昭和24年 酒類の指定販売業者の看板

写真のディスク(非売品)は、平成2年(1990)に国税庁が製作した「惑星アトン外伝」というゲームソフトです。任天堂の「ファミリーコンピューター(ディスクシステム)」で遊べました。

残念ながら、ゲームの詳しい内容は不明ですが、平成2年当時の「税のしるべ」という史料によるとゲームの内容は次のようなものでした。

時代は2050年、舞台は太陽系から遠く離れた惑星アトンという平和な星です。しかし、惑星アトンに凶悪な敵が攻めてきて、国の財源(税金)と「暮らしを支える税・極秘文書」が奪われてしまいました。
 敵は財源(税金)を小分けにして持ち、たくさんの宇宙船に分乗して逃げていきました。主人公のカン太(地球の少年)とユーリー(アトンのお姫様)は宇宙船カン太・ユーリー号に乗り込み、奪還に向かいます。
 敵機の中には、攻撃の合間に極秘文書の内容から税金クイズ(全20問)を出題してくるクイザーという強敵も混ざっていました。
 主人公が乗る宇宙船は、クイズに答えながら敵機を撃ち落とし、財源と極秘文書を取り戻していくのです。

ゲーム「惑星アトン外伝」は、平成2年(1990)の「税を知る週間」(平成16年から「税を考える週間」と改称)で、親子で楽しめるコンテンツとして用意されたものです。

平成2年(1990)の「税を知る週間」は、「暮らしを支える税」をメイン・テーマに行われました。各地で「暮らしと税金展」が催され、「この社会あなたの税が生きている」と大書した宣伝カーを街中で走らせたり、「惑星アトン」の上映や税金教室を開催するなどし、税の大切さを国民に訴えかけていたようです。

「惑星アトン外伝」は、「暮らしと税金展」や全国517の税務署で挑戦できました。
 税金展の会場では5分という制限時間を設け、何問正解できるかを競いました。事前に親子連れでも楽しめると広報しており、ゲームを用いるという趣向は、参加者に好評を博しました。

ゲームの製作に先だって、同じ平成2年(1990)に、国税庁監修で、小学生向けの租税教育用アニメ「惑星アトン」(写真3)が製作されました。
 アニメ「惑星アトン」は、夏休みのキャンプ先から税金のない星「アトン」にUFOで連れ去られたカン太が、税金の大切さを学ぶというお話です。「惑星アトン外伝」は、このアニメの外伝という位置付けでした。
 このアニメ「惑星アトン」は、租税史料室で見ることが出来ます。

当時の日本は、「本格的なAV(オーディオ・ビジュアル)時代の到来」などと評され、家庭用ビデオ機器やデジタル関係の製品が普及した時代でした。国税庁も映像を使った広報に力を入れており、ゲーム「惑星アトン外伝」を監修したり、複数の租税教育用ビデオを「映像ライブラリー」として紹介し、貸し出しを希望する自治体などに貸し出していました。

(研究調査員 舟橋明宏)