差押財産等(差押財産又は特定参加差押不動産(国税徴収法(以下「徴収法」という。)第89条の2第4項に規定する特定参加差押不動産をいう。)をいう。以下同じ。)の換価は、税務署長(国税局長及び沖縄国税事務所長を含む。以下同じ。)が、差押え又は特定参加差押え(徴収法第89条の3第1項第1号に規定する特定参加差押えをいう。以下同じ。)をした滞納者の財産を売却し、その売却代金をもって滞納国税を早期かつ確実に徴収することを最終の目的として実施するものであり、国税債権の確保に向け、法令の規定に基づいて着実に進めていく一連の滞納処分の締めくくりとしての性格を有している。
 その一方で、滞納者にとっては、自己の意思にかかわらず強制的に財産を売却されることになり、また、その財産の上に抵当権、賃借権などを有する権利者にとっては、それらの権利が換価によって消滅することとなるなど、差押財産等の換価は、これらの者の権利・利益に法律上及び事実上の重大な影響を及ぼす効果を有している。
 したがって、このような性格及び効果を有する換価の重要性に鑑み、以下に掲げる基本的な考え方を踏まえ、その事務を適切に実施しなければならない。

(対象事案の適切な選定)

1 差押財産等の換価は、一連の滞納処分の締めくくりとして実施するものであるが、滞納者などの権利・利益に重大な影響を及ぼすことから、他に適切な滞納整理の方法がある場合にはその方法によるべきである。したがって、換価に当たっては、画一的に実施するのではなく、滞納者の個々の実情を踏まえた上で、対象事案を適切に選定する必要がある。

(手続の適正性の確保)

2 差押財産等の換価は、強制的に行う処分であり、滞納者などの権利・利益に重大な影響を及ぼすことから、これを円滑に実施するためには、一連の手続において適正性を確保しなければならない。したがって、換価に当たっては、法令の規定に基づいて適正な手続により実施する必要がある。

(高価有利な売却)

3 差押財産等の換価は、その売却代金をもって滞納国税を徴収するために行うものであり、滞納者の意思にかかわらず売却する以上は、可能な限り高価有利に売却するよう努めなければならない。したがって、換価に当たっては、公売広報の充実及び買受希望者の利便性の向上を図ることにより、可能な限り多くの人が公売に参加できる環境を整備し、公売市場の拡充に努める必要がある。

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