いわゆる「富裕層」への対応

○ 国税庁では、有価証券・不動産等の大口所有者、経常的な所得が特に高額な者など、いわゆる「富裕層」に対して、資産運用の多様化・国際化が進んでいることを念頭に調査を実施しており、平成26事務年度においても積極的に取り組んでいきます。

○ 平成25事務年度においては、1,439件(前年比102.8%)の調査を実施し、追徴税額は総額で50億円となっています。

○ また、1件当たりの追徴税額は345万円で、所得税の実地調査(特別・一般)1件当たりの追徴税額186万円の約1.9倍となっています。

○ 富裕層に対する調査状況

事務年度等 24事務年度 25事務年度   (参考)25事務年度 実地調査
項目 対前年比 (特別・一般)全体
調査件数 1,400 1,439 102.8% 11,844
申告漏れ等の非違件数 1,081 1,120 103.6% 10,248
申告漏れ所得金額 億円 165 154 93.3% 1,235
追徴税額 億円 46 50 108.7% 220
一件当たり 申告漏れ所得金額 万円 1,181 1,074 90.9% 1,043
追徴税額 万円 326 345 105.8% 186

無申告者に対する調査状況

○ 無申告は、申告納税制度の下で自発的に適正な納税をしている納税者に強い不公平感をもたらすこととなるため、的確かつ厳格に対応していく必要があります。こうした無申告者に対しては、更なる資料情報の収集及び活用を図るなどして的確な課税処理に努めており、平成26事務年度においても積極的に調査を実施します。

<所得税無申告者に対する調査状況>

○ 平成25事務年度における所得税無申告者に対する実地調査(特別・一般)の調査件数は、2,045件となっています。

○ 1件当たりの申告漏れ所得金額は、2,285万円となっており、実地調査(特別・一般)全体の申告漏れ所得金額1,043万円の約2.2倍となっています。また、申告漏れ所得金額は総額で467億円に上ります。

○ 1件当たりの追徴税額は、263万円で、追徴税額は総額で54億円に上ります。

<消費税無申告者に対する調査状況>

○ 平成25事務年度における消費税無申告者に対する実地調査(特別・一般)の調査件数は、1,298件となっています。

○ 1件当たりの追徴税額は、166万円となっており、消費税の実地調査(特別・一般)全体の追徴税額の約2.5倍となっています。また、追徴税額は全体で21億円に上ります。

1 所得税無申告者に対する調査状況
事務年度等 24事務年度 25事務年度   (参考)25事務年度 実地調査
項目 対前年比 (特別・一般)全体
調査件数 2,440 2,045 83.8% 11,844
申告漏れ所得金額 億円 499 467 93.6% 1,235
追徴税額 億円 57 54 94.7% 220
一件当たり 申告漏れ所得金額 万円 2,045 2,285 111.7 1,043
追徴税額 万円 235 263 111.9 186
2 消費税無申告者に対する調査状況
事務年度等 24事務年度 25事務年度   (参考)25事務年度 消費税実地調査
項目 対前年比 (特別・一般)全体
調査件数 1,565 1,298 82.9 4,780
追徴税額 億円 23 21 91.3 31
1件当たり追徴税額 万円 146 166 113.7 66

海外取引を行っている者の調査状況

○ 経済社会の国際化に適切に対応していくため、有効な資料情報の収集に努めるとともに、海外取引を行っている者や海外資産を保有している者などに対して、国外送金等調書、国外財産調書、租税条約等に基づく情報交換制度などを効果的に活用し、平成26事務年度においても積極的に調査を実施します。

○ 平成25事務年度における海外取引を行っている者に対する実地調査(特別・一般)の調査件数は、1,289件(平成24事務年度1,537件)となっています。

○ 1件当たりの申告漏れ所得金額は、2,152万円(平成24事務年度1,981万円)となっており、実地調査(特別・一般)全体の申告漏れ所得金額1,043万円(平成24事務年度1,042万円)の約2.1倍となっています。また、申告漏れ所得金額の総額は277億円(平成24事務年度305億円)に上ります。

1 調査状況(取引区分別)

調査状況(取引区分別) グラフ

(注) ( )内の数値は構成比

(参考)

  1. 1 輸出入・・・事業に係る売上及び原価に係る取引で、海外の輸出(入)業者との契約による取引をいう。
  2. 2 役務提供・・・工事請負、プログラム設計など海外において行う、労力、技術等の第三者に対するサービスの提供をいう。
  3. 3 海外投資・・・海外の不動産、証券などに対する投資(預貯金等の海外での蓄財を含む。)をいう。
  4. 4 その他・・・海外で支払を受ける給与など、1〜3に該当しない取引等をいう。

2 1件当たりの申告漏れ所得金額(取引区分別)

1件当たりの申告漏れ所得金額(取引区分別) グラフ

インターネット取引を行っている者の調査状況

○ インターネット取引者は、あらゆる資料情報を収集・分析するなどして、平成26事務年度も積極的に調査を実施します。

○ 平成25事務年度におけるインターネット取引を行っている者に対する実地調査(特別・一般)の調査件数は、373件(平成24事務年度383件)となっています。

○ 1件当たりの申告漏れ所得金額は、1,610万円(平成24事務年度1,402万円)となっており、実地調査(特別・一般)全体の申告漏れ所得金額1,043万円(平成24事務年度1,042万円)の約1.5倍となっています。また、申告漏れ所得金額の総額は60億円(平成24事務年度54億円)に上ります。

1 調査状況(取引区分別)

調査状況(取引区分別) グラフ

(注) ( )内の数値は構成比

(参考)

  • 1 ネット通販・・・事業主が商品を販売するためのホームページを開設し、消費者から直接受注する販売方法(オンラインショッピング)による取引
  • 2 コンテンツ配信サービス・・・インターネットを利用して行われる電子化された音楽、静止画、動画、書籍、情報等のダウンロード取引又は配信提供に係る取引
  • 3 ネットオークション・・・インターネットを利用して行われるオークション取引
  • 4 ネット広告・・・ホームページ、電子メール、検索エンジンの検索結果画面等を利用して行われる広告関連取引
  • 5 ネットトレード・・・インターネットを利用して行われる株、商品先物又は外国為替等の取引
  • 6 その他のネット取引・・・出会い系サイトの運営など、1から5に該当しない取引

2 1件当たりの申告漏れ所得金額(取引区分別)

1件当たりの申告漏れ所得金額(取引区分別) グラフ

金地金等に係る譲渡所得調査等の状況

○ 金やプラチナの価格が歴史的な高値水準にあり、金地金等(金・白金地金、金貨・白金貨)の譲渡によって大きな譲渡益が生じやすい状況が継続しています。金地金等を売却して譲渡益が生じた場合は、原則として、総合課税の譲渡所得として課税されます。

○ これに対し、国税庁では、平成24年1月から導入された「金地金等の譲渡の対価の支払調書」のほか、あらゆる機会を通じて資料情報を収集するなどして、積極的に調査を実施しております。金やプラチナの価格が高値水準である傾向が続いていることから、引き続き、平成26事務年度においても積極的に調査を実施します。

(注) 「金地金等の譲渡の対価の支払調書」は、平成24年1月1日以降、金地金等の売買を業として行う者が、国内においてそれらの譲渡を受け、200万円超の対価を支払う場合に、税務署に対して支払調書を提出することが義務付けられたものです。

○ 平成25事務年度における金地金等に係る譲渡所得調査等による申告漏れ等の非違件数は1,156件(平成24事務年度560件)、申告漏れ所得金額は、46億円(平成24事務年度32億円)、非違1件当たり申告漏れ所得金額は398万円(前事務年度565万円)となっています。

○ 金地金等に係る譲渡所得の調査等の状況
事務年度 平成23事務年度 平成24事務年度 平成25事務年度
項目
申告漏れ等の非違件数丸1   211.3 206.4
265件 560件 1,156件
申告漏れ所得金額丸2   181.0 145.6
17億円 32億円 46億円
非違1件当たり申告漏れ所得金額(丸2/丸1)   85.6 70.5
659万円 565万円 398万円

(注) 上段は、対前事務年度比(%)である。