【新設】(法人を新設する適格合併等に係る被合併法人等が3以上ある場合の取 扱い)

12−1−4 法人を新設する適格合併が行われた場合において、当該適格合併に係る 被合併法人が3以上あるときにおける法第57条第3項《被合併法人等からの青色欠 損金の引継ぎに係る制限》の規定の適用については、被合併法人ごとに、それぞれ 他の被合併法人との間でそれぞれ同項の規定の適用があるかどうかを判定すること に留意する。
この場合において、被合併法人と他の被合併法人とのいずれかの間で同項の規定の適用がある場合には、その適用のある法人間の同項に規定する特定資本関係が生じた日のうち最も遅い日の属する事業年度が、同項各号の特定資本関係事業年度となることに留意する。

(注) 法人を新設する法第57条第2項《適格合併等による欠損金の引継ぎ等》に規定する合併類似適格分割型分割が行われた場合において、当該分割に係る分割法人が3以上あるときにおける同条第3項の規定の適用についても同様とする。

【解説】

(1) 被合併法人等の未処理欠損金額の引継ぎ制限の規定(法573)が適用されるかどうかは、特定資本関係の有無及び共同事業を営むための適格合併等に該当するかどうかによって判定することとされている。
 また、この判定は、吸収合併の場合には「合併法人と被合併法人との間」で行うが、新設合併の場合には「被合併法人と他の被合併法人との間」で行うことが法令上明らかにされている(法573)。これは、新設合併にあっては、被合併法人同士が実質的な合併当事者であることを考慮したものと考えられる。
 ところで、3社以上の被合併法人によって新設合併(適格合併)が行われた場合、例えば、A社、B社及びC社の3社を被合併法人とし、合併法人甲社を新設する適格合併が行われた場合、特定資本関係の有無及び共同事業を営むための適格合併等に該当するかどうかの判定を、具体的にどのように行うのかという疑問が生じる。
 この点については、法令上は被合併法人と他の被合併法人と規定されており、この「他の被合併法人」が2社以上あるということになるから、被合併法人ごとに、それぞれ他の被合併法人との間で判定することになるのである。
 すなわち、被合併法人A社の欠損金額を合併法人甲社に引き継ぐことができるかどうかは、A社とB社間、A社とC社間のそれぞれの間で、特定資本関係の有無及び共同事業を営むための適格合併等に該当するかどうかの判定を行うことになる。また、同様に、被合併法人B社の欠損金額は、BA間、BC間のそれぞれの間で、被合併法人C社の欠損金額は、CA間、CB間のそれぞれの間で、判定を行うことになる。
 そして、被合併法人と他の被合併法人とのいずれかの間で引継ぎ制限の規定(法573)の適用がある場合には、その法人間の特定資本関係が生じた日のうち最も遅い日の属する事業年度が特定資本関係事業年度となる。例えば、被合併法人A社の欠損金額を例にとると、B社との特定資本関係が平成10年4月20日に生じ、C社との特定資本関係が平成12年8月7日に生じ、かつ、AB間、AC間のいずれも共同事業を営むための適格合併等に該当しない場合には、A社の平成12年8月7日を含む事業年度が特定資本関係事業年度に該当し、引継ぎ制限が行われることになる。
 なお、3社以上の分割法人で行われる新設分割で、合併類似分割型分割(合併に類似する適格分割型分割で一定のもの)に該当するものが行われた場合についても、同様の適用関係になることを、本通達の(注)で明らかにしている。

(2) ところで、吸収合併の場合の判定については、本通達では触れられていないが、次のような適用関係になることが法令上明らかである。
 例えば、A社を合併法人とし、B社及びC社の2社を被合併法人とする吸収合併が行われた場合、被合併法人B社の欠損金額を合併法人A社に引き継ぐことができるかどうかは、AB間で特定資本関係の有無及び共同事業を営むための適格合併等に該当するかどうかの判定を行うことになり、同様に、C社の欠損金額は、AC間で判定を行うことになる。

被合併法人等の未処理欠損金額の引継ぎ制限の判定の図

 以上のように、新設合併の場合と吸収合併の場合では、引継ぎ制限の規定(法573)の判定が若干異なるので、留意する必要がある。

一覧に戻る