【新設】(資産等の引継ぎに関する書類の提出)

12の2−1−2 法人が当該法人を分割法人とする適格分割型分割を行った場合において、当該法人が法第75条の2第1項《確定申告書の提出期限の延長の特例》に規定する確定申告書の提出期限の延長の特例の適用を受けている法人であっても、次に掲げる規定の適用を受けるときは、これらの規定に規定する書類の提出は、当該適格分割型分割の日以後2月以内に行わなければならないことに留意する。

(1) 法第32条第5項《移転する資産等と関連を有する繰延資産の引継ぎに係る届出》

(2) 法第43条第9項《国庫補助金等に係る特別勘定の引継ぎに係る届出》

(3) 法第48条第9項《保険差益等に係る特別勘定の引継ぎに係る届出》

(4) 令第133 条の2第7項《一括償却資産の引継ぎに係る届出》

(5) 令第139 条の4第12項《繰延消費税額等の引継ぎに係る届出》

【解説】

(1) 法人が事業年度の中途においてその法人を分割法人とする分割で分社型分割以外の分割を行った場合には、その事業年度開始の日から分割の日の前日までの期間が一つの事業年度とみなされ(法14三)、原則としてその分割の日から2月以内に確定申告書を提出する必要がある(法74)。
 ただし、この場合の確定申告についても、その法人が会計監査人の監査を受けなければならないことその他これに類する理由により、確定申告書の提出期限の延長の特例の適用を受けている法人については、提出期限が1か月延長されることになる(法75の21)。
 他方、法人が、例えば、適格分割等により移転する資産、負債又は契約と関連を有する繰延資産を引き継ぐ場合には、分割法人等はその適格分割等の日以後2月以内にその引き継ぐ繰延資産の帳簿価額等を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出することが義務づけられている(法325)。

(2) このため、確定申告書の提出期限の延長が認められている法人については、上記の繰延資産の引継ぎに関する書類の提出についても、1か月の延長が認められるかどうかという疑問が生ずる。
 この点については、法令上「適格分割等の日以後2月以内に」とされており、確定申告書の提出期限の延長とは連動していないことから、法人税法第75条の2第1項の規定の適用を受けている法人であっても、上記の届出書類は、分割法人の確定申告書の提出期限とは関係なく、適格分割等の日以後2月以内に提出する必要がある。
 本通達では、このことを念のため明らかにしている。
 なお、繰延資産の引継ぎのほか、国庫補助金等の特別勘定の引継ぎ(法439)、保険差益等に係る特別勘定の引継ぎ(法489)、一括償却資産の引継ぎ(令133の27)、繰延消費税額等の引継ぎ(令139の412)にも同様の規定がある。

(3) 適格分社型分割等(適格分社型分割、適格現物出資又は適格事後設立をいう。)を行った場合についても、上記(2)と同様に、繰延資産などの資産等の引継ぎが可能であり、この場合の引継ぎに関する書類も「分社型分割等の日以後2月以内」に提出することとされている。
 もっとも、分割型分割とは異なり、分社型分割、現物出資又は事後設立が行われた場合には、これらを行った分割法人、現物出資法人又は事後設立法人について「みなし事業年度」は設けられていないことから、上記のような「引継ぎに関する書類の提出期限」と「確定申告書の提出期限の延長」との関係にそれほど疑義は生じないと考えられる。

(注) 事業年度の中途で適格分社型分割等を行った場合には、一定の書類を提出することを条件に、その適格分社型分割等の日の前日までの期間に係る減価償却費、引当金繰入損、圧縮損等の損金算入が認められているが、この一定の書類の提出期限も、「適格分社型分割等の日以後2月以内」とされている。

(引継ぎに関する書類と延長に係る確定申告書の提出期限)

引継ぎに関する書類と延長に係る確定申告書の提出期限の図

一覧に戻る