【新設】(圧縮記帳の適用を受けた固定資産の移転を受けた場合の取得価額)

10−1−4 合併法人等(合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被事後設立法人をいう。以下この章において同じ。)が適格組織再編成(適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格事後設立をいう。以下この章において同じ。)により被合併法人等(被合併法人、分割法人、現物出資法人又は事後設立法人をいう。以下この章において同じ。)において圧縮記帳の適用を受けた固定資産の移転を受けた場合には、当該固定資産に係る引当金又は目的積立金の金額の引継ぎを受けたかどうかにかかわらず、当該被合併法人等において当該固定資産の取得価額に算入されなかった金額は、当該固定資産の取得価額に算入されないことに留意する。

【解説】

(1) 被合併法人等が、固定資産について引当金勘定に繰り入れる方法又は確定した決算において利益又は剰余金の処分により積立金として積み立てる方法によって圧縮記帳の適用を受け、適格組織再編成により合併法人等に当該固定資産を移転した場合、当該引当金又は積立金については、会計及び商法上、合併法人等に引き継ぐ場合、引き継がない場合又は引き継ぐことができない場合が考えられる。
このことから、上記のような固定資産を適格組織再編成により移転した場合、移転した固定資産に係る引当金又は積立金を引き継がなかったとき等の合併法人等における処理について疑義が生ずる。つまり、合併法人等は当該固定資産をいくらの取得価額とするか、その後の減価償却や譲渡損益の計算をどのように行うことになるのかということである。

(2) この点、被合併法人等において圧縮記帳の規定により固定資産の取得価額に算入されなかった金額は、合併法人等においても固定資産の取得価額に算入されない旨の規定が設けられている(令80の22)。
 したがって、固定資産の帳簿価額を直接減額している場合はもちろん、引当金勘定に繰り入れる方法又は利益等の処分により積立金として積み立てる方法によった場合であっても、被合併法人等において圧縮記帳の規定の適用を受けたことにより固定資産の取得価額に含まれなかった金額は、合併法人等において取得価額に含まれないことになる。つまり、引当金又は積立金の会計処理の方法にかかわらず、合併法人等の取得価額は同一金額となる。
 本通達では、このことを明らかにしている。

一覧に戻る