この条に規定する不動産に対する仮差押えの執行は、仮差押えの登記をする方法によるもの(強制管理の方法を併用する場合を含む。)をいい、強制管理の方法のみによるものは含まれないことに留意する。
徴収職員は、滞納処分による差押えをしている不動産につき、裁判所書記官から規則第21条第1項において準用する規則第15条に掲げる事項を記載した書面(仮差押執行通知書)により仮差押えの執行がされた旨の通知を受けた場合において、その不動産を換価するときは、第3条関係9に定めるところに準じて仮差押債権者に対して公売の通知をするものとする。
(注) 「仮差押執行通知書」には、仮差押命令の写しが添付されることに留意する。
なお、「仮差押執行通知書」は、換価執行決定がされている場合であつても、滞納処分による差押えをした徴収職員等に対して通知されるため、滞納処分による差押えをした徴収職員は、当該通知を受けた場合は、当該通知を受けた旨を速やかに換価執行行政機関等へ通知することに留意する(徴収令第42条の2第3項)。
滞納処分による差押え後に仮差押えの執行がされた不動産(以下この条関係において「二重差押えがされた不動産」という。)について、仮差押えの申請が取り下げられたとき又は仮差押えの執行を取り消す決定が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その旨を徴収職員に規則第21条第1項において準用する規則第17条に掲げる事項を記載した書面(仮差押執行終了通知書)により通知することになつている(この条1項において準用する法15条)。
(注) 「仮差押執行終了通知書」は、換価執行決定がされている場合であつても、滞納処分による差押えをした徴収職員等に対して通知されるため、滞納処分による差押えをした徴収職員は、当該通知を受けた場合は、当該通知を受けた旨を速やかに換価執行行政機関等へ通知することに留意する(徴収令第42条の2第3項)。
仮差押えの登記前に滞納処分による差押えの登記がされたときは、この条第2項に規定する「滞納処分による差押後に仮差押えの執行をした不動産」として取り扱うことに留意する。
徴収職員は、二重差押えがされた不動産について滞納処分による差押えを解除したときは、「差押え及び交付要求解除(通知)書」(別紙様式10。令10条3項において準用する令7条1項)により保全執行裁判所(仮差押命令を発した裁判所。民事保全法47条2項)にその旨を通知しなければならない(令10条2項)。(平15徴徴4-3により改正)
徴収職員は、二重差押えがされた不動産につき、保全執行裁判所に対し滞納処分による差押えを解除した旨の通知をした場合において、参加差押え(2以上の参加差押えがされているときは、そのうち最も先に登記されたもの)をしている徴収職員等に対し徴収法第81条の通知をするときは、その不動産につき仮差押えの執行がされている旨を「差押解除通知書」(様式通達第17号様式(その2))の「備考」欄に、例えば、「○○地方裁判所事件番号平成○○年(○)第○号事件名○○○により仮差押えの執行がされています。」と記載する(令10条4項)。
なお、滞納者に対し滞納処分による差押えを解除した旨を「差押解除通知書」(様式通達第16号様式(その1))により通知する場合にも、上記と同様の記載をするものとする。(平15徴徴4-3により改正)
残余金が生じたときは、徴収職員は、第6条関係1の(4)に定めるところに準じてその残余金をその不動産に対する強制執行について管轄権を有する裁判所(不動産の所在地を管轄する地方裁判所。以下この項、8及び14において「不動産の執行裁判所」という。)に交付しなければならない(この条2項)。
なお、残余金を不動産の執行裁判所に交付すべき場合については、第17条関係2に定めるところに準じて処理するものとする。(平15徴徴4-3により改正)
(注)
二重差押えがされた不動産の滞納処分による売却代金について、残余金が生じた場合又は売却代金を供託した場合における不動産の執行裁判所に対する通知については、第6条関係1の(2)、(3)及び2に定めるところに準じて取り扱う(令10条1項において準用する令4条)。この場合において、「残余金交付通知書」(別紙様式7)には、保全執行裁判所、事件番号、事件名及び仮差押債権者の住所、氏名又は名称を付記するものとする。
(注) 換価執行決定がされた場合における上記の不動産の執行裁判所に対する通知は、その換価執行決定をした税務署長が行う。
二重差押えがされた不動産の滞納処分による売却代金について、残余金が生じなかつた場合には、第6条関係3に準じて保全執行裁判所に通知するものとする。(平15徴徴4-3により改正)
(注) 換価執行決定がされた場合における上記の保全執行裁判所に対する通知は、その換価執行決定をした税務署長が行う。
税務署長は、二重差押えがされた不動産について換価処分による権利移転等の登記を嘱託する場合において、仮差押えの登記は換価処分により消滅した権利の登記として、同時にその抹消を嘱託するものとする(不動産登記法115条2号)。
(注) 仮差押えの登記には、仮差押えの執行としての強制管理開始決定に係る差押えの登記も含まれることに留意する。
仮差押えの執行後に、滞納処分による差押えをした不動産について強制競売の開始決定がされた場合又は滞納処分による差押えをした不動産について仮差押えの執行がされ、更に強制競発の開始決定がされた場合のこの法律の適用については、仮差押えの執行がされていない不動産について、二重差押えがされた場合と同様に第12条関係から第17条関係までに定めるところに準じて処理するものとする。
仮差押えの執行、強制競売の開始決定及び滞納処分による差押えの順に差押え等がされた場合、強制競売の開始決定、仮差押えの執行及び滞納処分による差押えの順に差押え等がされた場合又は強制競売の開始決定、滞納処分による差押え及び仮差押えの執行の順に差押え等がされた場合において、強制競売の申立てが取り下げられたとき又は強制競売の手続を取り消す決定が効力を生じたときは、裁判所書記官から徴収職員にその旨の通知がされる(法31条)。この場合には、仮差押えの執行がされていない不動産につき、強制競売の開始決定後に滞納処分による差押えをした場合において、強制競売の申立ての取下げ等の通知を受けたときの処理を定める第31条関係により取り扱うものとする。
仮差押えの執行、強制競売の開始決定、滞納処分による差押え及び参加差押えが競合した場合においても、この条関係11及び12に定めるところに準じて処理するものとする。
なお、上記の場合において、強制競売の申立てが取り下げられ、又は強制競売の手続を取り消す決定が効力を生じた後、滞納処分による差押えを解除した場合における徴収職員等への通知については、二重差押えがされた不動産につき差押えを解除した場合における徴収職員等への通知を定めるこの条関係6に準じて処理するものとする。
滞納処分による差押え、仮差押えの執行及び担保権(質権、抵当権、先取特権、留置権又は担保のための仮登記をいう。以下この項において同じ。)の設定の順、滞納処分による差押え、担保権の設定及び仮差押えの執行の順又は仮差押えの執行、滞納処分による差押え及び担保権の設定の順に差押え等がされている不動産を滞納処分により換価した場合において、滞納者に交付すべき残余金が生じたときは、徴収職員は、当該金銭を担保権者に交付することなく、不動産の執行裁判所に交付するものとする。
家庭裁判所が家事事件手続法第105条の規定により仮差押えの執行をした場合には、この法律の適用上(第19条関係6の(1)、第20条の2関係2の(1)のイ及び6の(1)、第20条の9関係10、第20条の11関係1、第34条関係10、第35条関係3の(1)、第36条の2関係2の(1)及び4の(1)、第36条の12関係5並びに第36条の14関係1参照)、保全執行裁判所は家庭裁判所であることに留意する。