【新設】(被合併法人等から引継ぎ等を受けた帳簿価額の修正)

12の2−1−1 適格合併により合併法人が被合併法人から移転を受けた資産又は負債につき、合併後被合併法人の合併の日の前日の属する事業年度以前の各事業年度分の調査により税務上の否認金の額があることが判明した場合には、当該合併法人の当該合併の日の資産及び負債の帳簿価額は当該否認金に相当する金額を加算又は減算した金額となることに留意する。
適格分割、適格現物出資又は適格事後設立により分割法人、現物出資法人又は事後設立法人から移転を受けた資産又は負債についても、同様とする。

(注) 適格合併又は適格分割に係る被合併法人又は分割法人に繰越欠損金がある場合において、合併法人又は分割承継法人がその繰越欠損金の全部又は一部に相当する金額を営業権として受け入れているときであっても、当該営業権については移転がなかったことになるのであるから留意する。

【解説】

(1) 被合併法人が適格合併により合併法人に資産及び負債の移転を行った場合には、その被合併法人の適格合併に係る最後事業年度終了の時の帳簿価額により引継ぎをしたものとして、移転資産等の譲渡損益の計上が繰り延べられることとされている(法62の2)。
 この場合の「帳簿価額」とは、文理上も、また、適格合併の場合は移転時に移転資産等の譲渡損益の計上を行わないとする法令の趣旨からみても、会計上貸借対照表に計上されている帳簿価額をいうものではなく、税務上の帳簿価額をいうものと解される。
 例えば、被合併法人から移転を受ける減価償却資産に減価償却超過額といった税務上の否認金がある場合には、合併法人がその否認金相当額だけ財務諸表の帳簿価額を修正して引き継いでいないときでも、税務上は、その減価償却資産は減価償却超過額だけ増額した金額で引き継がれることになる。
 したがって、適格合併により合併法人が被合併法人から資産又は負債を引き継いだ後において、被合併法人の合併前の事業年度分の調査により税務上の否認金が発生し、合併時の資産又は負債の税務上の帳簿価額が誤っていることが判明した場合には、その帳簿価額を修正した金額を引き継ぐことになる。
 本通達ではこのことを留意的に明らかにしている。
 なお、この取扱いは、適格合併だけではなく、適格分割、適格現物出資又は適格事後設立により分割法人、現物出資法人又は事後設立法人から移転を受けた資産又は負債についても、同様に取り扱われることとなる。

(2) ところで、合併に際し、被合併法人に繰越欠損金があるため、合併法人が、繰越欠損金の全部又は一部に相当する金額を営業権として受け入れて、貸借対照表に表示する場合がある。このような場合であっても、その合併が適格合併に該当するときは、税務上はあくまで合併直前の被合併法人の帳簿価額で受け入れることとなるので、そのような営業権はなかったこととして取り扱われる。
 本通達の(注)においてこのことを明らかにしている。

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