この章は、入札又は競り売りの方法により公売する場合における一般的手続として、公売の実施決議、公売公告、見積価額の公告、公売通知、公売保証金の徴取、買受代金の領収、売却決定、再公売等の手続等について定めたものである。
 なお、特殊財産の公売手続については、この章に定めているもののほか、第8章《特殊財産についての換価》において定めていることに留意する。

第1節 公売実施内容の決定

 この節は、公売方法の選定、公売の場所及び時期の計画等について定めたほか、「換価事務進行状況表」による公売手続の記録方法及び公売実施について、公売公告までの具体的な手続等を定めたものである。

(公売の実施計画)

23 第2章《換価の事前準備等》に定める換価の事前準備を経て公売を実施すべきであると判定した滞納者に係る差押財産等については、その公売の方法、公売の日時及び場所その他の事項をあらかじめ具体的に計画しておかなければならない。
 なお、滞納者又はその財産を占有する第三者に保管させている差押財産等については、原則として、公売に先立ってその財産を搬出する(20、21、徴収法第91条参照)。

(公売の実施方法の選定)

24 公売の実施に当たっては、公売財産(公売に付する財産をいう。以下同じ。)の種類、公売に付す時期等の具体的実情によって、おおむね次により公売の方法を選定する。
 なお、差押財産等の換価は、公売に付すことが原則であり(徴収法第94条第1項)、随意契約による売却(徴収法第109条)、国による買入れ(徴収法第110条)については、一定の場合に限って認められるものであることに留意する(徴基通第94条関係1)。

(注) 国税局又は近隣税務署との広域公売やインターネットを利用する方法による公売は、一時に多数の差押財産等を公売に付すことにより、多数の買受希望者の参加が期待される。また、農地、別荘、自動車等の特定の種類の財産を一回に集中して公売に付す方法も買受希望者の関心を惹くことが期待される。したがって、公売の実施方法の選定に当たっては、これらの活用についても検討すること。

  • (1) 公売の方法
     公売の方法には、入札又は競り売りの方法があり(徴収法第94条第2項)、公売財産の状況に応じて高価有利な売却ができると認められる方法を選定するものとする。
    • イ 入札
       入札とは、入札をしようとする者(以下「入札者」という。)が他の入札者の入札価額を知り得ない状況の下、その財産の入札者に、入札価額その他必要な事項の記載(電子情報処理組織(情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律第6条第1項に規定する電子情報処理組織をいう。以下同じ。)を使用する方法により入札がされる場合は、当該事項に係る入力)をした入札書(電子情報処理組織を使用する方法により入札がされる場合は、入札書に相当する当該入札の情報をいう。以下同じ。)の提出(電子情報処理組織を使用する方法により入札がされる場合は、入札書の送信。以下同じ。)をさせ、見積価額以上でかつ最高の価額による入札者を最高価申込者とし、その者に対して売却決定を行い、その者を買受人として定める方法である(徴基通第94条関係2)。
       入札には、以下に掲げる期日入札と期間入札がある。
      • (イ) 期日入札
         1日のうちの入札期間(入札者が入札書の提出を行うことができる始期から終期までの期間をいう。以下同じ。)内において入札書の提出を行わせた後、同日中に開札を行う入札をいう(徴基通第94条関係3の(1))。
      • (ロ) 期間入札
         2日以上の連続した入札期間内において入札書の提出を行わせた後、開札期日に開札を行う入札をいう(徴基通第94条関係3の(2))。
    • ロ 競り売り
       競り売りとは、競り売りに係る買受申込みをしようとする者(以下「買受申込者」という。)が他の買受申込者の買受申込価額を知り得る状況の下、その財産の買受申込者に、口頭等で順次高価な買受申込みをさせ、見積価額以上でかつ最高の価額による買受申込者を最高価申込者とし、その者に対して売却決定を行い、その者を買受人として定める方法である(徴基通第94条関係4)。
       競り売りには、以下に掲げる期日競り売りと期間競り売りがある。
      • (イ) 期日競り売り
         買受申込みをすることができる始期を定めて、1日のうちに順次買受申込みを行わせる競り売りをいう(徴基通第94条関係5の(1))。
      • (ロ) 期間競り売り
         2日以上の連続した競り売り期間(買受申込者が買受申込みをすることができる始期から終期までの期間をいう。以下同じ。)内において順次買受申込みを行わせる競り売りをいう(徴基通第94条関係5の(2))。
         なお、期間競り売りの方法は、インターネットを利用する公売を実施する場合に限られることに留意する。
  • (2) 個別換価又は一括換価の選定
     差押財産等は、原則として個々に換価するが、以下に掲げる場合には、複数の財産を一括して換価(以下「一括換価」という。)し、又は一括換価できることに留意すること。
     なお、一括換価は、随意契約による売却(徴収法第109条)の場合にもすることができる。
  • イ 次の財産については、それぞれに定めるところに従い、一括換価すること(徴基通第89条関係3)。
  • (イ) 工場抵当法第2条《財団を組成しない工場の土地、建物の抵当権》の規定の適用を受ける財産については、土地又は建物とともに換価すること。
     ただし、当該抵当権の目的となっている機械、器具等のほとんどが脱落し、工場としての機能を喪失していると認められる場合において、土地又は建物と機械、器具との結合によって生ずる企業施設としての特殊価値(有機的価値)が存在しないときは、これらを個々の物件として各別に換価しても抵当権者の利益を害することにはならないから、個別に換価することができることに留意する(徴基通第89条関係3の(1))。

    (注) 抵当権者の同意を得て付加物を分離し又は備付物の備付けを廃止したときは、抵当権はその物について消滅し(工場抵当法第6条)、その物についての差押えの効力も及ばない(工場抵当法第7条)が、抵当権者の同意を得ないで分離した付加物又は備付けを廃止した備付物は、第三取得者に引き渡された後においても民法第192条から第194条まで《即時取得等》に定める即時取得に関する規定の適用がない限り抵当権の効力は失われず(工場抵当法第5条第2項)、差押えの効力も及ぶことから、これらを一括換価することができるものであることに留意する(徴基通第68条関係2の(4)の(注))。

  • (ロ) 工場財団その他の財団の組成物件については、工場財団その他の財団として換価すること。ただし、財団として売却することが困難である場合には、工場抵当法第46条《個々のものとしての売却》の規定の趣旨に従い、抵当権者等の同意を得て、個々の物件として換価することができること(徴基通第89条関係3の(2))。

    (注) 上記ただし書の取扱いは、工場財団を換価する場合において、大規模な工場の全部を同一人に売却することが困難である場合等特に支障がある場合に限って行うものとする。

  • (ハ) 担保権の目的となっている財産の従物については、主物とともに換価すること。ただし、担保権者の同意がある場合には、主物と別個に換価することができること(徴基通第89条関係3の(3))。
  • (ニ) 区分所有建物及びその敷地について、専有部分とその専有部分に係る敷地利用権(当該専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利(建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)第2条第6項))が一体化している場合(規約により分離処分が可能とされている場合を除く。)には、分離処分ができない(区分所有法第22条第1項)ので、一括換価すること(徴基通第89条関係3の(4))。
  • ロ イに掲げた財産以外の複数の財産(滞納者を異にするものを含む。)について、次のいずれにも該当するときは、当該財産を一括換価することができる(徴収法第89条第3項)。
     ただし、下記(ホ)の要件に該当しなくても、当該複数の財産が主物と従物の関係にあり、個々に換価して買受人が別々になると、一方の財産の搬出等に多額の費用を要するとき(例えば、主物である不動産と、それに設置される従物である動産)には、一括換価することとして差し支えない(徴基通第89条関係4)。
  • (イ) 財産が不動産である場合は、それぞれの財産が客観的かつ経済的にみて、有機的に結合された一体をなすと認められること。財産が不動産以外の場合は、それぞれの財産が同種又は相互に関連性があること。
  • (ロ) 一括換価することにより高価有利に売却できること。
  • (ハ) 滞納者を異にする場合は、それぞれの滞納者の国税について配当があること。
  • (ニ) 一括換価をすることを不当とする事由(例えば、権利関係が複雑で担保権者等に対する配当に支障を来すおそれがあること。)がないこと。
  • (ホ) 売却決定が同一の日であること。
  • (注)
  • 1 共有に係る財産を一括換価する場合は、財産の共有者の全員が滞納している場合に限ることに留意する。
  • 2 上記の「滞納者」には、連帯納付の義務又は責任を負っている者、譲渡担保権者、第二次納税義務者、保証人及び物上保証人も含まれる(徴収法第2条第6号、第9号、徴基通第2条関係10、11、第89条関係4-2本文参照)。
     なお、譲渡担保権者、第二次納税義務者及び保証人の財産については、徴収法第24条3項若しくは第32条第4項又は通則法第52条第5項の規定により換価が制限されているが、主たる納税者の財産を換価に付す前であっても、主たる納税者の財産が換価することができる唯一の財産である場合は、当該財産と一括換価することとして差し支えない(徴基通第89条関係4-2なお書)。
  • ハ 買戻権、再売買の予約の請求権保全の仮登記その他これに類する登記がされている譲渡担保財産でその買戻権等の権利者が滞納者であり、その買戻権の登記等に係る権利を差し押さえた場合には、それらの権利及び譲渡担保財産を一括換価することができる(徴収法第25条第1項)。
  • (3) 差し押さえた不動産の換価に当たっての分割又は区分
     税務署長は、差押え又は参加差押えをした不動産を分割又は区分して換価しても滞納税額を徴収できると認められる場合には、あらかじめ滞納者に対してその旨を説明し、滞納者から分割又は区分を行いたい旨の申出があったときは、滞納税額の徴収に必要な部分について分割又は区分させた上で、換価を実施する。この場合においては、残余の部分について速やかに差押えの解除(特定参加差押不動産については、換価執行決定の取消し)をすることに留意する(徴収法第79条第2項第1号、第89条の3第2項第1号)。
     なお、上記の説明をしたにもかかわらず、滞納者による分割又は区分の申出が行われなかった場合には、当該不動産を分割又は区分しないで換価して差し支えない。この場合においては、その事績を「滞納処分票」に明示しておくものとする。

    (注) 特定参加差押不動産の分割又は区分については、換価同意行政機関等と協議の上、対応することに留意する。

(公売の場所の選定)

25 公売は、原則として、公売財産の所在する市町村(特別区を含む。以下同じ。)において行う(徴収法第97条)こととするが、税務署長が必要と認めるときは、他の場所で行うことができる(徴収法第97条ただし書)。また、多数の買受希望者の参加を得るため国税局又は近隣税務署等との合同公売によることが効果的であると認められるときは、合同公売を実施することに留意する。
 なお、具体的には、以下に掲げる場所において行うこととする。

  • (1) 期日入札又は期日競り売りの方法による場合
     次に掲げる場所のうち、公売財産の種類、数量等と買受希望者の参加予想とを勘案し、最も効率的に公売が実施できると認められる場所
    • イ 税務署等の庁舎内
    • ロ 借上倉庫又は合同公売場
    • ハ 市町村役場の庁舎内
    • ニ インターネット上のサイト
    • ホ イからニまでに掲げる場所のほか、税務署長が期日入札又は期日競り売りの実施に当たって適当と認める場所
  • (2) 期間入札の方法による場合
    • イ 公売を実施する税務署等の庁舎内
    • ロ インターネット上のサイト
  • (3) 期間競り売りの方法による場合
     インターネット上のサイト

(公売実施日程の計画)

26 公売の実施計画の策定に当たっては、以下に留意すること。
 なお、入札期間及び競り売り期間の始期及び終期の属する日、開札期日、最高価申込者の決定及び売却決定の日、買受代金の納付の期限並びに換価代金の交付期日等が休日等(日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他一般の休日及び国税通則法施行令第2条第2項に規定する日をいう(通則法第10条第2項参照)。以下同じ。)に当たらないように留意する。また、公売保証金の提供又は必要書類の提出(電子情報処理組織を使用する方法による場合は、当該書類に相当する情報の送信。以下同じ。)について期限を定めて行う必要があるときはその提供又は提出の期限、競り売りへの参加申込みの受付を行う必要があるときはその受付の期限が休日等に当たらないように留意する(徴基通第95条関係17の(10)、(14)参照)。
 (注) 必要書類の提出の期限は、電子情報処理組織を使用する方法による場合においては、当該電子情報処理組織を使用することができない日時に当たらないよう留意する。

  • (1) 公売公告
    • イ 公売公告期間の原則
       差押財産等を公売に付するときは、原則として、公売の日(期間入札又は期間競り売りの場合には、入札期間又は競り売り期間の始期の属する日をいう。以下同じ。)の前日を第1日として逆算して10日目に当たる日の前日以前に公売公告をしなければならないこと。例えば、4月12日を公売の日とする場合には、4月1日以前の日を公売公告の日として計画する。この場合において、可能な限り多くの人が公売に参加できるようにするため、十分な公売公告期間を確保すること。
       なお、公売の日の前日を第1日として逆算して10日目に当たる日の前日が休日等に当たるときは、これらの日の前日以前に公売公告をする必要があること(徴収法第95条第1項、通則法第10条第1項、徴基通第95条関係2参照)。
    • ロ 公売公告期間を短縮できる場合
       次に掲げる場合においては、イに掲げる公売公告期間を短縮することができること。ただし、徴収法第99条第1項《見積価額の公告等》の規定により見積価額の公告をしなければならないときは、その公売公告期間は、見積価額の公告期間より短い期間とすることはできない(徴収法第95条第1項ただし書、徴基通第95条関係3から5)。
      • (イ) 生鮮食料品、腐敗変質するおそれがある化学薬品等で特殊の保管設備を要し、このため相当高額の保存費を要する場合、相当量のき損品、半製品等でその価額が低廉なものであり、かつ、これらのものを搬出して保管倉庫に保管するとすれば相当の保存費を要する場合等のように、公売財産の価額に比して多額の保存費を要すると認められるとき。
      • (ロ) 鮮魚、鳥獣肉、生野菜等腐敗又は変質するおそれのある生鮮食料品を差し押さえた場合で、速やかに公売しないとその価額が著しく低下すると認められるとき。
      • (ハ) クリスマス用品等の季節用品等をその時期の直前において差し押さえた場合で、その時期前又は時期中に公売しないとその価額が著しく低下すると認められるとき。
      • (ニ) 再公売をする場合において、必要があると認められるとき(徴収法第107条第2項)。ただし、(イ)から(ハ)までに掲げる場合のほかは、特に公売の実務上支障のない限り、イに掲げるところにより公売の日を決定するものとする。
  • (2) 見積価額公告
     差押財産等を公売に付するときは、原則として、次に掲げる日までに見積価額を公告しなければならないこと(徴収法第99条第1項、第2項参照)。
    • イ 不動産、船舶及び航空機については、公売の日から3日前の日
    • ロ 競り売り又は複数落札入札により公売する財産(イに掲げる財産を除く。)については、公売の日の前日((1)のロの(イ)から(ハ)に該当する場合は、公売の日)
    • ハ その他の財産で税務署長が公告を必要と認めるものについては、公売の日の前日
  • (3) 入札期間又は競り売り期間
     期間入札又は期間競り売りの方法による場合の入札期間又は競り売り期間については、2日以上の連続した期間で、税務署長が相当と認める期間を定めること(71、徴基通第94条関係3の(2)、5の2参照)。
  • (4) 開札の日時
     期間入札の場合の開札の日時は、入札期間の終期の属する日から起算して2日を経過した日から7日を経過した日までの間の税務署長が相当と認める日時を定めること(77参照)。
  • (5) 最高価申込者の決定の日時
     期間入札又は期間競り売りの方法による場合の最高価申込者の決定の日時は、入札期間又は競り売り期間の終期の属する日から、税務署長が相当と認める期間を経過した後の日時を定めること。
  • (6) 売却決定の日時
     売却決定の日時については、次に掲げる公売財産の種類に応じて定めること(54、徴収法第111条、第113条第1項、国税徴収法施行規則(以下「徴収規則」という。)第1条の7参照)。
    • イ 動産、有価証券又は電話加入権を公売に付するときは、最高価申込者の決定の日
    • ロ 不動産を公売に付するときは、最高価申込者の決定の日から起算して7日を経過した日から21日を経過した日までの期間内で税務署長が指定する日 (注) 「税務署長が指定する日」は、徴収法第104条《最高価申込者の決定》及び第104条の2《次順位買受申込者の決定》の規定により最高価申込者及び次順位買受申込者(以下「最高価申込者等」という。)(その者が法人である場合は、その役員)又は自己の計算において最高価申込者等に入札等(公売財産の入札又は競り売りに係る買受けの申込みをいう。以下同じ。)をさせた者(その者が法人である場合は、その役員)が、暴力団員(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号《定義》に規定する暴力団員をいう。以下同じ。徴基通第99条の2関係1参照。)又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(以下「暴力団員等」という。)に該当するか否かについての調査嘱託の回答に要する日数に係る都道府県警察本部(以下「警察当局」という。)との協議を踏まえた上で決定するものとする。
    • ハ 船舶、航空機、自動車、建設機械、小型船舶、債権又は電話加入権以外の無体財産権等を公売に付するときは、最高価申込者の決定の日から起算して7日を経過した日 (注) 上記の「起算して7日を経過した日」又は「21日を経過した日」が休日等に当たっても延期されないことに留意する(徴基通第113条関係1)。
  • (7) 買受代金の納付の期限
     買受代金の納付の期限は、買受人が最高価申込者であるときは売却決定の日、次順位買受申込者であるときは売却決定の日から7日を経過した日とすること(54、徴収法第115条第1項参照)。ただし、公売財産の価額が相当高額で、かつ、買受代金の納付の期限を延長することにより高価有利に公売することができると見込まれる場合等、税務署長において特に必要があると認めるときは、30日以内の範囲でその期限を延長することができる(55、徴収法第115条第2項参照)。

    (注) 納付の期限については、その日の何時何分までと時刻を指定して差し支えない(徴基通第95条関係12)

  • (8) 配当計算書の発送期日
     税務署長は、債権現在額申立書を提出した者、税務署長が債権額を確認した者及び滞納者に対して、買受代金の納付の日から3日以内に配当計算書の謄本を発送しなければならないこと(130、徴収法第131条参照)。
  • (9) 換価代金の交付期日
     換価代金の交付期日は、配当計算書の謄本を発送した日から起算して7日を経過した日としなければならないこと。ただし、差押えをした国税(特定参加差押不動産の売却代金を配当する場合にあっては、特定参加差押えに係る国税)、交付要求に係る国税、地方税及び公課(特定参加差押不動産の売却代金を配当する場合にあっては、差押えに係る国税、地方税及び公課を含む。)を有する行政機関等並びに滞納者以外に配当手続に参加している者がいない場合には、その期間を短縮することができる(131、徴収法第132条第2項参照)。
  • (10) 不服申立て期間
     督促に関する不服申立てについては、その差押えに係る通知を受けた日(その通知がないときは、その差押えがあったことを知った日)から3月を経過した日まで行うことができること(徴収法第171条第1項第1号参照)。

(公売財産についての下見)

27 買受希望者に公売財産に関する情報を提供するため、公売公告後、必要に応じ、一定の日時を定めて買受希望者に公売財産の下見をさせるように措置すること。この場合において、公売する動産、自動車、建設機械若しくは小型船舶を滞納者若しくは第三者に保管させたままで公売するとき、又は公売する不動産(以下「公売不動産」という。)について現に使用収益をしている者等がいるときは、事前にそれらの者に対して連絡し、その事業等に著しい支障を与えないよう配慮する。
 なお、公売財産が酒類、ブレンドガソリン等であるため、買受希望者による品質判定(例えば、利き酒)のため、その一部を採取することが必要不可欠と認められる場合は、滞納者の同意を得た上で採取し、又は採取させること。

(その他の事項の検討)

28 公売の実施に当たっては、24(公売の実施方法の選定)から27(公売財産についての下見)までによるほか、次に掲げる事項についてもあらかじめ検討しておかなければならない。

  • (1) 公売公告に記載すべき事項の内容
  • (2) 公売公告の方法及び場所
  • (3) 見積価額公告の要否
  • (4) 見積価額公告の方法及び場所
  • (5) 公売通知及び「債権現在額申立書」の提出の催告をすべき対象者の範囲
  • (6) 公売保証金の要否並びに金額及び提供方法
  • (7) 売却決定の日時及び場所
  • (8) 買受代金の納付の期限
  • (9) 換価代金の交付期日
  • (10) 入札による場合における入札書の提出の方法
  • (11) 競り売りによる場合における買受申込みの方法
  • (12) 公売広報の方法
  • (13) その他公売条件としてあらかじめ決定しておかなければならない事項

(公売の実施決議)

29 24(公売の実施方法の選定)から28(その他の事項の検討)までにより公売の実施を計画したときは、次により公売実施の決議をする。

  • (1) 公売の実施決議
     公売の実施計画は、換価事務担当者が「公売実施等決議書」(様式308020-028)に記載し、必要な決裁を受け、「換価事績整理簿」(様式204030-019)とともに保存すること。
  • (2) 決議書に添付する書類
     (1)の「公売実施等決議書」には、次に掲げる書類を添付する。ただし、ニに掲げる書類についてはその作成時に添付することとして差し支えない。
    • イ 「公売公告」又は「公売公告兼見積価額公告」
    • ロ 「滞納処分票」及びその関係書類
    • ハ 「換価処分の適否検討表」
    • ニ 「見積価額評定調書」及びその関係書類
    • ホ 「換価事務進行状況表」
    • ヘ イからホまでに掲げる書類のほか、必要と認める公売事務関係書類

(換価事務進行状況表の作成)

30 公売の実施決議を了したときは、次に掲げる事項に留意の上、売却区分ごとに「換価事務進行状況表」を作成し、その後の事績を記録する。

  • (1) 「換価事務進行状況表」に記載した事項については、特に必要な事項を除き、「滞納処分票」に重複して記載する必要がないこと。
  • (2) 公売を中止したときは、「換価事務進行状況表」にその旨を記載するほか、中止した経緯を「滞納処分票」に詳細に記載し、必要な決裁を了した後、その公売に係る関係書類とともに一括して「滞納処分票」に編てつしておくこと。

(換価事績整理簿の作成)

31 公売公告をした滞納者については、「換価事績整理簿」によりその後の事績を記録する。

(公売実施の上申)

32 次の(1)に該当する場合には、税務署長は、その公売の実施前に次の(2)に掲げる事項等につき国税局長に上申する。この場合において、上申の範囲及び上申すべき事項については、各国税局の実情により適宜変更して差し支えない。また、必要があるときは、次の(3)により国税局職員による調査を実施する。

  • (1) 上申の範囲
    • イ 酒類製造設備等を一括換価する場合、工場財団の組成物件を公売する場合等でその見積価額の評価が困難な場合
    • ロ 相当高額の財産又は権利の錯綜している財産を公売する場合等でその換価の手続、方法等について困難な事由がある場合
    • ハ その他イ及びロに類する場合で国税局長が必要と認めた場合
  • (2) 上申すべき事項
    • イ 滞納者の住所又は居所及び氏名又は名称
    • ロ 国税の年度、税目、納期限及び滞納税額
    • ハ 公売の実施予定時期
    • ニ 公売の方法
    • ホ 公売財産の名称、数量、性質、所在及び見積価額
    • ヘ 質権、抵当権等の権利関係
    • ト 交付要求、滞調法による二重差押えの有無
    • チ 配当の順位及び見込金額
    • リ 買受希望者の有無
    • ヌ 滞納処分の経過
    • ル イからヌまでに掲げる事項のほか、必要と認める事項
  • (3) 国税局職員の調査
     国税局の当該職員は、必要があるときは、上申事案につき税務署の換価事務担当者と同行し、又はその税務署の兼務発令を得て自ら調査を行う等その税務署の公売事務を積極的に指導するように配意する。

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