【新設】(最も古い事業年度の判定)

16−3−3の2 繰越控除限度額(法第69条第2項に規定する繰越控除限度額をいう。以下16−3−3の2において同じ。)を有する法人が、同条第4項の規定の適用を受ける場合の繰越控除限度額の計算において、令第144条第1項の「最も古い事業年度」がいずれの事業年度であるかについては、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める事業年度とする。

(1) 控除限度額の生じた当該法人の前3年以内の各事業年度のうち最も古い事業年度の開始の日が当該被合併法人等の法第69条第4項の規定によりその含まれるものとされた控除限度額の生じた被合併法人等(被合併法人、分割法人、現物出資法人又は事後設立法人をいう。以下この章において同じ。)の各事業年度のうち最も古い事業年度の終了の日より早い日である場合当該法人の当該前3年以内の各事業年度のうち最も古い事業年度

(2) 控除限度額の生じた当該法人の前3年以内の各事業年度のうち最も古い事業年度の開始の日が当該被合併法人等の法第69条第4項の規定によりその含まれるものとされた控除限度額の生じた被合併法人等の各事業年度のうち最も古い事業年度の終了の日より遅い日である場合当該被合併法人等の当該各事業年度のうち最も古い事業年度

(注) 同条第3項に規定する繰越控除対象外国法人税額の計算につき同条第4項の規定の適用を受ける場合においても同様とする。

【解説】

(1) 内国法人が外国税額控除の適用を受ける場合において、 適用事業年度の控除対象外国法人税の額が控除限度額を超えるときは、その超える部分の金額(以下「控除限度超過額」という。)は、適用事業年度開始の日前3年以内に開始した各事業年度(以下「前3年以内の各事業年度」という。)の控除限度額のうち適用事業年度に繰り越される部分の金額(以下「繰越控除限度額」という。)を限度として適用事業年度の法人税の額から控除することができる(法692)。
 また、繰越控除限度額の生じた事業年度が複数ある場合には、これらの事業年度のうち最も古い事業年度の繰越控除限度額から順次、適用事業年度の控除限度超過額に充てることとされている(令144)。
 ところで、平成13年度の税制改正より、適格組織再編成が行われた場合の外国税額控除制度の整備が行われた。すなわち、適格組織再編成により合併法人等が被合併法人等から事業の移転を受けた場合、合併法人等の外国税額控除の適用事業年度の開始の日前3年以内に終了した被合併法人等の各事業年度の控除限度額のうち、その移転事業に係る所得に基因するものとして計算した一定の金額は、合併法人等の適用事業年度の前3年以内の各事業年度の控除限度額に含まれるものとされた(法694)。

(2) そこで、例えば、下図のような場合、つまり、合併法人の適用事業年度の前3年以内の 各事業年度に合併法人の各事業年度((e)〜(g))と被合併法人の各事業年度((a)〜(c))が含まれる場合で、いずれの事業年度においても繰越控除限度額が生じているときは、合併法人の適用事業年度の控除限度超過額への充当を行うに当たって、これらの事業年度((a)〜(g))のうち最も古い事業年度はどのように判定するのか、つまり、どの事業年度から順 次充当するのかという疑問が生じる。

合併法人の適用事業年度の判定方法の図

(3) この点、法令上必ずしも明らかでないが、合併法人の適用事業年度の翌事業年度において、その翌事業年度の前3年以内の各事業年度に含まれなくなる時期が最も早く到来する事業年度から、つまり控除限度額の繰越しが打ち切りとなるのが早い事業年度から順次に充てることとすることが適当である。具体的には、合併法人の翌事業年度において、被合併法人の(a)事業年度は当該翌事業年度の前3年以内の事業年度に含まれるが、合併法人の(e)事業年度は当該翌事業年度の前3年以内の事業年度に含まれないこととなるから、(e)事業年度→(a)事業年度の順序で充てていく。
 そこで、本通達において、合併法人等の最も古い事業年度開始の日被合併法人等の最も古い事業年度終了の日を比較することにより、最も古い事業年度を判定することを明らかにしている。
 また、繰越控除対象外国法人税額の計算についても、同様の判定を行うことを本通達の(注)において明らかにしている。

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