別紙

1 事前照会の趣旨及び事実関係

 当法人は、法人税法第2条第6号に掲げる公益法人等に該当し、法人税法上の収益事業を行っており、納税地の所轄税務署長の承認を受けて青色申告により確定申告を行っています。
 ところで、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(以下「電帳法」といいます。)第7条では、所得税(源泉徴収に係る所得税を除きます。)及び法人税に係る保存義務者(※)は、電子取引を行った場合には、一定の要件に従って、その電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならないこととされています。
 当法人においても電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存が必要とされますが、この保存については、収益事業を行う青色申告法人に保存が義務付けられている帳簿書類である、取引に関して相手方から受け取った注文書、領収書等や相手方に交付したこれらの書類の写しと同様、収益事業を含む全ての事業の取引に関する電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存が必要と考えてよろしいでしょうか。
 電帳法上、電子取引の取引情報について収益事業に係る事項は定められていないため、収益事業を行う場合に限り法人税の納税義務が生ずる公益法人等は、収益事業に係る申告に必要な範囲で電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存すれば足りるとも考えられるため確認するものです。

(※) 保存義務者とは、国税に関する法律の規定により国税関係帳簿書類の保存をしなければならないこととされている者をいいます(電帳法2四)。
 また、国税関係帳簿書類とは、国税関係帳簿(国税に関する法律の規定により備付け及び保存をしなければならないこととされている帳簿)又は国税関係書類(国税に関する法律の規定により保存をしなければならないこととされている書類)をいいます(電帳法2二)。

2 事前照会者の求める見解となることの理由

(1) 公益法人等に係る帳簿書類の保存については、公益法人等が青色申告法人以外の法人である場合、現金出納帳その他必要な帳簿、また、収益事業に係る取引に関して、相手方から受け取った注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類及び相手方に交付したこれらの書類の写し、さらに、棚卸表、貸借対照表及び損益計算書並びに決算に関して作成されたその他の書類を保存しなければならないこととされています(法法150の2①、法規66①、67①②)。
 他方で、公益法人等が青色申告法人である場合、仕訳帳、総勘定元帳その他必要な帳簿等、また、棚卸表、貸借対照表及び損益計算書並びに決算に関して作成されたその他の書類、さらに、取引に関して、相手方から受け取った注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類及び相手方に交付したこれらの書類の写しを保存しなければならないこととされ(法法126①、法規59①)、公益法人等が青色申告法人以外の法人である場合の定めとは異なり、「収益事業に係る取引に関して」とされていないことから、収益事業を含む全ての事業の取引に関する書類を保存しなければならないこととされています。

(2) また、電帳法第7条では、所得税(源泉徴収に係る所得税を除きます。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、一定の要件に従って、その電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならないこととされています。
 この場合の「電子取引」とは、取引情報(取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいいます。)の授受を電磁的方式により行う取引をいうこととされ(電帳法2五)、この「取引情報」について収益事業に係る事項は定められていません。

(3) 上記(2)のとおり、電帳法において電磁的記録の保存を行わなければならない電子取引の取引情報は、収益事業の取引に関するものか、収益事業を含む全ての事業の取引に関するものかについて定めはないため、収益事業を行う青色申告法人である公益法人等が行った電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存範囲について疑問が生じます。
 この点、電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存範囲についての基本的な考え方は、電帳法が国税関係帳簿書類の保存方法等について所得税法、法人税法その他の国税に関する法律の特例を定めるものであることから(電帳法1)、国税関係帳簿書類について保存を義務付けている法人税法等における考え方と同様となります。このため、法人税法で保存義務が定められている帳簿書類である「取引に関して、相手方から受け取った注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類及び相手方に交付したこれらの書類の写し」と同様の取引情報の授受を電磁的方式により行った場合には、その取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならないこととなります。
 したがって、青色申告法人である当法人は、上記(1)のとおり、収益事業を含む全ての事業の取引に関する帳簿書類を保存する必要があるとともに、当法人が取引情報の授受を電磁的方式により行った場合には、一定の要件に従って、収益事業を含む全ての事業の取引に関する電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならないこととなります。

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