別紙
当行は、当行に普通預金口座を有する個人を対象として、贈与者・受贈者間の贈与の意思及び贈与金額の確認を行い、双方合意が存する場合に限り、贈与者・受贈者間の贈与契約書の作成及び預金の振替による財産の移転をサポートするサービス(以下「本件サービス」という。)の提供を予定しています。
本件サービスにおいては、当行は、贈与の都度、贈与者・受贈者間の贈与の意思確認を行った上、双方合意を有する場合にのみサービス内容の提供を行うものですので、本件サービスに基づく贈与は、直ちに、相続税法第24条《定期金に関する権利の評価》に規定する「定期金給付契約に関する権利」の贈与には該当しないとの判断でよろしいか伺います。
なお、本件サービスは銀行法第10条《業務の範囲》第1項第1号に規定する「預金又は定期積金等の受入れ」、同項第3号に規定する「為替取引」及び同条第2項に規定する「その他の銀行業に付随する業務」に係る業務として行われるものです。
《本件サービスの内容》
本件サービスの内容は以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
対象者(贈与者) | 当行に普通預金口座を有する個人(国内居住者)で1人1契約とする |
受贈者 | 贈与をする人の3親等以内の親族で、以下の全てを満たす個人(複数指定可)
|
贈与金額 | 10千円以上10千円単位(贈与契約書に基づいた金額) |
契約期間 |
本件サービス申込日の属する年を含めて5年間※(自動更新はしない)
|
手続の流れ 下図《取引概要図》参照 |
|
《取引概要図》
相続税法第24条に規定する「定期金給付契約に関する権利」とは、相続税法基本通達24−1《「定期金給付契約に関する権利」の意義》において、「契約によりある期間定期的に金銭その他の給付を受けることを目的とする債権をい」うこととされており、一定期間にわたり定期的に贈与を行うことが贈与者・受贈者間で契約されている場合には、その契約の時点で、定期金給付契約に関する権利の贈与として、贈与税の課税関係が生じることとなります。
ところで、本件サービスは、その内容から、5年間の契約期間中に定期的な贈与が行われることが想定されるため、本件サービスの利用開始時に、定期金給付契約に関する権利の贈与が行われたものとして贈与税の課税関係が生じるのではないかとの疑義が生じます。
しかしながら、贈与は、民法第549条《贈与》において、「当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる」こととされており、贈与者の贈与の意思表示だけなく、受贈者の贈与を受ける意思表示を必要とする双方合意で成立することとされております。
また、贈与による財産の取得時期については、相続税法基本通達1の3・1の4共−8《財産取得の時期の原則》において「書面によるものについてはその契約の効力の発生した時」と取り扱われています。
本件サービスでは、その申込みは贈与者が行い、当行は、贈与の都度、贈与者・受贈者間の贈与の意思確認を行った上で、その双方合意による贈与契約の成立を証する贈与契約書に基づいて贈与資金の払出し・振込(預金の振替)を行うこととしています。このことからすると、本件サービスの申込みによって贈与契約が成立するものではなく、本件サービスによる「贈与資金の払出し・振込(預金の振替)」は本件サービスの契約期間中の各年に締結される贈与契約の履行として行われるものであるため、本件サービスに基づき行われる贈与については、その贈与契約によって効力が生ずるものと考えられます。
したがって、本件サービスに基づき行われる贈与については、各年に締結される贈与契約の内容に基づき、各年の贈与として贈与税の課税が行われることとなるものと解するのが相当であり、あらかじめ定期的に贈与することについて贈与者・受贈者双方の合意がなされている場合でない限り、本件サービスを利用した贈与は、「定期金給付契約に関する権利」の贈与に該当するものではないと考えられます。