第1節 一般動産の評価

一般動産とは、本章第2節《商品等の評価》及び第3節《美術品等の評価》の定めにより評価するもの以外の動産で、機械、運搬具、じゅう器その他これらに準ずる動産及び家庭用動産その他これらに準ずる動産をいい、これら一般動産の評価は、次により行う。

1 評価単位

一般動産の評価は、原則として1個をもって評価の単位とする。ただし、同種のもの又は相互に関連性がある複数の財産を一括換価する場合の評価単位は、これらを一体として評価の単位とする。

2 評価方法

一般動産の評価は、原則として当該動産の適正な市場価格(いわゆる相場)がある場合には、それを対象取引事例価格とし、適正な市場価格がない場合には、見積価額の決定時点又はその最近時の同場所における同種同等の財産の取引事例を収集して取引事例比較法により評価する。ただし、これにより評価を行うことが困難な場合には、原価法により評価することとし、この場合の減価償却は、原則として定率法による。
 なお、見積価額が比較的低額と認められる財産については、精通者意見を参考にするなど、合理的かつ簡易な方法で評価して差し支えない。

3 評価に当たっての留意事項

(1) 取得時期が不明である場合

取得時期が不明である場合には、納税者の申立てによる調査のほか、次により調査する。

  • イ 銘柄(ネームプレート)に製造年月日等の記載がある場合は、その日付等による時期
  • ロ 型式又は構造等により推定できる場合は、その時期
  • ハ 使用度、消耗の程度等により推定できる場合は、その時期
  • ニ 工場、事業所等における他の類似動産の取得時期から推定できる場合は、その時期
  • ホ 工場、事業所等の事業開始時期等により推定できる場合は、その時期

(2) 中古品を取得した場合における減価償却の取扱い

中古品を取得した場合における経過年数及び実際耐用年数は、原則として新品として作成された時期を基準として計算する。なお、新品として作成された時期が不明又は判定困難である場合には、中古取得後における実際の使用可能年数を見込んでこれを実際耐用年数とし、中古取得時期から公売時までの期間を経過年数として差し支えない。この場合には、中古取得価格(必要に応じて時点修正を行った価格)から減価償却額を控除することに留意する。

(3) 陳腐化の場合の参酌

原価法により評価する場合において、陳腐化(当該動産の構造、様式、性能等が旧式化し、現在広く使用されている同種同等のものに比してその効用度が著しく低下していることをいう。)している動産については、その現状に応じて相当と認める価格を減額する。なお、公売財産が通常の経過年数に伴う減価償却の程度を超えて破損減耗している場合の調整は、第4章第3節3《破損減耗等の調整》に準ずるものとする。

(4) 季節の影響による調整

季節の変化によって価格変動が大きい動産につき取引事例比較法により評価する場合には、公売時と同一の季節の対象取引事例価格により評価するものとし、原価法により評価する場合には、再調達原価を季節による価格変動に応じて公売時の季節における価格に調整した価格により、評価する。

(5) その他

一般動産の取得後に多額の改良費を支出している場合及び解体費、運搬費を要すると認められる場合等においては、これらを適切に評価に反映させることに留意する。

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