」としては、次の繰延資産が掲げられるとともに「その他これらに類するもの」が含まれる旨が規定されている(令66)。

(イ) 当該法人の発行した社債が適格分割等により分割承継法人等に引き継がれる場合における当該社債に係る社債発行費及び社債発行差金

(ロ) 適格分割等により分割承継法人等のみが便益を受けることとなる公共的施設又は共同的施設に係る費用

(ハ) 適格分割等により分割承継法人等が引き続き賃借する資産に係る費用

(2) そこで、本通達では、移転する資産等と密接な関連を有する繰延資産、すなわちこの「その他これらに類するもの」を例示している。
 したがって、本通達の(1)から(3)までに掲げる繰延資産は、その資産等が適格分割等により分割承継法人等に移転する場合には、いずれもその資産等と密接な関連があるものとして、直前の帳簿価額(未償却残高)を引き継ぐことになる。

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