(別紙)

平成17年8月2日

国税庁課税部長
竹田 正樹 殿

株式会社 整理回収機構
代表取締役社長 奧野善彦

 当社が平成16年2月16日に制定した別添(PDFファイル/523KB)の「RCC企業再生スキーム」(以下「本スキーム」という。)に関しては、本スキームに基づき策定された再生計画により債権放棄等(債権放棄、無償又は低利による貸付け等をいう。以下同じ。)が行われた場合、その債権者側の法人税基本通達9−4−2に定める税務上の取扱い及び債務者側の同通達12−3−1(3)に定める税務上の取扱いについては、同年3月1日付での文書照会に対して、同月24日付で当社の考え方で差し支えない旨の回答をいただいております。
 ところで、平成17年度の税制改正において、一定の要件を満たす私的整理に係る再生計画により債務免除を受ける場合には、債務者の有する一定の資産についての評価損及び評価益の計上とともに、青色欠損金等以外の欠損金を優先して控除する税制措置が新たに講じられています。
 当社といたしましては、本スキームが新たに講じられた税制措置の下においても円滑に運用されるため、準則である本スキームにつきまして、別添(PDFファイル/523KB)のとおりの修正を加えて公表したところであります。
 つきましては、本スキームに従って策定される再生計画のうち、当社が有する債権(信託の受託者として有する債権を含む。以下同じ。)につき債務免除を行う場合においては、次の点につきそれぞれ次のとおり解して差し支えないか、ご照会申し上げます。

1. 本スキームに従って再生計画が策定され、対象債権者全員の同意によって再生計画が成立した場合において、法人税法施行令第24条の2第1項第2号《再生計画認可の決定に準ずる事実等》のイからハまで及びホに掲げる要件を満たすときには、当該再生計画の成立は、同号に規定する「再生計画認可等に準ずる事実」に該当する(次葉参照)。
 また、当該再生計画における資産評定は、本スキームに従って行われることから、債務者の有する資産の価額につき、同条第3項第2号に規定する資産評定が行われていることとなり、当該資産評定による価額を基礎とした貸借対照表に計上されている資産の価額と帳簿価額との差額(評価益又は評価損)は、法人税法第25条第3項《資産の評価益の益金不算入等》及び第33条第3項《資産の評価損の損金不算入等》の規定を適用することができる。

2. 上記1.により法人税法第25条第3項又は第33条第3項の規定の適用を受ける場合には、法人税法第59条第2項《会社更生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入》の規定により損金の額に算入する金額は、同項第3号に掲げる場合に該当するものとして計算することができる。


(次葉)

1. 民事再生法の規定による再生計画認可の決定等に準ずる事実に該当すること

 本スキームに従って策定される再生計画は、次の過程を経て成立します。
 主要債権者の一人である当社(主要債権者の一人である金融機関から債権者間の合意形成のための調整等を委託された場合を含む。以下同じ。)が、対象債務者の適格性、主要債権者の同意見込等を審査の上相当と判断した場合に手続が開始されます。
 また、対象債務者となる企業の適格性や再生計画案の内容等については、債権者集会及び当社の企業再生検討委員会で検討されることになりますが、第2回債権者集会に先立ち、対象債務者は、当社の支援を得て、再生計画全般の相当性と実行可能性を対象債権者に書面にて報告し、再生計画は、対象債権者全員の同意により成立します。
 このように本スキームに基づく再生計画の成立は、債権者集会、当社の企業再生検討委員会での審議、対象債権者による再生計画の合意、再生計画の実行状況等のモニタリングなど裁判所の監督する民事再生法の規定による再生計画策定の一連の手続に準じて成立するものであることから、民事再生法の規定による再生計画認可の決定等に準ずる事実に該当するものと考えられます。

2. 再生計画が所定の要件(法人税法施行令第24条の2第1項第2号かっこ書)に該当すること

(1) 「債務処理を行うための手続についての準則」の要件(次の1から3までの要件のすべてを満たすもの)

1 法人税法施行令第24条の2第1項第2号イ柱書の要件
 本スキームは、企業の私的整理に関する基本的考え方を整理し、私的整理の進め方、対象となる企業、再生計画案の内容等について定めたものであり、公表されているものです(「はじめに」参照)。 従って、本スキームに従って策定された再生計画は、一般に公表された債務処理を行うための手続についての準則に従って策定されていることとの要件を満たすと考えられます。
 また、本スキームは、預金保険法(昭和46年法律第34号)上の協定銀行である当社が策定したもので、公正衡平を旨とすることを定めており、本スキームに基づく再生計画策定の実績も積みあがってきているところであります。こうした点から、本スキームは、公正かつ適正なものと認められるものであるとの要件を満たすと考えられます。

2 法人税法施行令第24条の2第1項第2号イ(1)の要件
 債務者の有する資産及び負債の価額の評定(以下「資産評定」という。)については、公正な価額により行う(「7.再生計画案の内容」(3)参照)と定めています。
  また、この「公正な価額」については、当社からの債務免除を伴う再生計画を策定する場合において、本スキームに「再生計画における『資産・負債の評価基準』」(別紙5参照)を定めているとともに、この基準により作成される実態貸借対照表を含むその再生計画は対象債権者全員が関わることを前提として成立すること及び公正な価額による資産評定であることについて外部の専門知識を有する者からなる当社の企業再生検討委員会が審議を行うこと(「4.企業再生検討委員会」参照)を定めていることからすれば、「公正な価額」となるべきことを担保するための定めもあると解されることから、資産評定に関する事項が準則たる本スキームに定められており、かつ、公正な価額による旨の定めがあること、という要件は満たすと考えられます。

3 法人税法施行令第24条の2第1項第2号イ(2)の要件
 本スキームに定められた手続に従って策定された再生計画であることと、下記(2)及び(3)に記載する事項を、当社が、確認する手続につき定めており(「9.法人税法第25条第3項、第33条第3項及び第59条第2項第3号の適用等に関する確認手続」参照)、当該計画が当該準則に従って策定されたものであること、下記(2)及び(3)に掲げる要件に該当することにつき確認をする手続に関する事項が定められていることの要件を満たすものと考えられます。また、当社は、確認する者の要件を定めた法人税法施行規則第8条の5第1項第2号に定める協定銀行そのものでありますので、確認する者に関する事項が定められていることとの要件を満たすと考えられます。

(2) 法人税法施行令第24条の2第1項第2号ロの要件
 当社は、「再生計画における『資産・負債の評価基準』」に基づいて資産評定が行われていること、その資産評定に基づいて実態貸借対照表が作成されていること(ただし、資産評定は公正な価額により行う。)の確認をすることが定められています(「7.再生計画案の内容」(3)、「9.法人税法第25条第3項、第33条第3項及び第59条第2項第3号の適用等に関する確認手続」(2)参照)。従って、その確認を受けた再生計画は、準則に定められた資産評定の規定に従って資産評定が行われ、それを基礎とした当該債務者の貸借対照表が作成されていることとの要件を満たすと考えられます。

(3) 法人税法施行令第24条の2第1項第2号ハの要件
 当社は、資産評定に基づいた実態貸借対照表や再生計画における損益の見込み等に基づいて債権放棄額が決定されていることの確認をすることが定められています(「9.法人税法第25条第3項、第33条第3項及び第59条第2項第3号の適用等に関する確認手続」(3)参照)。従って、その確認を受けた再生計画は、上記(2)の貸借対照表における資産及び負債の価額、当該計画における損益の見込み等に基づいて債務者に対して債務の免除をする金額が定められていることとの要件を満たすと考えられます。

(4) 法人税法施行令第24条の2第1項第2号ホの要件
 本照会は、本スキームに従って策定された再生計画のうち、当社が有する債権につき債務の免除を行う再生計画を前提としており、かつ、当社は、法人税法施行令24条の2第1項第2号ホに規定する協定銀行そのものでありますので、同号ホの要件を満たすと考えられます。

<注>( )は参照すべき本スキームの該当部分を示す。

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