【新設】(従業者の範囲)

1−4−4 法第2条第12号の8ロ(1)若しくは令第4条の2第3項第3号《適格合併の要件》、法第2条第12号の11ロ(2)若しくは令第4条の2第6項第4号《適格分割の要件》又は法第2条第12号の14ロ(2)若しくは令第4条の2第10項第4号《適格現物出資の要件》に規定する「従業者」とは、役員、使用人その他の者で、合併、分割又は現物出資の直前において被合併法人の合併前に営む事業、分割事業(令第4条の2第6項第1号に規定する分割事業をいう。以下この節において同じ。)又は現物出資事業(令第4条の2第10項第1号に規定する現物出資事業をいう。以下この節において同じ。)に現に従事する者をいうものとする。ただし、これらの事業に従事する者であっても、例えば日々雇い入れられる者で従事した日ごとに給与等の支払を受ける者について、法人が従業者の数に含めないこととしている場合は、これを認める。
 令第4条の2第3項第2号、第6項第2号又は第10項第2号《共同事業要件》の従業者の範囲についても同様とする。

(注)

1 出向により受け入れている者等であっても、被合併法人の合併前に営む事業、分割事業又は現物出資事業に現に従事する者であれば従業者に含まれることに留意する。

2 下請先の従業員は、例えば自己の工場内でその業務の特定部分を継続的に請け負っている企業の従業員であっても、従業者には該当しない。

3 分割事業又は現物出資事業とその他の事業とのいずれにも従事している者については、主として当該分割事業又は現物出資事業に従事しているかどうかにより判定する。

【解説】

(1) 適格合併、適格分割又は適格現物出資に該当するためには、100%の持株割合の法人間で行われるものを除き、被合併法人の合併直前の従業者、分割直前の分割事業に係る従業者又は現物出資直前の現物出資事業に係る従業者のおおむね80%以上の引継ぎが要件とされている。この場合の「従業者」の意義については、法令上、必ずしも明らかではないことから、本通達ではその範囲を明らかにしている。
 「従業者」が適格合併等の判定要件とされている理由としては、その合併等により移転する資産、負債が独立した事業単位での移転であるかどうかを判定するメルクマールの一つとして規定されているものと考えられる。このことからすれば、「従業者」とは、雇用契約があるかどうかといった雇用形態のいかんにかかわらず、役員、使用人その他の者で、被合併法人の合併前に営む事業、分割事業又は現物出資事業に、現に従事する者のすべてがこれに含まれることとなろう。本通達ではこのことを明らかにしている。
 ただし、いわゆる日雇労務者等については、日々雇用契約を締結していることからその引継ぎを要件とすることは実態に合わないことから、法人がこれを従業者の数に含めないこととしている場合にはこれを認めることとしている。
 なお、共同事業を営む合併、分割又は現物出資の場合には、その適格要件のうちに、被合併法人と合併法人との売上金額、従業員数等の規模の割合が5倍を超えないこととする「5倍規模要件」がある。そして、この5倍規模要件における従業員の範囲についても、上述したところと同様である。

(2) 更に、本通達の(注)では、「従業者」の範囲について、いくつかの留意点を明らかにしている。
 第一に、被合併法人、分割法人又は現物出資法人が、その合併等の時において他の法人から出向者を受け入れている場合や人材派遣会社から派遣社員を受け入れている場合も多いと思われるが、このような場合であっても、本通達本文と同様に現に移転する事業に従事する者であれば、これらの者についても「従業者」に含まれることとなる。
 次に、下請先の従業員については、例えばその下請先が自己の工場内の特定のラインを継続的に請け負っている場合であっても、当該下請先の従業員は被合併法人の事業、分割法人の分割事業又は現物出資法人の現物出資事業に従事しているわけではなく下請先自身の事業に従事しているのにすぎないのであるから、「従業者」には含まれない。
 また、分割事業又は現物出資事業とその他の事業とを兼務している者については、主として分割事業又は現物出資事業に従事していれば当該事業に係る従業者に含まれることとなる。

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