【新設】(合併等に際し1株未満の株式の譲渡代金を被合併法人等の株主等に交付した場合の適格合併等の判定)

1−4−2法人が行った合併が法第2条第12号の8《適格合併》に規定する適格合併に該当するかどうかを判定する場合において、合併法人が合併に際し、被合併法人の株主等に交付する株式(出資を含む。以下1−4−3までにおいて同じ。)に1株未満の株式が生じたためその1株未満の株式の合計数に相当する株式を他に譲渡し、その譲渡代価を当該株主等に交付したときは、当該株主等に対してその1株未満の株式に相当する株式を交付したこととなることに留意する。
法人が行った分割が法第2条第12号の11《適格分割》に規定する適格分割に該当するかどうかを判定する場合も、同様とする。

(注)当該1株未満の株式は、令第4条の2第3項第5号《適格合併の要件》及び第6項第6号《適格分割の要件》に規定する議決権のないものに該当する。

【解説】

(1) 法人が行った合併で被合併法人の株主等に合併法人の株式以外の資産(利益に配当又は剰余金の分配として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付された場合には、その合併は適格合併に該当しないこととされている(法2十二の八)。したがって、合併に際し被合併法人の株主等に合併交付金のような金銭を交付した場合には、その合併は非適格合併に該当することとなる。
 法人の合併に際し、その合併比率が3対1や2対1等の比率である場合には、被合併法人の株主に交付する合併法人の株式に1株未満の株式が生ずることがある。このような1株未満の株式の処理については、実務上、端株として株主に交付することに代えて、これに相当する金銭を交付することが行われることがある。このような端株代り金の交付が行われた場合に、被合併法人の株主に合併法人の株式以外の資産が交付されたものとして非適格合併と判定されるのかどうかという問題がある。

(2) この点、このような端株代り金の交付は、合併法人においてその1株未満の株式の合計数に相当する数の株式を便宜一括して他に譲渡し、その譲渡代金を株主に交付するものであり、合併法人が株主に代わって1株未満の株式の譲渡を行うにすぎないものである。
 また、合併法人側についても、このような場合の1株未満の株式の処理に伴い株主等に交付すべきものとして収入する金額又は株主等に交付した金額は、合併法人の益金の額又は損金の額に算入しないこととされている(令139の3)。
 したがって、このような1株未満の株式の代り金を株主に交付した場合には、当該株主に対して株式を交付したものとして取り扱うことが相当であり、本通達はこのことを明らかにしている。

(3) なお、共同で事業を営むための合併として適格合併に該当するかどうかの要件として、被合併法人の株主等でその合併により交付を受ける合併法人の株式について、いわゆる継続保有要件が掲げられているが、端株主が端株代り金の交付を受けた場合には、上述のとおり当該株主は当該株式を譲渡したことになるため、この要件を判定する上で「当該合併により交付を受ける合併法人の株式の全部を継続して保有することが見込まれる者」には含まれないのではないかとの疑義が生じる。
 しかしながら、この継続保有要件を判定する場合の株式には議決権のない株式は含まれないこととされているところ、端株については、商法上、議決権のない株式に該当するため(商220ノ3、2411) 、被合併法人の株主が端株の代り金を受け取ったとしても当該要件の判定には影響を及ぼさないと解される。
 本通達の(注)ではこのことを念のために明らかにしている。

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