日本における長期的かつ安定的な税制と税務行政の確立を図るため、昭和24(1949)年にシャウプ使節団が来日しました。使節団は全国を精力的に視察し、シャウプ勧告書をまとめました。
 この勧告書の基本原則は、昭和25(1950)年の税制改正に反映され、より現状に即した調整が加えられ、国税と地方税にわたる税制の合理化と負担の適正化が図られました。
 所得税を税制の根幹に据え、基礎控除額を引き上げて負担の軽減を図ると同時に、その減収分は高額所得者へ富裕税として課税されました。また、申告納税制度の水準の向上を図るための青色申告制度、容易で確実な納付のための納税貯蓄組合制度も導入されました。

(研究調査員 舟橋明宏)

【 目次 】

19-1 昭和24(1949)年 商店主と税金について語るシャウプ博士(福岡県福岡市)

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 日本の長期的かつ安定的な税制及び税務行政を確立するため、アメリカからシャウプ博士を団長に税法や税制の専門家が招聘されました。シャウプ使節団は日本国内をつぶさに調査し、勧告書をまとめました。

(研究調査員 舟橋明宏)

19-2 昭和24(1949)年 シャウプ勧告書

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 シャウプ勧告は、経済の安定、長期的・安定的な税制、均衡のとれた公平な税制、地方自治確立のための地方財政の強化、強力な執行体制の整備等、国税・地方税を通した税制や税務行政全般にわたる勧告書です。戦後税制の基本となりました。

(研究調査員 舟橋明宏)

19-3 昭和24(1949)年 シャウプ勧告を御存知ですか

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 国税庁広報課が出したパンフレットです。シャウプ勧告の内容や、それによる影響についてイラスト入りで説明しています。

(研究調査員 舟橋明宏)

19-4 昭和25(1950)年 青色申告帳簿の届出ポスター

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 シャウプ勧告により青色申告制度が創設されました。一定水準の記帳を行う納税者には、青色の申告用紙で申告し、税制上の特典を得られる制度です。

(研究調査員 舟橋明宏)

19-5 昭和25(1950)年 租税教室

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 国税庁の広報課が作成した、新制高校1年生を対象にした社会科の副教材です。各税目の解説だけではなく、国の歳入や、税の歴史等も網羅しています。

(研究調査員 舟橋明宏)

19-6 昭和26(1951)年 納税貯蓄組合のポスター

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 戦前からあった納税組合は、昭和22(1947)年に廃止されました。しかし、税収が伸び悩む状況で、納税組合の復活を望む声があがり、昭和26(1951)年に納税貯蓄組合法が制定されました。

(研究調査員 舟橋明宏)

19-7 昭和28(1953)年 簡易帳簿のラジオ講座テキスト

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 青色申告の普及を図るため、昭和28(1953)年に簡易簿記制度が導入されました。国税庁のラジオ講座の最初のテキストです。

(研究調査員 舟橋明宏)

19-8 昭和32(1957)年 納税準備預金箱

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 納税貯蓄組合で使用されていた日掛け預金用の貯金箱です。上部に組合員の名前が書かれており、組合長が毎日組合員の家を回って集金していました。

(研究調査員 舟橋明宏)