平成28年6月
国税庁

○ 国税に関する法律に基づく処分についての納税者の救済制度には、処分庁に対する異議申立て(再調査の請求)及び国税不服審判所長に対する審査請求という行政上の救済制度(不服申立制度)と、裁判所に対して訴訟を提起して処分の是正を求める司法上の救済制度があります。

○ このうち、「異議申立て」(再調査の請求)は、税務署長などが更正・決定や差押えなどの処分をした場合に、その処分に不服がある納税者が税務署長などに対してその処分の取消しや変更を求める手続です。

○ 平成26年6月に行政不服審査法の抜本的な見直しが行われるとともに、国税通則法の改正により、国税不服申立制度についても改正が行われ、「異議申立て」は「再調査の請求」へ名称変更され、平成28年4月1日以後に行われる処分に係る不服申立てから適用されています。

(注)平成27年度における発生・処理件数は、全て改正前の法律が適用される「異議申立て」であり、「再調査の請求」はありません。

○ 国税庁においては、納税者の権利利益の救済及び行政の適正な運営の確保という制度の趣旨を踏まえた適切な不服申立事務の遂行に努めています。

1 異議申立ての状況(表1)

=異議申立ての件数は3,191件で、前年度より15.8%増加=

(表1)
異議申立ての状況のグラフ

○ 平成27年度における異議申立ての件数は3,191件であり、申告所得税等、源泉所得税等、相続税・贈与税、消費税等及び徴収関係に係る件数などが増加したことに伴い、前年度と比べ15.8%の増加となっています。

2 異議申立ての処理状況(表2)

=異議申立てにおける認容割合は8.4%で、前年度より0.9ポイント減少=

(表2)
異議申立ての処理状況のグラフ

○ 平成27年度における異議申立ての処理件数は3,200件となっています。

○ このうち、納税者の主張が何らかの形で受け入れられた件数は270件(一部認容212件、全部認容58件)で、その割合は8.4%(一部認容6.6%、全部認容1.8%)となっており、前年度と比べ0.9ポイントの減少となっています。

○ 簡易迅速な手続により納税者の権利利益の救済を図るため、異議申立てについては、迅速な処理に努めており、3か月以内の処理件数割合は99.3%となっています(割合は、相互協議事案、公訴関連事案及び国際課税事案を除いて算出しています)。

(参考計表)

1 異議申立ての状況

(単位:件、%)
区分 課税関係 徴収関係 合計
申告所得税等 源泉所得税等 法人税等 相続税
贈与税
消費税等 その他  
26年度 内 103
866
内 28
86
内 66
396
275 816 2 2,441 314 2,755
27年度 内 237
873
内 28
91
内 73
373
284 1,155 91 2,867 324 3,191
前年度比 内 230.1
100.8
内 100.0
105.8
内 110.6
94.2
103.3 141.5 4,550.0 117.5 103.2 115.8

(注) 1 「申告所得税等」は、申告所得税及び復興特別所得税の件数であり、内書きは復興特別所得税の件数です。

2 「源泉所得税等」は、源泉所得税及び復興特別所得税の件数であり、内書きは復興特別所得税の件数です。

3 「法人税等」は、法人税及び復興特別法人税の件数であり、内書きは復興特別法人税の件数です。

4 平成25・26年度における発表資料では、復興特別所得税及び復興特別法人税は「その他」に含めていましたが、平成27年度からは、「申告所得税」、「源泉所得税」及び「法人税」の各税目に含めることとしました。

5 「消費税等」は、消費税及び地方消費税の件数です。

2 異議申立ての処理状況

(単位:件、%)
区分 要処理件数 異議申立ての処理状況 未済 3か月以内処理件数割合
取下げ等 却下 棄却 認容 合計
  一部 全部
26年度(構成比) 3,395 424
(15.4)
263
(9.6)
1,802
(65.6)
256
(9.3)
  2,745
(100.0)
650 96.9
189
(6.9)
67
(2.4)
27年度(構成比) 3,841 405
(12.7)
375
(11.7)
2,150
(67.2)
270
(8.4)
  3,200
(100.0)
641 99.3
212
(6.6)
58
(1.8)
  課税関係 3,468 359 212 2,024 264 211 53 2,859 609 99.4
徴収関係 373 46 163 126 6 1 5 341 32 98.5

(注) 3か月以内処理件数割合については、相互協議事案、公訴関連事案及び国際課税事案を除いて算出しています。