1 無申告法人に対する取組
 無申告法人から約100億円を追徴

  •  事業を行っているにもかかわらず申告をしていない法人を放置しておくことは、納税者の公平感を著しく損なうものであることから、国税庁では、こうした稼働無申告法人に対する調査に重点的に取り組んでいます。
  •  平成24事務年度においては、事業を行っていると見込まれる無申告法人4千件(前年対比65.6%)に対して調査を実施し、法人税56億円(同81.9%)、消費税44億円(同75.6%)、合わせて99億円(同79.0%)を追徴課税しました。
  •  この中には、廃業を装うため所轄税務署管内の店舗を閉鎖するほか代表者自身も関係のない法人の従業員を偽るなどした事案を含め、稼働している実態を隠し、意図的に無申告であったものが約3百件あり、法人税23億円(同52.1%)、消費税7億円(同51.9%)を追徴課税しました。

無申告法人に対する実地調査の状況のグラフ

無申告法人に対する実地調査の状況

事務年度等 20 21 22 23 24  
項目 前年対比
法人税 実地調査件数 3,094 3,418 5,278 6,035 3,956 65.6%
  うち意図的な無申告法人を把握した件数 244 295 402 408 278 68.1%
追徴税額 百万円 5,939 5,897 10,209 6,788 5,561 81.9%
  うち意図的な無申告法人に係る追徴税額 百万円 3,373 2,986 6,932 4,482 2,337 52.1%
消費税 実地調査件数 2,244 2,567 3,986 4,373 2,977 68.1%
  うち意図的な無申告法人を把握した件数 244 295 265 292 195 66.8%
追徴税額 百万円 3,983 4,305 5,537 5,807 4,388 75.6%
  うち意図的な無申告法人に係る追徴税額 百万円 973 888 1,217 1,393 723 51.9%
追徴税額合計 百万円 9,922 10,202 15,746 12,595 9,949 79.0%
  うち意図的な無申告法人に係る追徴税額 百万円 4,346 3,874 8,149 5,875 3,060 52.1%

2-1 海外取引法人等に対する取組(法人税)
 海外取引等に係る調査で2,452億円の申告漏れを把握

  •  企業等の事業、投資活動のグローバル化が進展する中で、海外取引を行っている法人の中には、海外の取引先への外注費を架空に計上するなどの不正計算を行うものが見受けられます。このような海外取引法人等に対しては、租税条約等に基づく情報交換制度を積極的に活用するなど、深度ある調査に取り組んでいます。
  •  平成24事務年度においては、海外取引法人等に対する調査を1万3千件(前年対比82.0%)実施し、このうち、海外取引等に係る非違があった件数は、3千件(同90.3%)、申告漏れ所得金額は2,452億円(同85.2%)となりました。

海外取引法人等に対する実地調査の状況のグラフ

海外取引法人等に対する実地調査の状況

事務年度等 20 21 22 23 24  
項目 前年対比
実地調査件数 14,300 13,145 13,804 15,247 12,506 82.0
海外取引等に係る非違があった件数 3,297 3,256 3,578 3,666 3,309 90.3
  うち不正計算があった件数 610 573 622 606 470 77.6
海外取引等に係る申告漏れ所得金額 億円 2,187 8,014 2,423 2,878 2,452 85.2
  うち不正所得金額 億円 238 270 286 188 169 89.7
調査1件当たりの海外取引等に係る申告漏れ所得金額 千円 15,293 60,965 17,551 18,874 19,609 103.9

2-2 海外取引法人等に対する取組(源泉所得税等)
 海外取引等に係る源泉所得税等で44億円を追徴

  •  企業等の事業、投資活動のグローバル化が進展する中で、国税庁においては、非居住者や外国法人に対する支払(非居住者等所得)について、源泉所得税等の観点から、重点的かつ深度ある調査を実施しています。
  •  こうした中で、租税条約による源泉徴収の免税の適用を受けられない者であるにもかかわらず、租税条約に関する届出書を提出し、免税の適用を受けていた事例などが見受けられました。
  •  平成24事務年度においては、人的役務提供事業や使用料などについて源泉所得税等の課税漏れを1千件(前年対比87.4%)把握し、44億円(同104.9%)を追徴課税しました。

海外取引等に係る源泉所得税等の非違(追徴本税額)の内訳のグラフ

非居住者等に対する源泉所得税等の調査の状況

事務年度等 20 21 22 23 24  
項目 前年対比
非違があった件数 1,719 1,472 1,348 1,477 1,291 87.4
調査による追徴本税額 百万円 5,895 4,140 3,874 4,173 4,377 104.9

3 無所得申告法人に対する取組
 法人税416億円、消費税129億円を追徴

  •  本来、黒字でありながら赤字を装って申告することにより納税を免れている法人を放置しておくことは、納税者の公平感を著しく損なうものです。無所得申告法人に対しては、このような赤字の仮装や消費税の観点から、調査に重点的に取り組んでいます。
  •  平成24事務年度においては、法人税について3万7千件(前年対比67.4%)の無所得申告法人に対して調査を実施し、申告漏れ件数2万6千件(同69.4%)及び申告漏れ所得金額4,803億円(同78.7%)を把握しました。
     なお、調査を実施した無所得申告法人のうち4千件(同74.9%)は、本来有所得で申告をすべき法人であり、416億円(同116.9%)を追徴課税しました。
     また、消費税について3万5千件(同67.8%)の調査を実施し、非違があった2万件(同69.8%)に対し、129億円(同73.9%)を追徴課税しました。

無所得申告法人に対する実地調査の状況のグラフ

無所得申告法人の実地調査の状況

法人税の実地調査の状況
事務年度等 20 21 22 23 24  
項目 前年対比
実地調査件数 49,325 56,322 52,202 55,353 37,301 67.4
非違があった件数 34,333 39,107 36,346 37,789 26,209 69.4
  うち不正計算があった件数 12,064 13,404 12,552 12,692 8,336 65.7
不正発見割合 24.5 23.8 24.0 22.9 22.3 −0.6
黒字申告に転換した件数 6,956 6,561 5,741 5,962 4,466 74.9
申告漏れ所得金額 億円 5,006 11,772 6,592 6,104 4,803 78.7
  うち不正所得金額 億円 1,581 1,811 1,605 1,503 1,516 100.9
調査による追徴税額 億円 395 572 488 356 416 116.9
消費税(法人)の実地調査の状況
事務年度等 20 21 22 23 24  
項目 前年対比
実地調査件数 46,009 52,786 48,882 51,874 35,153 67.8
非違があった件数 26,121 29,634 27,902 29,017 20,261 69.8
調査による追徴税額 億円 207 254 212 175 129 73.9

4 消費税還付申告法人に対する取組
 不正に還付申告を行っていた法人から13億円を追徴

  •  消費税は、預り金的性格を有するため、適正な税務執行が一層求められています。
  •  特に、消費税について虚偽の申告により不正に還付金を得るケースも見受けられるため、こうした不正還付を行う悪質な納税者に対して厳正な調査を実施しています。
  •  平成24事務年度においては、消費税還付申告法人6千件(前年対比74.7%)に対し調査を実施し、消費税165億円(同195.2%)を追徴課税しました。また、そのうち約5百件(同66.1%)は不正に還付金額の水増しなどを行っており、13億円(同115.9%)を追徴課税しました。

消費税還付申告法人に対する実地調査の状況のグラフ

消費税還付申告法人に対する消費税の実地調査の状況

事務年度等 20 21 22 23 24  
項目 前年対比
実地調査件数 11,202 10,009 8,475 8,539 6,381 74.7
非違があった件数 6,258 5,571 4,884 4,678 3,377 72.2
  うち不正計算があった件数 1,165 1,012 830 820 542 66.1
調査による追徴税額 百万円 16,707 17,726 7,497 8,469 16,533 195.2
  うち不正計算に係る追徴税額 百万円 3,568 2,747 1,268 1,137 1,318 115.9