第2節 申請による換価の猶予の要件等

20 申請による換価の猶予の要件

(1) 要件

申請による換価の猶予をすることができるのは、次に掲げる要件の全てに該当する場合であり(徴収法第151条の2、第152条第4項)、具体的には下記(2)から(8)までに定めるところによる。

  • イ 納付すべき国税を一時に納付することにより、その事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められること。
  • ロ 滞納者が納税について誠実な意思を有すると認められること。
  • ハ 滞納者から納付すべき国税の納期限から6月以内に換価の猶予の申請書が提出されていること。
  • ニ 納付すべき国税について納税の猶予の適用を受けている場合でないこと。
  • ホ 原則として、換価の猶予の申請に係る国税以外の国税の滞納がないこと。
  • ヘ 原則として、換価の猶予の申請に係る国税の額に相当する担保の提供があること。

(2) 申請による換価の猶予を受けることができる者

申請による換価の猶予を受けることができる者については、上記16(2)《職権による換価の猶予を受けることができる者》と同様である(徴基通第151条の2関係1)。

(3) 事業継続又は生活維持の困難

「国税を一時に納付することによりその事業の継続又はその生活の維持を困難にするおそれがあると認められる場合」とは、次のいずれかに該当する場合をいう。

  • イ 事業に不要不急の資産を処分するなど、事業経営の合理化を行った後においてもなお、国税を一時に納付することにより、事業を休止し、又は廃止させるなど、その滞納者の事業の継続を困難にするおそれがある場合(徴基通第151条の2関係3)
  • ロ 国税を一時に納付することにより、滞納者の必要最低限の生活費程度の収入が確保できなくなる場合(徴基通第151条の2関係4)

(4) 納税についての誠実な意思

「納税について誠実な意思を有する」とは、上記16(3)《納税についての誠実な意思》と同様である(徴基通第151条の2関係2)。

なお、滞納者から換価の猶予の申請に際して提出された書類が適切に記載されたものである場合は、原則として、納税についての誠実な意思を有しているものと判定して差し支えないが、他の要件についての調査を省略して、直ちに換価の猶予該当とすることはできないことに留意する。

(注)

  1. 1 換価の猶予の申請に際して提出された書類については、下記31(2)《申請書の記載事項及び添付書類》に定めるところによる。
  2. 2 換価の猶予の申請に係る国税につき、換価の猶予の要件及び換価の猶予をする金額について調査した結果、申請に係る税額の一部について換価の猶予を認めることができる場合においては、滞納者に対し、換価の猶予に該当しない部分の税額に相当する金額を、納付の手続に通常要すると認められる期間内に納付するよう指導する。 この場合において、当該期間内に納付しない場合は納税について誠実な意思を有しないものとして、換価の猶予を不許可とすること、また、その根拠条文、要件及びその不許可が要件に適合する理由を説明することとし、滞納者からその説明内容を記載した書面の交付を求められたときは、上記の事項を記載した書面を交付する(徴収法第151条の2第1項、徴基通第151条の2関係2、第151条関係2、行政手続法第35条第2項、第3項)。

(5) 納税の猶予との関係

通則法第46条第1項から第3項までの規定により現に納税の猶予をしている国税については、申請による換価の猶予をしない(徴基通第151条の2関係10)。

(6) 他の国税の滞納

「換価の猶予の申請に係る国税以外の国税の滞納」とは、換価の猶予をしようとする場合において、換価の猶予の申請に係る国税以外の国税であって、納期限(法第151条の2第1項に規定する納期限をいう。)までに納付されていないものをいう。ただし、次に掲げる国税を除く(徴収法第151条の2第2項、徴基通第151条の2関係9)。

  • イ 納税の猶予又は換価の猶予の申請中の国税(徴収法第151条の2第2項第1号)
  • ロ 現に納税の猶予又は換価の猶予を受けている国税(その猶予に係る国税以外の国税が滞納となったことにより、通則法第49条第1項第4号(徴収法第152条第3項又は第4項において準用する場合を含む。)の規定に基づき、その納税の猶予又は換価の猶予が取り消されることとなる場合の国税を除く。)(徴収法第151条の2第2項第2号)

(注) 個人の同年分の申告所得税と消費税、修正申告に係る本税と加算税など、近接して納期限が到来する国税についても滞納となることが見込まれるときは、その近接して納期限が到来する国税についても、合わせて換価の猶予の申請をすることを勧奨する。

(7) 換価の猶予の申請

滞納者が換価の猶予を受けようとする場合には、所要の事項を記載した換価の猶予申請書(様式307010-056-6)に所定の書類を添付し、猶予を受けようとする国税の納期限から6月以内に、これを税務署長に提出しなければならない(徴収法第151条の2第1項、第3項、徴収令第53条第1項、第2項)。

(注)

  1. 1 納期限は、法定納期限ではなく具体的な納期限をいう(徴基通第151条の2関係5、第2条関係13参照)。
  2. 2 換価の猶予申請書に記載すべき事項及び添付書類については、下記29から38まで《猶予の許可等に関する手続》に定めるところによる。

(8) 保全措置及び差押えの猶予

申請による換価の猶予をする場合における担保の提供及び徴取については、上記4(8)《担保の提供及び徴取》と同様であるが、「猶予に係る国税の額」の判定は、換価の猶予の申請時において行う。

21 申請による換価の猶予の対象となる国税及び猶予をする金額

申請による換価の猶予の対象となる国税については上記17(1)《職権による換価の猶予の対象となる国税》、猶予をする金額については同(2)《職権による換価の猶予をする金額》と同様である。

(注) 督促状が発付されていない国税について換価の猶予の申請があった場合の取扱いは、上記17(1)《職権による換価の猶予の対象となる国税》注1と同様である。

22 申請による換価の猶予をする期間等

(1) 猶予期間

申請による換価の猶予をする期間は、1年を限度として、下記(3)《合理的かつ妥当な金額による分割納付》に基づき、その猶予に係る国税を完納することができると認められる最短期間とする(徴基通第151条の2関係7)。

(2) 猶予期間の始期等

猶予期間の始期は、換価の猶予の申請書が提出された日とする。ただし、その日が申請に係る国税の法定納期限以前の日であるときは、法定納期限の日の翌日とする(徴基通第151条の2関係8)。

(注) 換価の猶予申請書に記載された猶予期間の終期がその申請書が提出された日よりも前の日であるときは、その換価の猶予を不許可とする。

(3) 合理的かつ妥当な金額による分割納付

合理的かつ妥当な金額による分割納付については、上記18(3)《合理的かつ妥当な金額による分割納付》と同様である。

(4) 1年以内に完納が見込まれない場合の取扱い

徴収法第151条の2第1項の要件を満たす場合において、納付能力調査の結果、換価の猶予の申請を許可しようとする国税の完納までに要する期間が1年を超えると認められるときの取扱いは、上記18(4)《1年以内に完納が見込まれない場合の取扱い》と同様である。

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