第2節 公売予告通知書等の送付

(公売予告通知書等の送付の目的)

5 「公売予告通知書」(様式304000-006)及び「換価執行決定予告通知書」(様式306020-048)(以下「公売予告通知書等」という。)は、次に掲げる目的で、換価の実施に先立って、滞納者に送付する。

  (注) 換価執行決定(徴収法第89条の2第1項に規定する換価執行決定をいう。以下同じ。)による換価を実施しようとする場合は、滞納処分による差押えをした行政機関等(徴収法第2条第13号に規定する行政機関等をいう。以下同じ。)との事前協議後に、滞納者に「換価執行決定予告通知書」を送付し、換価執行決定を予告する(168)。
 なお、換価執行決定を行った場合は、滞納者に「換価執行決定通知書」(様式306020-056)を送付し、換価を予告する(徴収法第89条の2第4項、172)。

  • (1) 可能な限り自発的な納付を促すこと。
  • (2) 早急に納付することが困難な滞納者に対しては出署を求め、納付困難の事情を聴取してその状況に応じ、換価に付すべき滞納者と換価以外の方法により滞納整理を図るべき滞納者とに判別し、換価に付すべき対象事案を適切に選定すること。
  • (3) 換価以外に適切な滞納整理の方法がない滞納者に対しては、事前に換価(換価執行決定による換価を実施しようとする場合は、換価執行決定)を予告し、その実施に伴って生じるおそれがある紛争を未然に防止すること。

(公売予告通知書等を送付すべき者の範囲)

6 「公売予告通知書等」は、5に掲げる目的で、原則として、換価を実施しようとする全ての滞納者に送付する。
 ただし、「公売予告通知書等」を送付してもその効果が期待できないことが明らかな者に対しては、送付しないこととして差し支えない。
 なお、再公売(86、徴収法第107条)をする者、納税の猶予(国税通則法(以下「通則法」という。)第46条第1項から第3項まで)又は換価の猶予(徴収法第151条第1項又は第151条の2第1項)等を取り消した者等に対しても、必要に応じて「公売予告通知書等」を送付する。

(公売予告通知書等の送付の時期等)

7 「公売予告通知書等」の送付の時期等については、次による。

  • (1) 「公売予告通知書等」の送付及びその後の処理は、原則として当該事案の処分担当者が行うこと。
     なお、差押財産等を換価するために徴収法第182条第2項若しくは第3項の規定による滞納処分の引継ぎ又は通則法第43条第3項若しくは第4項の規定による徴収の引継ぎ(以下「滞納処分の引継ぎ等」という。)を行う場合の滞納者宛の「公売予告通知書等」は、滞納処分の引継ぎ等を行う前に、滞納処分の引継ぎ等を行う税務署等(税務署又は国税局(沖縄国税事務所を含む。)。以下同じ。)において送付する。この場合の同通知書等には、滞納処分の引継ぎ等を受ける税務署等において公売を行うため滞納処分の引継ぎ等を行う旨を記載する。

    (注) 上記の滞納処分の引継ぎ等は、原則として、「公売予告通知書等」に記載した指定日後に行うことに留意する。

  • (2) 「公売予告通知書等」は、これを受けて出署することが見込まれる滞納者との相談や公売公告、公売通知等のその後の手続の日程を考慮して適切な時期に送付すること。ただし、特に、変質、腐敗、滅失等のおそれがある差押財産等を有する滞納者については、「公売予告通知書」を差押え後直ちに送付し、又は「公売予告通知書等」の送付を省略して差し支えない(徴収法第95条第1項ただし書、第32条第4項、通則法第105条第1項ただし書参照)。

    (注) 「換価執行決定予告通知書」の送付を省略した場合であっても、差押えをした行政機関等(以下「差押行政機関等」という。)に対する換価の催告(徴収法第87条第3項、170)及び換価の執行に係る同意の請求(徴収法第89条の2第2項、169)は省略することができないことに留意する。

  • (3) 「公売予告通知書」は、その目的から、これを濫発することはかえってその効果を減殺するおそれがあるから、原則として1回の送付にとどめること。ただし、差押え時から換価時までに相当の期間がある場合等(例えば、冬季に差し押さえた夏物の衣料の換価を夏季まで延期する等差押財産の高価有利な売却のために延期することが必要な場合等)「公売予告通知書」を複数回送付することがかえって効果的と認められるときは、必ずしも1回の送付にとどめる必要はない。
  • (4) 「公売予告通知書等」は、一件別徴収カード等により滞納税額を確認した後に送付すること。

(出署者への対応)

8 「公売予告通知書等」を受けて出署した滞納者(署内で納付したことにより完結した者を除く。)については、次により対応する。
 なお、「公売予告通知書等」を送付しても出署しない滞納者については、第5節《差押財産等の実地調査等》に掲げる個別検討の段階において、滞納者宅等に臨場して調査するものとする。

  • (1) 滞納者の現況(例えば、事業状況、生計の現況、納付計画等)を十分聴取して極力納付を促すこととし、早急に納付することが困難な者については、その実情により、換価を実施すべき者とそれ以外の方法により滞納整理することが適切と見込まれる者とに判別し、それぞれの区分に従ってその後の滞納整理を行うこと。
  • (2) 「公売予告通知書等」を、差押え又は参加差押えをした時から相当長期間経過した後において送付した場合には、差押財産又は参加差押財産の現況が差押え又は参加差押えをした時に比して相当の変化を生じていることも予想されるので、差押財産又は参加差押財産の数量、保管の状況、換価価値の変化等を特に具体的に聴取すること。
  • (3) (2)の場合において、差押財産又は参加差押財産の数量不足、保管の不良等による換価価値の減少が認められるときは、早急な換価の実施、追加差押えの要否等について検討すること。

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