【新設】(使用人が従事することが見込まれる業務)

11−4−26 令第106条の2第3号《分社型分割等における期中退職給与引当金勘定の設定の要件》に規定する「分割承継法人等の業務」又は第107条第1項第3号《退職給与引当金勘定の金額の取崩し》に規定する「合併法人等の業務」とは、これらの号に規定する分割等事業又は被合併等事業に限らないことに留意する。

【解説】

(1) 分社型分割等を行った場合の期中退職給与引当金勘定の繰入れ要件は、法令上、分社型分割等の直前の分割等事業に従事していた使用人のうち、その総数のおおむね100分の80以上に相当する数の者が当該分社型分割等の後に分割承継法人等の業務に従事することが見込まれていることと規定されている(令106の2三)。
 この要件の移転した使用人が従事することとなる「分割承継法人等の業務」とは、分割等によって移転した使用人が移転前において従事していた業務に限られるのか、それとも移転前に従事していた業務以外であっても移転後の法人の業務であればよいのかという疑義が生じる。
 この点について、分割等事業に従事していた使用人のうち移転した使用人が分割等の後に従事すべきこととされているのは、分割承継法人等の「業務」であって、必ずしも分割等事業に限られているわけではない。
 したがって、分割承継法人等自身が分割等の前から営んでいる事業に従事することが見込まれている場合であっても、この要件を満たすこととなる。

(2) また、使用人が退職した場合、退職給与引当金勘定の金額のうち、その使用人の退職給与の額に相当する金額に達するまでの金額は取り崩して益金の額に算入することになる。したがって、組織再編成により使用人が被合併法人等を退職した場合も、原則的には、退職給与引当金勘定の取崩しを行わなければならない。ただし、一定の要件を満たす場合には、 退職した場合の取崩し事由から除かれている。
 この要件の一つに、組織再編成の直前の被合併等事業に従事していた使用人のうち、その総数のおおむね100分の80以上に相当する数の者が当該組織再編成後に合併法人等の業務に従事することが見込まれていることがある(令1071三)。この規定は上記(1)の要件を規定する法人税法施行令第106条の2第3号と同様の規定振りとなっていることから、合併法人等の「業務」は上記(1)の分割承継法人等の「業務」と同様に解することになる。
 したがって、合併法人等自身が組織再編成の前から営んでいる事業に従事することが見込まれている場合であっても、当該要件を満たすこととなる。
 本通達では、これらのことを留意的に明らかにしている。

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