【新設】(国内にある事業所に属する資産又は負債の判定)

1−4−12 令第4条の2第7項《適格現物出資の要件》に規定する「国内にある事業所に属する資産又は負債」に該当するかどうかは、原則として、当該資産又は負債が国内にある事業所又は国外にある事業所のいずれの事業所の帳簿に記帳されているかにより判定するものとする。
ただし、国外にある事業所の帳簿に記帳されている資産又は負債であっても、実質的に国内にある事業所において経常的な管理が行われていたと認められる資産又は負債については、国内にある事業所に属する資産又は負債に該当することになるのであるから留意する。

【解説】

 適格現物出資又は適格事後設立の要件の一つとして、「外国法人に国内にある資産又は負債として政令で定める資産又は負債の移転を行うものを除く」こととされ(法2十二の十四、十二の十五)、政令においては、国内にある不動産、国内にある不動産の上に存する権利、鉱業権、採石権その他国内にある事業所に属する資産(外国法人の発行済株式等の総数の百分の二十五以上の数に株式を有する場合におけるその株式を除く。)又は負債をいうこととされている(令4の27)。
 本通達では、国内にある事業所に属する資産又は負債であるかどうかの判定について、具体的なメルクマールを明らかにしている。
 すなわち、法人の有する資産又は負債がその法人のいずれの事業所に属しているかは、国内、国外のいずれの事業所の帳簿に記載されているかにより判定することとされている。これは、一般に法人が有する資産又は負債については、その資産又は負債を経常的に管理している事業所の帳簿において記帳がされていることが通常であろうから、原則として、国内、国外いずれの事業所の帳簿に記帳されているかにより国内の事業所に属している資産又は負債かどうかの判定をするというものである。
 ところで、国内の事業所に属する資産又は負債を現物出資等をすることにより外国法人を設立するような場合、いったん一時的に国外の事業所に移管・記帳した上で、国外でその資産又は負債を現物出資して外国子会社を設立することがある。この場合、その出資資産は、出資直前に国外事業所の帳簿に記帳されていたことから国外の事業所に属する資産又は負債ではないかとの疑義が生ずる。しかし、国外の事業所の帳簿に記帳されていたのは、国外で子会社を設立するための準備としてであり、そのように一時的に国外の事業所の帳簿に記帳されていたからといって国外の事業所に属する資産又は負債と判定するのではなく、あくまでも経常的に管理が行われていた場所で判定すべきである。本通達のただし書において、このことを留意的に明らかにしている。

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