【新設】(合併等に係る法人の資産移転後の損益の帰属)

2−6−2の2 合併等(合併、分割又は現物出資をいう。以下2−6−2の2において同じ。)により設立した法人の当該合併等の日から当該法人の設立の日の前日までの期間中に生じた損益は、2−6−2の本文の取扱いにかかわらず、当該法人のその設立後最初の事業年度の所得の金額の計算に含めて申告することとなるのであるから、留意する。

【解説】

(1) 会社は登記により成立し、その時点から法人格を取得することとされていることから(商法57)、法人の設立後最初の事業年度の開始の日は、法人の設立の日によるとされ、この設立の日は、設立の登記により設立する法人にあっては設立の登記をした日とされている(基通1−2−1参照)。
 このように、一種の法的基準により設立の日を判定することとした場合には、法人の設立期間中に生じた損益をどのように扱うかという問題が残るが、これについては、法人の設立期間中にその設立中の法人について生じた損益は、その法人のその設立後最初の事業年度の所得の金額の計算に含めて申告ができるものとされ(基通2−6−2参照)、実際的な解決が図られている。

(2) ところで、平成13年度の税制改正により整備された組織再編成に係る税制においても、合併等(合併、分割又は現物出資をいう。以下同じ。)により設立した法人の設立の日はあくまで設立登記をした日であることから、合併等の日とその設立の日との間にわずかな時期のずれが生じ、その合併等の日から合併法人の設立の日の前日までの期間中に生じた損益についてどのように取り扱うのかという問題が生ずることになる。
 前述したとおり、基本通達2−6−2においては、法人の設立期間中について生じた損益は、いわば例外的に、その法人のその設立後最初の事業年度の所得の金額の計算に含めて申告ができるものとされてきたところである。
 しかし、合併等の場合にあっては、合併期日などの組織再編成の日に資産等が合併法人等に移転することとされており(法62ほか)、その移転後の資産等から生じた損益は合併法人等に帰属するということが税制上予定されていると考えられる。
 そこで、本通達においては、合併法人等の資産等の移転の日から当該合併法人等の設立登記の日の前日までの期間中に生じた損益は、基本通達2−6−2の本文の取扱いにかかわらず、当該合併法人等のその設立後最初の事業年度の所得の金額の計算に含めて申告することとなることを留意的に明らかにしている。

(3) なお、資産移転後の損益を設立後最初の事業年度の所得計算に含めて申告する場合には、減価償却資産の償却限度額の算出などその事業年度の期間を月数換算して計算する場面が生ずるが、この場合には、資産移転後の資産等から生じた損益が合併法人に帰属することとなることから、この月数換算して計算する場面においては、設立後最初の事業年度の期間と資産等の移転の日から当該合併法人等の設立登記の日の前日までの期間との合計期間を基に月数換算を行うことになる。

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