この章は、随意契約により売却することができる場合等を例示的に掲げたほか、その売却手続を定めたものである。
88 次に掲げる場合には、公売に代えて、差押財産等を随意契約により売却することができる(徴収法第109条第1項、徴基通第109条関係1から5まで)。
なお、(5)から(7)に掲げる事由により公売が成立しなかった場合においても、直ちに随意契約により売却することなく、原則として再公売を行うこととし、再公売に付してもなお売却できなかったときに限り随意契約の方法による売却の要否について検討すること。
(注) 最高価額が定められている財産を、その価額未満の価額で売却するときは、上記に該当しないことに留意する。
(注) 次のいずれかに該当する場合には、その私有道路等の差押解除をして差し支えないが、税務署長が差押解除を行う場合には、あらかじめ国税局徴収課と協議すること。
1 付近住民が宅地購入の際、私有道路等も含めて購入したことが契約書等により確認ができるもの。
2 土地登記簿上は滞納者名義であるが、実質上は地方公共団体等に帰属しているもの。
3 換価に付しても地方公共団体又は付近住民から買受人を求めることが困難なもの。
(注)
1 商品先物取引法施行規則第48条《相場、取引高等の報告》に規定する相場表に公表されている商品については、原則として、随意契約による売却の方法によらず、公売により売却する。
2 金融商品取引所とは、内閣総理大臣の免許を受けて金融商品市場を開設する金融商品会員制法人又は株式会社をいう。
3 商品取引所とは、会員商品取引所及び株式会社商品取引所をいう。
4 振替株式等とは、社債、株式等の振替に関する法律(以下「振替法」という。)第2条第12号から第21号に規定する株式、新株予約権等のうち、振替業を営む振替機関がその業務規定の定めにより取り扱うこととしているものをいう。
5 振替機関とは、株式等振替制度において、振替業を営む者として内閣総理大臣及び法務大臣の指定を受けた株式会社をいい(振替法第2条第2項)、口座管理機関とは、株式等振替制度に基づいて振替株式等の振替を行うための口座を開設する証券会社等をいう(同条第4項)。
89 税務署長が、公売に付することが公益上適当でないと認めて随意契約により売却しようとするときは、あらかじめ国税局長に上申し、その指示を受けること。この場合における上申については、32(公売実施の上申)の定めるところによる。
90 随意契約により売却する場合の手続については、91及び92に該当するものを除き、公売する場合の手続に準じ、次により処理する(徴基通第109条関係6から14まで)。
(注)
1 上記の売却の「随意契約による売却通知書」は、売却をする日の前日を第1日として7日目に当たる日の前日以前に発しなければならないことに留意する。
なお、上記の「7日目に当たる日の前日」が休日等に当たるときは、これらの日の前日にすること。
2 売却の通知を要しない場合における「10日以内」の期間の計算については、通則法第10条第1項《期間の計算》の規定の適用があることに留意する。
3 随意契約により売却する場合においては、その旨の公告をする必要がないことに留意する。
(注) 上記の場合の「随意契約による買受申込者の決定通知書」は「広告によって行う随意契約による買受申込者の決定通知書」を、「随意契約による買受申込者の決定等の公告」は「広告によって行う随意契約による買受申込者の決定等の公告」を適宜補正して使用すること。
(注) 上記の場合の「随意契約の買受申込者の決定取消通知書」は、「不動産等の最高価申込者の決定取消通知書」を適宜補正して使用すること。
(注) 見積価額を引き下げる必要があると認められる場合であっても、随意契約による売却に先立って、まずはその見積価額を低く変更して再公売を行う必要があることに留意する。
91 広告によって行う随意契約(以下「広告随契」という。)による売却とは、徴収法第109条第1項第3号に該当する場合の随意契約による売却の一方法として、直前の公売における見積価額以上の価額で一定の期間内に差押財産等を随意契約により売却する旨を広告し、最初に買受申込みをした者に売却する方法である(徴基通第109条関係1の(注))。
広告随契による売却をする場合の手続については、90(随意契約による売却手続)に準じ、次により処理する。
(注) 広告随契による売却は、差押財産等を再公売に付しても売却できない場合に、それを補完する目的で行うものであることに留意する。
(注) 買受申込みを行おうとする者に対しては、申込みに当たっての留意すべき事項(隣接地所有者との境界線の協議等)を十分に説明する。
(注) 上記の場合の「広告によって行う随意契約の買受申込者の決定取消通知書」は、「不動産等の最高価申込者の決定取消通知書」を適宜補正して使用すること。
92 随意契約により売却する財産が振替株式等である場合には、次により行う。
(注) 委託売却実施期間(振替機関等が委託株式等を金融商品取引所の開設する金融商品市場において売却に付す期間をいう。以下同じ。)は、原則として月曜日から金曜日までの5取引日とする。
(注) 売却価額については、成行注文(売却価額を指定せず、その時の相場で売却する注文をいう。)による。ただし、必要があると認めるときは、指値注文(売却価額を指定する注文をいう。)によって差し支えない。この場合の売却価額は、振替機関等の意見を踏まえた上で決定して差し支えない。
(注)
1 振替機関等から支払を受ける売却代金の額は、金融商品市場における委託株式等の売却価額から、委託手数料(消費税及び地方消費税を含む。)を差し引いた額とする。
2 売却代金は、歳入歳出外現金出納官吏の預金口座への振込により支払を受ける。
3 売却代金は、金融商品市場において委託株式等の売買が成立した日から起算して3取引日以内に支払を受ける(徴収法第115条第2項参照)。
(注) 買受人の口座の保有欄に買い受けた委託株式等の増加の記録を受けた時に、買受人は委託株式等の権利を取得することに留意する(振替法第140条、徴基通第116条関係2参照)。