平成30年12月
熊本国税局

相続税について、平成29事務年度(平成29年7月から平成30年6月までの間)に実施した実地調査等の状況をまとめましたのでお知らせします。

1 実地調査件数及び申告漏れ等の非違件数

相続税の実地調査は、平成27年に発生した相続を中心に、国税局及び税務署で収集した資料情報等から申告額が過少であると想定される事案や、申告義務があるにもかかわらず無申告と想定される事案等について実施しました。
 実地調査の件数は346件(前事務年度282件)、このうち申告漏れ等の非違があった件数は307件(前事務年度251件)で、非違割合は88.7%(前事務年度89.0%)となっています。

2 申告漏れ課税価格

申告漏れ課税価格は93億5千7百万円(前事務年度78億8千3百万円)で、実地調査1件当たりでは2,704万円(前事務年度2,795万円)となっています。

3 申告漏れ相続財産の金額の内訳

申告漏れ相続財産の金額の内訳は、現金・預貯金等32億8千6百万円(前事務年度27億5千1百万円)が最も多く、続いて土地14億4千4百万円(前事務年度9億8千5百万円)、有価証券10億3千9百万円(前事務年度12億9千4百万円)の順となっています。

4 追徴税額

追徴税額(加算税を含む。)は14億4千7百万円(前事務年度9億8千3百万円)で、実地調査1件当たりでは418万円(前事務年度348万円)となっています。

5 重加算税の賦課件数等

重加算税の賦課件数は59件(前事務年度43件)、賦課割合は19.2%(前事務年度17.1%)となっています。

6 「簡易な接触」による接触件数等

実地調査のほか、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接により申告漏れ、計算誤り等がある申告を是正するなどの接触(以下「簡易な接触」といいます。)を実施しています。平成29事務年度における簡易な接触の件数は193件(前事務年度78件)、このうち申告漏れ等の非違及び回答等があった件数は102件(前事務年度44件)でこの割合は52.8%(前事務年度56.4%)となっています。

(別表1) 相続税の調査事績

事務年度等 平成28事務年度 平成29事務年度  
項目 対前事務年度比
丸1 実地調査件数
282 346 122.7
丸2 申告漏れ等の非違件数
251 307 122.3
丸3 非違割合
(丸2/丸1)
ポイント
89.0 88.7 -0.3
丸4 重加算税賦課件数
43 59 137.2
丸5 重加算税賦課割合
(丸4/丸2)
ポイント
17.1 19.2 +2.1
丸6 申告漏れ課税価格(※) 百万円 百万円
7,883 9,357 118.7
丸7 丸6のうち
重加算税賦課対象
百万円 百万円
989 1,451 146.7
丸8 追徴税額 本税 百万円 百万円
849 1,241 146.2
丸9 加算税 百万円 百万円
134 206 153.7
丸10 合計 百万円 百万円
983 1,447 147.2
丸11 実地調査1件当たり 申告漏れ課税価格(※)
(丸6/丸1)
千円 千円
27,953 27,042 96.7
丸12 追徴税額
(丸10/丸1)
千円 千円
3,484 4,182 120.0

(※) 「申告漏れ課税価格」は、申告漏れ相続財産額(相続時精算課税適用財産を含む。)から、被相続人の債務・葬式費用の額(調査による増減分)を控除し、相続開始前3年以内の被相続人から法定相続人等への生前贈与財産額(調査による増減分)を加えたものである。このため、付表1「申告漏れ相続財産の金額の推移」の金額と一致しない。

(付表1) 申告漏れ相続財産の金額の推移

申告漏れ相続財産の金額の推移

(付表2) 申告漏れ相続財産の金額の構成比の推移

申告漏れ相続財産の金額の構成比の推移

(別表2) 簡易な接触に係る事績(相続税)

国税局・税務署においては、実地による税務調査を適切に実施する一方で、実地調査以外の多様な手法を効果的・効率的に活用し、適正申告の確保に努めています。
 特に、平成27年1月の相続税基礎控除額の引下げ等により、申告件数が大幅に増加したことも踏まえ、具体的には次のような取組を積極的に行っております。

  •  保有する資料情報等から相続税の無申告が想定される納税者等に対し、書面照会を行うことによる、自発的な期限後申告書の提出を促す取組。
  •  調査すべき問題点が限られている事案に対し、実地に赴かないで、電話や来署依頼による調査を実施し、より効率的に納税者等に接触する取組。
事務年度等 平成28事務年度 平成29事務年度  
項目 対前事務年度比
1 簡易な接触件数
78 193 247.4
2 申告漏れ等の非違件数
23 71 308.7
3 回答等の件数(※)
21 31 147.6
4 申告漏れ等の非違及び回答等の件数(23
44 102 231.8
5 非違及び回答等の割合
(41
ポイント
56.4 52.8 -3.6
6 申告漏れ課税価格 百万円 百万円
779 545 70.0
7 追徴税額 本税 百万円 百万円
45 38 84.4
8 加算税 百万円 百万円
2 4 200.0
9 合計 百万円 百万円
47 42 89.4
10 簡易な接触1件当たり 申告漏れ課税価格
61
千円 千円
9,992 2,823 28.3
11 追徴税額
101
千円 千円
608 219 36.0

(※) 「回答等の件数」とは、無申告が想定される者への書面照会に対する回答件数や、書類の提出依頼に対する書類提出件数のことをいう。

(参考1) 無申告事案に係る調査事績

無申告事案は、申告納税制度の下で自発的に適正な申告・納税を行っている納税者の税に対する公平感を著しく損なうものであることから、資料情報の更なる収集・活用など無申告事案の把握のための取組を積極的に行い、的確な課税処理に努めています。

事務年度等 平成28事務年度 平成29事務年度  
項目 対前事務年度比
丸1 実地調査件数
37 44 118.9
丸2 申告漏れ等の非違件数
33 43 130.3
丸3 非違の割合
丸2/丸1
ポイント
89.2 97.7 +8.5
丸4 申告漏れ課税価格 百万円 百万円
3,462 3,905 112.8
丸5 追徴税額 本税 百万円 百万円
133 248 186.5
丸6 加算税 百万円 百万円
34 58 170.6
丸7 合計 百万円 百万円
167 306 183.2
丸8 実地調査1件当たり 申告漏れ課税価格
(丸4/丸1)
千円 千円
93,568 88,751 94.9
丸9 追徴税額
(丸7/丸1)
千円 千円
4,514 6,956 154.1

無申告事案に係る調査事績の推移

(参考2) 贈与税に係る調査事績

国税局・税務署では、相続税の補完税である贈与税の適正な課税を実現するため、積極的に資料情報を収集するとともに、相続税調査時等、あらゆる機会を通じて財産移転の把握に努めており、無申告事案を中心に、本事務年度も積極的に贈与税の調査を実施します。
 また、納税者の自発的な納税義務の履行支援等を目的とした実地調査以外の多様な手法を効果的・効率的に活用し、適正申告の確保に努めています。

事務年度等 平成28事務年度 平成29事務年度  
項目 対前事務年度比
丸1 実地調査件数
99 65 65.7
丸2 申告漏れ等の非違件数
92 62 67.4
丸3 申告漏れ課税価格 百万円 百万円
530 287 54.2
丸4 追徴税額 百万円 百万円
150 58 38.7
丸5 実地調査1件当たり 申告漏れ課税価格
(丸3/丸1)
千円 千円
5,354 4,415 82.5
丸6 追徴税額
(丸4/丸1)
千円 千円
1,515 892 58.9

1.調査事績に占める無申告事案の状況(平成29事務年度)

国税局・税務署では、あらゆる機会を通じて把握した生前の資産保有・移動状況に関する情報を蓄積・活用するなどして、贈与税の無申告事案の積極的な調査に努めています。

調査事績に占める無申告事案の状況

2.調査事績に係る財産別非違件数(平成29事務年度)

調査事績に係る申告漏れ財産の内訳

(注) 各財産の件数は非違件数(延件数)、( )内の数値は構成比。