1−5−3 法人が商法第 293条ノ3《準備金の資本組入れ》の規定により利益準備金の資本組入れを行った場合には、当該組み入れた金額に相当する金額につき利益積立金額を減算することなく資本積立金額を減算するのであるから、留意する。
(注)当該減算する資本積立金額が当該組入れ前の資本積立金額を超える場合には、当該組入れ後における資本積立金額はマイナスとなることに留意する。
【解説】
平成13年度税制改正によって、商法第 293条ノ3の規定に基づき準備金の資本組入れが行われた場合には、資本に組み入れた準備金に相当する金額は資本積立金額から減算することとされた(法2十七ヲ)。
改正前は、資本準備金の資本組入れが行われた場合には、税務上は、資本積立金額を減少するという計算が行われ、利益準備金の資本組入れが行われた場合には、税務上は、利益積立金額の資本組入れとして、みなし配当の対象とするとともに、その組み入れた金額は利益積立金額を減少する計算を行ってきた。
しかし、今回の税制改正によって、利益積立金額の資本組入れが行われた場合のみなし配当課税は廃止された。また、これに伴い、利益準備金が資本に組み入れられた場合には、当該組み入れられた金額は、税務上、利益積立金額の減少とはせずに、資本積立金額が減少することとされた。本通達では、このことを念のため明らかにしている。
なお、当該計算において減少する資本積立金額が資本組入れ前の資本積立金額を超える場合には、ゼロとして計算するのではなく、マイナスとなることを本通達の(注)で明らかにしている。
すなわち、税法上の資本積立金額の概念はマイナスもあり得るということであり、例えば、寄附金の損金算入限度額の計算においては、そのマイナスの資本積立金額は期末資本
金額から控除することになるので注意する必要がある。
【改正前】
【改正後】