尾崎課長補佐
 15ページへまいりまして、医薬品と医薬部外品というものがございます。薬事法上、医薬品と呼ばれるものにつきましては、薬局あるいは一般販売業の許可を受けた者でなければ販売をしてはならないということになっております。医薬部外品というものにつきましては、販売面では特に規制は設けられておりません。製造する許可だけは必要ですが、販売面での許可はないということになっておりまして、今回、本年夏にコンビニあるいは一般販売業での販売を解禁するものは、今まで一般用医薬品だったものを医薬部外品に移行した上で、医薬部外品として販売を認めるという手続になるわけでございます。
 これまでも医薬品から医薬部外品に移行したものがございまして、16ページにございますとおり、従来から医薬部外品であるもの、それから規制緩和という観点で平成11年に移行したものがございます。今回は、さらに14ページにございます製品群について規制緩和という観点で医薬部外品として販売を認めるということになっております。
 ここまでがコンビニ販売ということでございまして、21ページの方を見ていただければと思っております。昨年これも大きく新聞報道されましたが、ドン・キホーテというお店において深夜から早朝にテレビ電話を使い医薬品を販売する、あるいは無償であげるといったようなことがなされました。ドン・キホーテの問題では、薬剤師がきちんと対面で販売をするという規定において、テレビ電話というのはこれまで想定もしてなかった、あるいは認めていなかなった方法でございまして、かなり大きく新聞等でも報道され、大臣との関係でも様々な質問が様々なところで行われ、ニュース以外のテレビでも取り上げられました。薬事法におきまして、医薬品販売制度についての規制を行っているわけでございますが、コンビニ販売あるいはドン・キホーテの問題もございますし、また医薬分業というものもかなり進んでおります。また、先ほどお話をさせていただいたとおり、薬剤師がきちんと常時配置され対面で販売するということが求められているわけでございますが、必ずしもそれが行われていないという状況になっていることもございまして、薬事法のあり方について一から議論をしてみたらどうかということになりました。本年4月に厚生科学審議会において、医薬品販売制度改正検討部会という部会が設置され、そこで医薬品の販売のあり方について一から見直しをするということになったわけでございます。まず、リスクに応じて、情報提供のあり方というものをいかに考えるかということについて、きちんと議論していこうと考えているところでございます。
 今の薬事法では、ガスターのように薬の効き目が非常に強くても、あるいは薬の効き目がどんなに弱くても、薬剤師が必ずそこにいて情報提供をしなくてはいけないという建前になっております。しかし、果たしてビタミン剤のように非常に軽い作用のものについてまで、薬剤師の関与が必要なのかといったような議論等も様々な方面から出されたわけでございます。そういったリスクの程度に応じた情報提供というものを議論していくために部会が設けられたわけでございまして、平成18年の通常国会に法案を提出できるように意見をまとめているところでございます。
 23ページが委員の名簿、24ページが検討項目、それから25ページがさらに詳しいスケジュールということでございまして、5月14日に第1回部会も開かれております。さらに、部会のもとに1年程度専門委員会というワーキンググループをつくり、議論した上でまとめるということになっております。規制緩和でも規制強化でもない、本当に国民の立場から見てあるべき医薬品販売を考えるということが、この部会の大きなテーマでございます。
 26ページ以降のデータにつきましては、御参考にしていただければと思います。
 30ページにはドラッグストアの状況を載せております。ドラッグストアは、最近非常に伸びてきておりまして、そういった数字がこの資料からもお分かりいただけるのではないだろうかと考えております。
 それから31ページには、一般用医薬品の生産金額の推移がございます。セルフメディケーションという言葉が随分と関係者の間で広く行き渡っているわけでございますけれども、一般用医薬品自体はそれほど大きくは伸びておりません。最近はむしろ減少傾向にあるという状況でございまして、こういったところの分析等も行っていく必要があるのではないだろうかと考えております。
 駆け足になりましたが以上、説明をさせていただきました。

奥村座長
 ありがとうございました。それでは、御質疑をお願い申し上げます。どうぞ、水谷先生。

水谷氏
 厚生労働省は長年にわたって大変な苦労をなさっていると思いますが、国民は勝手でございまして、「安全性を確保しろ。しかし、自由にしろ」というふうに、全く相反することを言います。その中でできるだけ職責をまっとうしようとすれば、細かく規制せざるを得ません。同じことが酒税についても言えると思うんです。
 それで、細かく規制するためには人数も要りますし、エネルギーもかかります。だが、今後人数が増えていくかと言うと、そんなことは考えられません。薬種の種類、薬品の種類はこれからどんどん増えます。こんな矛盾することは絶対できませんので、これをいい機会にして、「国民の自己責任が中心です。最低限しか規制はできません」ということをはっきり言うということは難しいものでしょうか。これは酒の場合でも同じことが言えるかと思いますので、御経験から、国会あるいは政治との関係、この辺をどのようにお考えか、もし御意見があれば承りたいと思います。
 以上です。

尾崎課長補佐
 最初の点でございますけれども、確かに国の方で、どこまで医薬品販売についてかかわっていくかということは大きなテーマでして、私どもの方でも、この2年間の間に真剣に検討していきたいと思っておりますが、ただ、先ほど触れさせていただきましたとおり、医薬品はほかのものと違い、体に直接薬理作用があるということで、副作用とは切っても切れない関係にございます。副作用が起きますと、金銭面で解決できない死亡あるいは高度障害、高度には至らなくても大きな障害になるということで、平成10年から14年までの間にも、そういった非常に重い障害になった方が1,000人ぐらいいらっしゃいます。この5年間の間に1,000人ですので、平均すれば1年で200人、この200人というのは、実際に買っているお客さん全体からみれば恐らく何万分の1ぐらいの数でしょうけれども、それをいかに見るかということでございます。私どもの方では、やはりこれまでの薬害で様々な批判をいただいたことや、あるいは人の命というのは何ものにも代えがたいものであるといったようなことを考えますと、正直申し上げて非常に恐いものであるということをやはり念頭に置かなければいけないだろうと考えております。もちろんこれから専門家の間で十分に議論していかなければいけないのですが、やはりそういったお金には代えられない非常に大きな重い障害あるいは死亡ということに至る可能性があり、それは一般の人が何気なく買っている風邪薬あるいは消炎鎮痛剤といったものでいとも簡単に起こってしまう人は起こってしまいます。どこが調査するかによって結果が少々変わってきているような状況ではありますが、各世論調査におきましても利便性を求める方と、それからやはり薬については安全性、安心感を求める方とがいらっしゃいます。政治との関係で言いますと、与党及び野党の一部の方を含めて、安全性というものを非常に重視してやっていくべきだということで、コンビニ販売について反対だと言っておられる先生方もたくさんいらっしゃって、必ずしも規制緩和という方向に流れているのではないのではないだろうかと考えております。今後間違いなく、仕事の量が増えてくるのではないかと思いますが、そこは実際、自治事務ということで、仕事を委任しております都道府県の方に聞きながら、規制緩和という考え方だけではなくて、やはり安全性及び監視をしていく都道府県の御意見なども踏まえながら、こういう方向にしたいというあらかじめ考えておいてそこに誘導するのではなくて、様々な方の御意見を踏まえて総合的な観点で、抜本的に一から議論をしたいとしているところでございます。

奥村座長
 ありがとうございました。ほかの委員の方いかがですか。

寺沢氏
 資料の3ページを御覧いただきますと、薬を販売している業者ないし店舗について業態を分けてございますね。私もこんなにたくさん種類があるとは知りませんでしたが、ずっと説明をお聞きしていると、歴史的にそういうようなものがあったため、今もそういう分類をしているけれども、将来的にはもう少し簡便に数を少なくしていく方向で考えた方がいいという感じを受けました。例えば、その中に配置販売業というような業態がありますけれども、実際にどういうふうな資格で、どういうふうな規制がされているかというと、経営をする方がそういう資格をとるけれども、実際に販売をされる方はそういう資格が全く要らないということになると、訪問販売と全く変わらないという状況なわけですよね。
 ですから、その辺、厚生労働省としてどういう方向に終息するとか、どういう方向に持っていくかという議論がされているのかどうかということをお聞かせいただければと思います。

尾崎課長補佐
 今、先生からお話いただいたような御指摘も大きな論点になっているところでございます。多くの国民は、「そんなにたくさん分類されていたのか」、「よく分からない」と思っているような複雑な制度になっておりまして、できるだけシンプルにしたい、できるだけ簡便な方法にして国民も理解できるような形にしたいということを検討の前提として考えているところでございます。
 では、具体的にどうするのかというのは、富山の薬売りにしても、江戸時代からあった制度でございまして、それが現在も続いているわけでございます。これは国民にとって一つの大きな役割を果たしているというようなこともございまして、個別に見て、具体的にどうしていくかということが課題となっておりますが、この点については、広く国民からのアンケートをとるとか、あるいは販売業者から聞くだけではなくて諸外国の状況調査を行っていこうと思っております。できる限り、以前からあるからこれからもということではなく、21世紀においても通用するようなできるだけシンプルな制度にしていきたいという方向で議論を進めているところでございます。

奥村座長
 田嶼先生、何かございますか。

田嶼氏
 それでは一つだけ発言させていただきます。薬剤の緩和については、体にとって効果が緩やかなものが必要なときに手に入るというのは本当に大切なことだと思うんですけれども、その方がどういうふうにその薬剤を使用されるかということについては全く分からないわけです。例えばガスターにしても毎日ためておいてどんと飲んだりすることができるわけで、その先一体だれが責任を持つのかというふうなことについて心配しております。
 したがって、緩和はある意味ではよろしいんですけれども、その先、症状がとれないときには、必ず専門的なところで受診するとか、その後のフォローアップといいますか、そういうふうなことを付け加えていただけるとありがたいと思っております。

尾崎課長補佐
 その点については、現在、法律においても努力義務ということで、なかなかはっきりしない部分がございます。国民の方が安心して飲めるように、もっと踏み込んできちんと分かるように説明するという説明義務を課すだとか、あるいは使用された後、副作用の相談等があったときには必ず相談に応じて適切な処置を講じなければならないといったような義務規定をもう少しきめ細かに規定し、何かあったときにはきちんと対応できるようにするような法令上の位置づけをはっきりさせたいと考えております。

奥村座長
 ありがとうございました。それでは時間となりましたので、尾崎様からのお話をこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。

尾崎課長補佐
 ありがとうございました。また、よろしくお願いいたします。

奥村座長
 それでは、引き続きまして、警察庁交通局交通指導課交通事故事件捜査指導官でいらっしゃいます堀金様からお話を承らせていただきます。「飲酒運転の防止等に対する取組の現状と課題」ということでお話いただきます。よろしくお願いいたします。

堀金交通事故事件捜査指導官
 御紹介いただきました警察庁の交通指導課の交通事故事件捜査指導官をしております堀金と申します。具体的に言いますと、交通事故とそれから白トラとか白バスとか、最近ですと三菱自工の虚偽報告の関係といった交通関係の事件の捜査の指導を行っております。
 事務局の方から与えていただきましたテーマが「飲酒運転の防止等に対する取組の現状と課題」ということでございまして、具体的な中身としては、1取組の現状と酒酔い及び酒気帯び運転件数の推移、2酒気帯び基準の引き下げの考え方、3今後の課題〜道交法第65条第2項の解釈でございます。
 まず、現状がどうなっているかということについて少し御説明をさせていただきたいと思います。まず、道路交通法の第65条でお酒を飲んで運転することは基本的に禁止をされております。現行の道路交通法ができましたのは昭和35年でございまして、当時は一定以上の酒気を帯びて運転してはいけないというふうな規定になっておりました。これは、当時の日本の生活状況が、酒を飲んで運転してはいかんと言えるような状況でなかったということのようでございます。昭和45年、つまり10年後に今のような形になりまして、法令上でも「本当は1滴でも飲んではいけません。ただし、処罰をするのは、加罰性のある一定以上のお酒が入っているとき」というような規定になっております。
 それから、第2項では、酒気帯びとか酒酔い運転をするような場合に、酒類を提供したり酒を勧めたりしてはいけないという規定がございます。こちらは罰則はついておりません。いわゆる訓示規定というような形になっております。
 この酒気帯び運転に関しましては、2種類ございます。1つは酒酔い運転というものでして、お酒に強い方と弱い方がいらっしゃいますので、ほんの少し飲んでも酔っ払ってしまう人と多少飲んでも大丈夫という人がいます。正常に運転できないような状態まで酔っている場合には、その酒の量を問わずに処罰をするというのが、この酒酔い運転でございまして、平成14年6月から罰則が強化され、3年以下の懲役、50万円以下の罰金ということになっております。
 もう一つは酒気帯び運転というものでありまして、体の中に一定の数値以上のアルコールをもって運転することを禁止をしているものでございます。これは呼気1リットル当たり0.15mg以上のアルコールを保有していてはいけないという基準がございまして、これに違反をすると1年以下の懲役、30万円以下の罰金でございます。刑罰の引き上げ前は5万円以下の罰金という大変低い罰金でしたので、30万円以下に引き上げられるときは大変社会的な反響を呼んだ規定でございます。
 今、お話をしましたように、どれぐらい飲むといけないのかということでございますが、血液の場合ですと1ミリリットルにつき0.3mg、呼気の場合ですと1リットルについて0.15mgとなっております。なかなか数字だけですとお分かりいただけないかと思いますが、警察が捜査する場合、呼気を使っております。血液を使う場合は、飲んでいらっしゃる方が呼気の採取に応じないような場合に裁判官の令状をとって強制的に採る場合、または亡くなった方、けがをしている方の流血などを採る場合がございます。
 ついでに点数も御覧をいただきますと、酒酔い運転をしますと25点という行政処分点数がつきます。どれくらいのものかというと、以前に違反とか免許の停止等の処分をされていない人でも取消しを受け2年間免許証がとれないという大変重いものでございます。酒気帯びの13点というのは、前歴がないと取消しまではいきませんが、事故などを起こし人がけがをしていますと最低でも2点つきます。15点を超えますと免許の取消しがなされるというものでございます。酒酔いと酒気帯びで年間にどれくらい捕まっている人がいるかというのが資料の4ページのグラフでございます。赤い方が酒酔い運転で青い方が酒気帯び運転でございます。昭和60年ごろは40万件を超える酒酔い、酒気帯びの検挙がございましたが、最近は少し減ってきております。ただ、この数値は、警察活動の反映でもあり、酒を飲んで運転する人が減ったと言い切れるものではございません。特に平成12年以降は警察の不祥事が大分あり国民の厳しい批判を受けましたので、取り締まりが難しくなった、国民の協力が得られなくなったと言う声もございます。どれくらい違反があるかに関しては表を見ていただきますと、酒酔い運転で検挙したのが平成15年2,267件、酒気帯びが17万3,000件余り、酒気帯びと酒酔いの割合は大体酒酔いの方が1.3%、大体1%から2%ぐらいの間で近時は推移をしております。飲酒運転はスピード違反とか一時停止とか、信号無視などの全違反の2%ぐらいを占めております。
 次に平成14年6月に飲酒運転に対する罰則の強化が図られましたが、そのときの状況についてお話をさせていただきますと、きっかけになった大きな事件がございました。高知通運のトラックが東名高速で乗用車に追突をしたという事故です。この高知のトラックの運転手は高知を出発して大阪までフェリーで渡っているのですが、このフェリーの中で大酒を飲んだということです。大阪に着いて、そこから酔っ払い運転でふらふらしながら東京の方へ向かい、海老名で残っていたウイスキーをまた二百何十ミリグラム飲みました。途中で「ふらふらしていて危ないトラックが走っている」という通報があるぐらいですから相当危険な状態だったと思いますが、止めるのが間に合わずこの乗用車にぶつかりました。乗用車ではお母さんが運転をしていまして、助手席にお父さんがいて後部座席には1歳と3歳の女の子がいました。お父さんも大やけどを負ったのですが、後部座席にいた1歳と3歳の女の子は車の中で「熱いよ」と言いながら、意識がある中で苦しみながら焼け死んだということで、事故自体も大変悲惨だったのですが、これに対する判決が懲役4年というのは、いかになんでも軽過ぎるのではないかという国民の強い批判がございました。

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