1 無申告法人に対する取組
 事業を行っている無申告法人から126億円を追徴

  •  事業を行っているにもかかわらず申告していない法人は、国民の公平感を著しく損なうものであることから、国税庁では、こうした稼働無申告法人に対する調査等に重点的に取り組んでいます。
  •  平成23事務年度においては、事業を行っていると見込まれる無申告法人6千件(前年対比114.3%)に対して調査を実施し、法人税68億円(同66.5%)、消費税58億円(同104.9%)、合わせて126億円(同80.0%)の追徴課税を行いました。
  •  この中には、稼働している実態を隠し、法人の解散を装うため、虚偽の届出を行うなど、意図的に無申告であった事案が4百件あり、法人税45億円(同64.7%)、消費税14億円(同114.5%)の追徴課税を行いました。

無申告法人に対する実施調査の状況のグラフ

無申告法人に対する実地調査の状況
事務年度等 19 20 21 22 23  
項目 前年対比
法人税 実地調査件数 3,026 3,094 3,418 5,278 6,035 114.3
  うち意図的な無申告法人を把握した件数 251 244 295 402 408 101.5
追徴税額 百万円 9,125 5,939 5,897 10,209 6,788 66.5
  うち意図的な無申告法人に係る追徴税額 百万円 3,375 3,373 2,986 6,932 4,482 64.7
消費税 実地調査件数 2,195 2,244 2,567 3,986 4,373 109.7
  うち意図的な無申告法人を把握した件数 251 244 295 265 292 110.2
追徴税額 百万円 3,654 3,983 4,305 5,537 5,807 104.9
  うち意図的な無申告法人に係る追徴税額 百万円 703 973 888 1,217 1,393 114.5
追徴税額合計 百万円 12,779 9,922 10,202 15,746 12,595 80.0
  うち意図的な無申告法人に係る追徴税額 百万円 4,078 4,346 3,874 8,149 5,875 72.1

2-1 海外取引法人等に対する取組(法人税)
 海外取引調査で2,878億円の申告漏れを把握

  •  企業等の事業、投資活動のグローバル化が進展する中で、海外取引を行っている法人の中には、海外の取引先との経費を架空に計上するなどの不正計算を行うものが見受けられます。このような海外取引法人等に対しては、租税条約等に基づく情報交換制度を積極的に活用するなど、深度ある調査に取り組んでいます。
  •  平成23事務年度における海外取引法人等に対する調査件数は15,247件(前年対比110.5%)、そのうち、海外取引等に係る非違があった件数は、3,666件(同102.5%)、海外取引に係る申告漏れ所得金額は約2,878億円(同118.8%)となりました。

海外取引法人等に係る調査の状況のグラフ

事務年度等 19 20 21 22 23  
項目 前年対比
海外取引法人等調査件数 13,153 14,300 13,145 13,804 15,247 110.5
海外取引等に係る非違があった件数 3,267 3,297 3,256 3,578 3,666 102.5
同上のうち、不正発見件数 615 610 573 622 606 97.4
海外取引等に係る申告漏れ所得金額 億円 4,458 2,187 8,014 2,423 2,878 118.8
同上のうち、不正所得金額 億円 224 228 270 286 188 65.7

2-2 海外取引法人等に対する取組(源泉所得税)
 国際源泉所得税で42億円を追徴

  •  企業や個人による国境を越えた経済活動が複雑・多様化している中、国税庁においては、非居住者や外国法人に対する支払(非居住者等所得)について、源泉所得税の観点から、重点的かつ深度ある調査を実施しています。
  •  こうした中で、租税条約による源泉徴収の免税の要件に該当しない者であるにもかかわらず、租税条約に関する届出書を提出し、免税の適用を受けていた事例などが見受けられました。
  •  平成23事務年度の調査において、使用料や給与等などについて国際源泉所得税の課税漏れを1,477件(前年対比109.6%)把握し、42億円(同107.7%)の追徴課税を行いました。

国際源泉所得税の非違の内訳のグラフ

国際源泉所得税の調査の状況
事務年度等 21 22 23  
項目 前年対比
非違があった件数 1,472 1,348 1,477 109.6
追徴本税額 百万円 4,140 3,874 4,173 107.7

3 無所得申告法人に対する取組
 申告漏れ6,104億円を把握

  •  黒字申告割合が低い中、本来、黒字でありながら赤字を装って申告することにより納税を免れている法人は、国民の公平感を著しく損なうものです。無所得法人に対しては、このような赤字の仮装や消費税の観点から、重点的な調査に取り組んでいます。
  •  平成23事務年度においては、法人税について5万5千件(前年対比106.0%)の無所得申告法人に対して調査を実施し、申告漏れ件数3万8千件(同104.0%)及び申告漏れ所得金額6,104億円(同92.6%)を把握しました。
     なお、調査した無所得申告法人のうち約6千件(同103.8%)は、本来黒字申告すべき法人であり、課税した法人税額の合計は356億円(同72.9%)でした。
     また、消費税について5万2千件(同106.1%)の調査を実施し、非違があった2万9千件(同104.0%)に対し、175億円(同82.5%)の追徴課税を行いました。

無所得申告法人に対する取組のグラフ

無所得申告法人の実地調査の状況
事務年度等 19 20 21 22 23  
項目 前年対比
法人税実地調査件数 46,284 49,325 56,322 52,202 55,353 106.0
法人税の非違があった件数 32,617 34,333 39,107 36,346 37,789 104.0
  不正計算のあった件数 11,357 12,064 13,404 12,552 12,692 101.1
不正発見割合 24.5 24.5 23.8 24.0 22.9 △1.1
黒字申告に転換した件数 7,413 6,956 6,561 5,741 5,962 103.8
申告漏れ所得金額 億円 5,939 5,006 11,772 6,592 6,104 92.6
  うち不正所得金額 億円 1,699 1,581 1,811 1,605 1,503 93.6
法人税追徴税額 億円 487 395 572 488 356 72.9
消費税実地調査件数 43,022 46,009 52,786 48,882 51,874 106.1
消費税の非違があった件数 24,484 26,121 29,634 27,902 29,017 104.0
消費税追徴税額 億円 257 207 254 212 175 82.5

4 消費税還付法人に対する取組
 不正に還付申告を行っていた法人から11億円を追徴

  •  消費税は、主要な税目の一つであり、預り金的性格を有するため、一層の適正な税務執行が求められています。
  •  特に、消費税について虚偽の申告により不正に還付金を得るケースも見受けられるため、こうした不正還付を行う悪質な納税者に対して厳正な調査を実施しています。
  •  平成23事務年度においては、8千5百件(前年対比100.8%)の消費税還付申告法人に対し調査を実施し、85億円(同113.0%)の消費税額を追徴しました。また、そのうち約8百件は不正に還付金額の水増しなどを行っており、11億円(同89.7%)を追徴しました。
消費税還付申告法人に対する消費税の実地調査の状況
事務年度等 21 22 23  
項目 前年対比
1 調査件数 10,009 8,475 8,539 100.8
2 非違があった件数 5,571 4,884 4,678 95.8
3 調査による追徴税額 百万円 17,726 7,497 8,469 113.0
4 2のうち不正計算を行っていた件数 1,012 830 820 98.8
5 4に係る追徴税額 百万円 2,747 1,268 1,137 89.7